住まいは購入or賃貸? 購入派は資産ポートフォリオの偏りに注意!①

不動産知識・テクニック

住まいは購入or賃貸? 購入派は資産ポートフォリオの偏りに注意!①

本来なら購入と賃貸に大きな差はないが、購入に見落とされているリスクとは!?

不動産のよくある論争に「住まいは購入と賃貸どっちがいいか」というものがあります。

どっちが生涯の支払いが少なくすむのかを論じている記事をたまに見掛けますよね。

不動産トピックの中では「戸建とマンションどっちがいいか」と双璧をなすメジャーな論争です。

 
 
とはいえ、

経済合理性の面でどちらかが一方的に有利であれば、需給ギャップにより価格調整され、リスク調整後の最終的なリターンは同じになるはずです。

 
というか、そもそも分譲住宅も賃貸も出所はあまり変わりありません。

売りに出された土地のうち、あるものはデベロッパーや建売業者が購入して建売住宅や分譲マンションになり、またあるものは賃貸マンションになるのです。

購入と賃貸の違いは、売り手側としては販売して一括で代金をもらうか、賃料として分割で代金をもらうかだけなので、購入であれ賃貸であれ最終的な負担はそう変わらないのです。

 
なので、どちらがいいかは個々人のリスクについてのスタンスの違いや、住宅についての価値観の問題だと、私としては思っていました。

 
 
しかし、改めて考えてみると、

あまりこの論争には取り扱われませんが、購入した人は自分が思っている以上にリスキーな状態に陥っているというケースが結構あります。

住まい購入で資産ポートフォリオは大きく偏る

一般的に住宅ローンは返済比率が収入の1/4程度で60歳代に完済できれば適正と思われています。

 
が、果たして本当にそうでしょうか。
 

その基準というのは、住まいを購入する人達の平均値から言うと悪い方ではなく、これまでの統計上はその位置であれば住宅ローン支払不能には陥りにくそうということだと思います。

つまり帰納法的に考えると問題ないと。

 
しかし、1つの不動産を35年という人生の半分近い歳月を賭して買い求めるのは日本の住まいの慣習からすると一般的ですが、

それでは保有資産の割合がその不動産に偏ってしまいます

 
不動産は住まいであると同時に資産であり、投資の世界ではポートフォリオの中で一つの資産が突出するのはリスク管理上好ましくありません。

しかも、不動産は元本が保証されないリスク性資産です。

投資という前提で考えたなら、資産ポートフォリオがしっかり形成されていない段階でローンを組んで年収の何倍もする商品を買うのはやってはいけないことです。

なぜ住まいはその価格になるか!?

そうは言っても、住まい購入は一般的なことであり、すでに社会システムの一部と言っても過言ではなく、ポートフォリオが偏るとか突飛な意見が出る幕はなく、住まいの価格は国の住宅政策によって適正水準の範囲にあるのではないかと考える方もいるかもしれません。

 
それでは、住まいの価格はどのようにして決まるのか考えてみましょう。

 
住まいの価格は、基本、マンション業者・建売業者が土地を購入して建物を立てる仕入原価に利益・経費を加味して決まります。

  • 土地代金
  • 建物代金
  • 利益と経費
  •  
    これらが住まいの価格の3要素です。
    (建売住宅や分譲マンションの場合になりますが、個人から中古住宅や土地を買った場合でも相場価格で購入するとコスパはあまり変わらなくなります)

     
    今は建設業界は人手不足なので建物代金はそれなりに掛かるでしょうし、利益なしではデベロッパーも事業継続できないでしょうが、土地代金はなぜその価格なのでしょうか。

    例えば親から譲り受けた土地なら実質的に原価はゼロです。土地が良心的な価格で売りに出されれば、人々が無理せず住まいを購入でき、社会に良い影響を与えるのではないでしょうか。

     
     
    しかし、

    そんな購入者側の思いと、売り手側の常識は、現状、決定的に乖離しています。

     
    不動産屋にとっては地主に土地を売るよう営業するのは日々の業務ですが、特に高齢者に偏る地主層の大半はいくら遊ばせている不動産だとしてもそう簡単に売ってはくれません。

    いまだに不動産神話が根強くメンタルがタフです。過去にバブルでいきなり儲かった経験もあります。

    強者ばかりなので不動産屋としてはそのペースに合わせざるを得ません。

     
    現実としては、売り手側の意向をもとに土地価格相場が形成され、それに単純に建物代金と利益・経費が上乗せされて不動産商品が作られ、その商品に沿った住まい購入プランが立てられています

    ハウスメーカーやマンション・建売住宅の販売業者はその住まい購入プランに沿って、

    購入検討者が頭金を増やしてから購入すると言えば、どうせ購入するなら、それまで賃貸しているのは無駄なのでオーバーローンして今買った方がいいと説き、

    購入検討者がローンの年数を短くしたいと言えば、ローン支払い中の期間延長は銀行がいい顔しないので最初は年数を長く組んでおいて余裕があるときに繰り上げ返済した方がいいと当たり前のように説くのです。

     
    国民が過剰なリスクを取らずに持家を取得できるよう国が地価をコントロールしている、なんてことはありません。景気対策として住宅ローン減税とかは行なっていますが、地価については税収を上げるためにむしろ高く持ってこうとしているようです。

    住まいを購入する人は自分の購入プランは一般的だと思っている人が多いでしょうが、あくまでも購入者の中では多数派だというだけで、それが様々なリスクに対して安全圏ということではないのです。

    次回は資産ポートフォリオが偏ると具体的などのようなリスクがあるかについて記載します。
    (続く)

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    shiro-shita

    仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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