新型コロナでついに世界はニューノーマルを迎えるか!? 結局、歴史は繰り返す…
新型コロナウィルスによって世の中がどう変化するか、そしてとりわけ不動産業界にどのような影響を与えるのか、語るにはまだ早過ぎますが思いつくままに記載してみました。
(新型コロナウィルスといっても経済的影響のみで、もちろん私は専門家ではなく単なる不動産の実務者なので個人的な感覚だけで根拠はありません。また、内容に一切責任を負いませんのであまり真剣に捉えないでください。)
コロナで世の中は色々と変化
このところのコロナ騒動で世界全体が半年前には全くもって予想しなかった状況になっています。
新しい生活様式は一時的なものかそれともニュースタンダードか!?
政府は「新しい生活様式」を推奨しています。(2020年5月時点)
ウィルスとの戦いが長期戦になると世の中が止まったままではさすがにうまくないので、3密を避けながらできる限り社会生活を送っていきましょうということなのだと思います。
で、名称は新しい生活様式ですが、新型コロナウィルスが収束するまでの一時的なものなのか、収束以降も続くニュースタンダードなのかわかりません。
実はそこが実は一番の問題だと思うのですが、現時点ではそれはわかりません。思惑や希望や誘導はあるでしょうが、結果が全てです。
なぜ、一番の問題なのかと言うと、それがこの非常事態が単なる社会生活の「一時停止」なのか「ストーリーの変更」かを分けるからです。
多くの飲食店経営者はそれが「一時停止」でポーズ解除後に以前のように店で密集密接してわいわいがやがやできることを望んでいるでしょうが、それが「ストーリー変更」だと今後は今の間引かれた客席数で固定されることになります。
現時点ではどちらかわかりませんが、全てが「一時停止」だけで済むことはなさそうです。少なくとも一部は不可逆的にストーリー変更となるでしょう。
歴史的な不景気
仮に一時停止で済んだにしても、その停止期間中に喪うものは少なくありません。
事業者は緊急事態宣言下で休業したり営業しても閑古鳥というところが多いです。固定費の支払いに設備投資や人員採用に回すつもりだった資金を充てるならまだいい方で、従業員を解雇したり、倒産する企業が増えています。
個人では減給になったり、失職したりしている人が出ており、今現在は影響を受けていなくても先の見えない状況に財布の紐は一段と固くなり、経済の悪化に拍車を掛けています。
働き方の変化は不可逆的!?
現時点ですでに一時停止ではなくストーリー変更が確実になっているのは働き方です。そもそも働き方改革が浸透し出した状況だったのでコロナで改革が加速しています。
リモートワーク率が上がり、出勤するにしても時差出勤やフレックス制が多くの企業で取り入れられ、アフターファイブの飲食接待や休日の接待ゴルフも撤廃する企業が増えるでしょう。
出勤について言えば全員同じ時間に同じ場所に出勤するメリットは、世の中がそうでそれに合わせていた方が何かと都合が良かっただけに過ぎず、世の中がそうでなくなるともはやそれを合わせる理由はありません。
もちろん人事評価も変わるでしょう。
良くも悪くも結果以外は目に付きにくくなります。
同じ空間にいる時間が減ると人間的に素晴らしかろうが逆にクソだろうがあまり気にならなくなり、社内派閥もお局様もどうでもいいことになりそうです。
日本企業の文化的側面が大きく変わることになり、そうなると変化はドミノ式に波及し短期間で抜本的に改まる可能性があります。
社会全体のストーリー変更
働き方が大改革されれば社会全体に影響を与えます。
鉄道の本数はこんなに必要ありません。通勤のピークタイムに合わせて車両、設備、人員等の数が決まっているのでしょうが、ピークが分散されることにより減らすことができます。
オフィスもこんなに必要ありません。当面はテレワーク中の人のデスクはそのまま残るでしょうが、時間の問題でフリーアドレス化し、いずれはあまり使わなくなった会議スペースと一緒にビルオーナーに返すかもしれません。
主要駅周辺の商業ゾーンも活気が薄れます。都会に出勤する人が減るので。
コロナで不動産業界はこう変わる!?
