引き続き不動産売却のチェックポイントについて記載します。
<第1回>権利証・登記識別情報通知
<第2回>抵当権等の不動産に設定された権利
<第3回>完璧な隣地との境界の状態とは!?
<第4回>室内外の動産ってやっぱりゴミなの!?
<第5回>修繕履歴を残しインスペクションするのが最近の不動産売買の流れ!?
<第6回>不動産売却のチェックポイント6 販売は住みながら? 空家にしてから?
<第7回>不動産売却のチェックポイント7 リフォームやホームステージングをして売るべきか!?
不動産が高値で売れたと思ったら想定外の事態に!?とならないよう売却条件は細部まで詰めましょう!
ここまで記載してきたポイントをまとめていくと自ずと売買条件が固まってきます。
「境界杭が欠損しているが、土地全体の境界確定協議をして売る」
とか、
「修繕履歴はなく、インスペクションも実施せず売る」
とかです。
それらを踏まえてより中核的な売買条件の検討をします。
(この時点ではあくまでも売主希望売却条件です。中には、買い手が条件を逆提示してくることもあります)
公簿売買 or 実測売買
主に土地の売買となりますが、
実測売買は、登記簿記載の土地の面積によらず、土地を測量してその面積にあらかじめ決めた売買単価を掛けたものを売買価格とします。
「測量面積300㎡ × 10万円 /㎡= 3000万円」という感じです。
公簿売買は、登記簿記載の土地面積をもとに売買価格を決定し、基本、測量は行いません(もしくは測量してもその実測面積によらず)。
実測売買は測量の結果、面積が増えれば価格が上がり、減れば価格が下がるので、得した感、損した感がありますが、それまでが不正確な土地面積を基準にしていたのであり、測量によって得られた面積が正確なので、手続き上、真っ当でフェアな方法です。
ただ、あまりに狭くなると、売主のその後の人生設計が狂ったり、あまりに広くなると、買い手が予定していたローン金額では購入できなくなりかねないので、事前に現況測量だけはしておいて、買い手と売買契約後、物件引渡し前に確定測量・境界確定協議を行うのが望ましいです。
また、買い手が大手の不動産会社や大会社だと、売主は公簿売買を希望しても、実測精算での売買を条件としてくることが多いです。大手に売りたければ実測売買を許容する必要があります。
確定測量・境界確定協議は行わない、もしくは測量の結果、価格が下ブレするリスクを負えないという場合は公簿売買を条件提示することになります。
瑕疵担保責任の有無
物件を引渡し後、売主が負う保証責任の有無、負う場合の保証期間を決めます。
これまでは個人の売主であれば瑕疵担保責任を負わずに売ことが多かったですが、
近年では、買い手からしては売主が個人であろうが高額商品の提供者であり、不動産以外の商品と同じように保証を求められることが多くなりました。中古住宅流通量の増加を目指している国土交通省もそういった方向性です。
大手の仲介会社が使用している売買契約書の雛形は、基本、売主が物件引渡しから数ヶ月程度は瑕疵担保責任を負うものとされていますし、大手の建売業者が土地を購入する際も売主の瑕疵担保責任の負担を条件とします。
そこまで言うなら瑕疵担保責任を負うかと、実際に瑕疵がある確率は低いだろうと思っても、
万が一、瑕疵が発覚すると、負担する金額が何百万、数千万になることもあります。
瑕疵担保責任を負いながらもそのようなロシアンルーレット的なリスクテイクを避ける方法としては、
一つは、インスペクションを受け不具合の有無を確認し、指摘項目があれば是正し、一定条件を満たして住宅瑕疵保険に加入すれば、瑕疵担保責任リスクを保険で付保することができます。費用は掛かり、場合によって保険に入れないケースもありますが、買い手にとっても不動産取得税減額や住宅ローン控除の特典を受けることができ、不動産の商品性が上がります。
もしくは、インスペクションを受け、指摘された項目を是正するのではなく、それを買い手に開示します。瑕疵担保責任は売主が知らなかった不具合が対象になるので、知っていて開示をしていれば対象となりません。
もちろん、不動産の商品性は下がりますが、買い手は事前に知っていれば対処ができるので、買い手側はロシアンルーレットを避けられます。
どうしてもインスペクションできないということであれば、売主が瑕疵担保責任を負わないことを条件とすることはできます。買い手はロシアンルーレットとなるのでそれはそれで通常は売買価格に影響します。
ただ、インスペクションを受けて、指摘項目を是正せず開示するのと、インスペクションせずブラックボックスで売るのでは、ケースバイケースではありますが、後者の方が高く売れるように思います。それがインスペクションが浸透しない理由でもあります。
なお、瑕疵担保責任を負わない条件であっても、不具合があるのを知っていたのに、嘘をついたり、うっかり言い忘れたような場合は責任は免責となりませんのでご注意ください。
物件状況報告書、付帯設備表
不動産の売買契約締結時に売買契約書と共に売主、買主が取り交す書類に物件状況報告書と付帯設備表があります。
<物件状況報告書>

物件状況報告書は、雨漏れや地盤地下といった不動産自体の不具合の有無や履歴、境界の状況、事件や事故等について記載します。
<付帯設備表>

付帯設備表は、給湯器やインターホン、網戸といった不動産に付随する設備の有無、付帯する場合に不具合の有無を記入します。
どちらも買い手が決まった後に記載し、契約当日に買い手に説明するのが慣例ですが、まあまあ重要な情報なので、契約のその場で提示するのは本来避けるべきです。
ここまで売却チェックポイントをご確認いただいた方であれば即記載できると思いますので、できれば販売を開始する際に記入して購入検討者への販売資料するのをおすすめします。
shiro-shita
最新記事 by shiro-shita (全て見る)
- 不動産ポータルサイトでは伝えきれない物件の魅力をいかに伝えるか - 2025年12月4日
- 不動産会社に依頼した入居者募集が決まらないときにやること 不動産オーナーによる物件マーケティング戦略の検証その2 - 2025年11月27日
- 不動産会社に依頼した入居者募集が決まらないときにやること 不動産オーナーによる物件マーケティング戦略の検証その1 - 2025年11月20日


















