負動産問題は挫折する!?

売り手

負動産問題に手を付けても途中で頓挫するのは何故!?

そもそも手をつけたくない負動産問題。何とか手を付けてもこれでもかとネガティブな問題が噴出する件

以前の記事で市街地から離れている原野、山林、農地といったいわゆる負動産について記載しました。

価格の算出および処分方法ははフェーズ1からフェーズ4までの段階があり、

  • フェーズ1 将来化ける不動産
  • フェーズ2 現況で買い手がつく不動産
  • フェーズ3 造成済みなら買い手がつく不動産
  • フェーズ4 有償での処分
  •  
    なるべく対価を得れるようフェーズ1から順に検討していき、どうしようもない場合にフェーズ4の有償処分を行うのが望ましいのですが、

    その通りにやろうとしても途中で頓挫してしまうことが多いです。

    なぜでしょう?

    負動産に手を付けて頓挫するまでの道のり

    価格に決め手がなくグダグダ販売を続けてしまう…

    こういった不動産の場合はまずは調査が欠かせませんが、調査は大きく分けて2つあります。

    1つは、不動産状況調査です。

    土地の面積がいくらあって、ライフラインの引込みはどうで、権利関係はどうだといった調査です。宅地建物取引業法における重要事項調査といった感じです。

    市街地から離れている不動産は現地に行くのに時間が掛かったり、都会にくらべて資料が少なかったり、不動産が広大だったり、農地法や森林法といった普段あまりかかわりがない法的調査をしなければならないので大変ではありますが、労力(そして費用)を惜しまなければ不可能ではありません。
     

    そしてもう一つは経済的価値の調査です。

    これは答えのない状況に陥りがちです。

    市街地から離れた不動産の場合、周辺で取引された事例も販売している事例もほとんどないのが普通で、いくらが適切な価格であるかわからない。

    というか、

    事例がないということは往々にして需要がなくタダでも引き取り手がないことが多いのですが、

    それを言い切れる根拠もありません。
     

    売りに出してみたら、

    「私、こんなどうしようもない広大な荒地を欲しかったんです!」

     
    そんな変わり者が突如として現れるかもしれません。

    不動産は世界に一人でも欲しい人がいれば取引が成立し、問題は解決します。
     

    なので、はっきりとしたことがわからない以上は、とりあえず現況のまま1坪あたり●円で売りに出してみましょうということになります。フェーズ2の段階です。

     
    で、とりあえずはじめたつもりがずるずるそのままになって数年放置みたいな。

     
    購入検討者から問い合わせがあって色々とやり取りするとその不動産の市場性や逆に何がネックで売れないのかがわかってきたりするのですが、

    一切何の問い合わせもないとそういった学習の機会もありません。

     
    惰性で販売を続け時間が経つうちに処分への意思も薄らいでゆくのです。

    売れないから造成するといっても…

    それでも何とか気持ちを持ち直してフェーズ3の造成工事をしての販売に移行しようとしても、ここでも壁にぶち当たります。

    売れないから商品性を高めるために造成工事をするのは頭で理解できても気持ちは後ろ向きです。

    しかも、造成の見積を取ろうにも、不動産の形状や高低差がわかる測量図がなく、さらに遠方ときたら、今どき工事業者はほとんど取り合ってくれません。

    だって、

    業者とすれば見積倒れになりそうですし、あまり辺鄙な立地だと下請や協力業者がなく受けるに受けられないからです。

    仮に見積してくれても、

    しっかり調査して見積る訳にはいかないので余裕をみた数量単価設定で工事費は膨れ上がります。
     

    気が進まない上に、見積さえ取れない、やっと取得した見積も高額ときたら前に進もうとする気力は潰えてしまいます。

    この状態で最終決断を迫られても…

    次は順序的にはフェーズ4の検討段階になりますが、

    フェーズ2では売れないというはっきりとした確証が掴めた訳でも、

    フェーズ3の計画をしっかり詰めた訳ではありません。

     
    納得感が全くない中で、気付くと最終段階に追い込まれた感じです。
     

    ここまで来るのも大変でしたが、フェーズ4移行というより、ここで完全頓挫するのが大半のはずです。

    負動産問題を何とかできないか?

    負動産問題解決までの道は険しい
    解決が難しいからこそ負動産が社会問題化する訳ですが、

    何とかしてこのジレンマを超えることはできないでしょうか?
    (続く)

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    shiro-shita

    仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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