もし本当に社会全体のストーリー変更となれば何から何まで変わりかねません。
(その変更後の世界を巷ではニューノーマルと呼んでいます)
そうなると当然ながら不動産業界も多大な影響を受けます。
賃料下落、空室率増加で不動産相場が変わる
緊急事態宣言下で休業や閑古鳥状態の事業者は店舗賃料の支払いに窮してきます。
これは目下大問題となっています。
救済法ができる予定ではありますが、全ての事業者が対象にならず、全ての賃料が賄われる訳ではありませんので、全国で賃料減額交渉、賃料滞納、退去が続出するでしょう(というか続出しています)。
影響は大家にも及びローン支払中といった一部の大家は逆ザヤとなり、ビルの売却をせざるを得なくなったり、大家自体が倒産したりします。
そうなると、任意にしろ、強制競売にしろ、不動産が売りに出されますが、売買価格はこれまでアベノミクスで上昇していた不動産相場が下落局面に転じたことを如実に示すでしょう。
賃貸ビルの価格は収益還元法で決まるので賃料下落や空室が増えると物件価格は下落するのです。
街並みが変わる
働き方が変化しリモートワーク化が進めば都心の一等地に広いオフィスを構える必然性は減ります。
防疫対策で広くスペースを取るにしても企業はそれによって売上が増える訳ではないので、オフィスでも賃料減額交渉、減床&退去が増加するでしょう。
Aクラスオフィスビルは不動産の超花形です。それがトレンド変更となれば今後の全ての開発計画に影響を与えます。
開発に際しその立地のポテンシャルを最大限に活かす最適用途が計画されます。最適用途とは最も賃料が取れる用途です。「賃料が高い=収益還元法で不動産価値が最大化」だからです。
主要駅周辺ではオフィス・商業・ホテル
近郊の駅近はマンション
郊外に行くと戸建
といった様に立地による鉄板用途が決まっていたのですが、それが変わりかねません。
人の流れが変わることで、街の機能が変わり、街並みも変わるのです。
家が変わる
家の基準、役割も見直されます。
これまでは家は”寝るだけの場所“と言われることも多く、職場からのアクセスに優れた場所に比重が置かれていましたが、出勤が減れば職場から近いことの重要性は下がります。
逆に、リモートワークで家にいる時間が増えれば、在宅時間がより快適でストレスがないように、居室&リビングは一回り広く、書斎があり、高い断熱性遮音性を有するといったことの重要性が増します。
すると地価の安い郊外に人が流れ、これから発売される分譲マンションや建売住宅もそういったニーズを満たした商品設計となっていきます。
不動産会社が変わる
このような一連の変化はもちろん不動産会社自体にも影響を与えます。
まずは不況による直接的売上減少があります。
売上が上がらない中で固定費を支払わなければならないのは不動産会社も同じで経営環境が厳しくなり、人員整理や撤退、倒産が増加します。
中小零細企業の淘汰だけではなく、高い回転率と成長率で昨年に過去最高益を出していたような新興企業が突然死します。自己資金比率が低いので市況が反転すればあっけないのです。
次にそういった企業が売り切れなかった物件が債権者主導でダンピングセールされます。そういった物件はついこの間までは革新的なアイデアを取り入れた魅惑的物件でしたがその時点ではメッキが剥がれてガラクタ扱いです。
しかも、すでにマーケットにはコロナ危機により様々な物件が同時に売りに出されているのでお互いの足を引っ張って価格はさらに低下します。
市場に飽和状態の売物件を購入するのは資金力に勝る財閥系不動産会社という訳ではありません。彼らも売上が落ち株価が下落するのでステークホルダーを刺激しないような無難な経営で悪目立ちを避けます。
それらを購入するのは世の中的にほとんど名の知られていないような企業だったりします。不動産価格値下がりを待って長年に渡り内部留保を積み増ししていたような隠れた超優良企業です。足元を見てここぞとばかりに底値で物件を買い漁ります。
そのようにして不動産市場は底打ちしますが、すると再び回復軌道に乗るでしょう。
戦後の焼け野原にバラックが建ち並び闇市ができたように、新興企業が林立し仁義なき戦いがまた繰り広げられます。
彼らは口々にニューノーマルにおける新しい住宅の在り方だの、不動産投資の新手法だのと喧伝するでしょうが、一見新しいように見えてアベノミクスのときに新興企業が行った手口と実は同じです。
そして低い自己資本比率ながら高い回転率であっという間に売上を倍増し、再び外車に乗ったり夜の繁華街をジャックしたりこの世の春を謳歌するでしょう。
そしてその短い春の後にはまた次の経済危機がやってくるのでしょう。
shiro-shita
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