引き続き不動産売却のチェックポイントについて記載します。
<第1回>権利証・登記識別情報通知
<第2回>抵当権等の不動産に設定された権利
Contents
不動産売買における境界の重要性
近年の不動産売買では境界の扱いがより厳密になってきています。
不動産売買における完璧な境界の状態とは
- 隣接地とのすべての境界に境界標がある
- 地上、地中、上空すべてで越境物がない
- 境界確定協議が実施されている
ただし、常日頃からこれらすべてを満たしている不動産はほとんどないでしょう。
隣接地とのすべての境界に境界標がある
すべての境界とは例えば下記も含みます。


私の経験上ですが、境界標が100%揃っている物件は分譲地や建売以外では半分もない感じです。
最近の境界標は動かないようにコンクリート製の杭を根元をコンクリートで固めて設置しますが、かつては境界についてあまり意識が高くなかったので木製やプラスチック製もありました。何十年も耐えられる代物ではありません。
「なければ付ければいいじゃん、境界標はホームセンターで売ってるよ!」
と思われるかもしれませんが、隣地との境界を勝手に入れるのは犯罪です(境界損壊罪)。
隣地所有者に断ったとしてもNGです。
土地家屋調査士という専門家に依頼して、過去の地歴等を確認して厳密な手続きの上で入れないと不動産取引上はまともな境界標とみなされません。
地上、地中、上空すべてで越境物がない
越境が微塵もないということはないでしょう。雑草が伸びて、隣地にはみ出すのも、隣地の雑草がこちらにはみ出すのも越境です。
程度問題であり、雑草程度ならそのままで問題ないですが、
樹木の枝が上空で越境とか、境界のフェンスが一部曲がって越境みたいなレベルでも是正を依頼されることがあります。
さらに、隣地の境界塀のベースが地中で越境しているとか、雨樋が空中越境している場合、
こちらは被害者なのに若干値引きを求められたり、隣地所有者から建て直す時は訂正するといった覚書を取らなければならなかったりします。
境界確定協議が実施されている
境界確定協議とは境界標がある部分もない部分もすべての境界標を隣地所有者と確認して、ない部分は設置し、ある部分も訂正が必要であれば訂正し、それを書面に残します。
土地家屋調査士という専門家が土地を測量し直して、隣接地所有者と境界について立ち会って確認するので、どんなに狭い土地でも10万単位でお金が掛かります。50坪程度の土地でも50万円くらい掛かることもあります。
購入者が土地の分割(分筆)を予定している場合は必ず境界確定協議が必要ですし、分割しなくても大手企業が購入するような場合、コンプライアンス上、ほぼ必ず実施を要求されます。
境界確定協議の必要性は年々高まっており、所有者が一般個人であったとしても、不動産を商品として売る以上はするもんだと思っていた方がいいでしょう。
また、買い手が確定協議まで求めない場合でも、公道や公有地と接する部分の境界標が欠損している場合、そこだけ復元するのに役所の担当部署が立ち会ったり、境界標の設置を認めてくれたりはしません。正式な境界確定協議を申し込む必要があります。
つまり、公道との境界標が欠けていれば、それがたった1ヶ所であったとしても、土地一筆全体を境界確定協議をしないと境界標は復元できません。
地積更正登記
境界確定協議を行うと土地も測量しなおすことになりますが、登記簿上の地積と寸分違わぬということはまずありません。
小数点以下の誤差であればスルーすることが多いですが、ズレが大きい場合は地積更正登記で登記簿の地積を訂正すべきです。地積更正登記はそのうちいつか気が向いたときにでは手続きができないので、やるならこのタイミングでとなります。そうなると費用がまた5万〜10万掛かります。
土地家屋調査士は地積更正登記をする際に隣地所有者の印鑑証明書をもらうことが多いので、作業の終了間際に更正登記を依頼されても対応できないことがあります。必要な場合は早めに依頼というか、境界確定協議を依頼する時点で、何平米以上のズレがあれば行うとか決めておくべきでしょう。
境界確定不能もありうる
境界確定協議を行ったからといって必ず隣地所有者から境界の同意を得られる訳ではありません。
土地家屋調査士という境界の専門家とはいえ、相手のあることなので、隣接地所有者があまりに変人とか、夜逃げして音信不通とかの場合は難儀します。
境界が確定できない土地は、大企業とかだとコンプラ上買えなかったりしますし、分譲を予定していれば事業になりません。売買契約条件によっては境界確定不能は契約解除となります。契約解除まで至らない場合でも、境界確定ができない土地は訳アリ物件臭が漂い値引き圧力となったりします。
境界確認の流れ
境界についてベストな対応スケジュールは
| ①土地家屋調査士に境界確定協議を前提に、まずは現況測量だけを依頼 ②現況測量により測量面積、土地の正確な形状、越境の有無を確認 ③越境がある場合は訂正または隣地所有者と覚書締結 ④不動産販売開始(現況測量図を販売資料に) ⑤購入申込み、売買契約 ⑥境界確定協議の発注 ⑦隣接地所有者と境界立会い ⑧境界確定協議書作成、地積更正登記 ⑨買い手への物件引渡し、代金受領 |
という流れです。
とはいえ、すべての取り引きが上記の流れでいく訳ではありません。
立地が悪くて売れるかどうかわからないとか、売却にあたり先行費用を払えないという場合は、現況測量を省いたり、買い手によっては境界確定協議をしないで欠損杭の復元だけ、もしくはそれもしないでということもあります。
ただ、いずれにしても上記の流れをベースにアレンジするのがいいでしょう。
shiro-shita
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