自己実現のためには社会貢献すべき理由
前回はゲーム依存に陥った私がジュリアキャメロン著「ずっとやりたかったことをやりなさい」記載のアーティストウェイに取り組んだ顛末を記載しました。
【前々回の記事:弊社の第6期が終了しました】
【前回の記事:無意識に溜まる感情や記憶の在庫を一掃する方法
今回は私のアーティストウェイによる思考の変遷を綴りたいと思います。
報酬系快楽システムは人間の機能
私のアーティストウェイはまずは自分の依存的傾向と向き合うことからはじまりました。
依存とは脳の報酬系の過剰作用であり、条件反射的に働くので過剰作用(欲求の発生)自体は私が止めることはできません。強い意志でその欲求に抗う(我慢する)ことは不可能ではありませんが、普通は真正面から戦っても勝負になりません。というか、意志が勝る人ならそもそも依存傾向に悩むことはないでしょう。薬物依存者に対し正義感に満ちたTVコメンテーターが意志が弱いと断罪したりしますが、依存のシステムをわかっていない人の意見です。
そもそも報酬系は人間が進化の過程で身に付けた機能です。生存、生殖のチャンスに敏感になり競争優位に立つためのものです。食料を獲られそう、異性と出会えそう、そんな時にドーパミンが分泌されてやる気がみなぎるのです。
名誉を得たい、良い記録を出したいというのはもちろん、成功するために目の前の逆境を乗り越えようとするのも報酬系の存在が欠かせません。報酬系が働かないと廃人的に社会生活どころか日常生活すら困難になります。
報酬系が今の社会に適った方向性かつ適切な反応量だと社会的成功につながり、そうでないと依存や無気力になるのです。
現代にアップデートできない報酬系
しかし、報酬系には仕組み的な偏りがあります。
まず、目的が生存、生殖なので、快楽主義的で、現代的QOL(クオリティーオブライフ)には往々にして反します。
そして、発動要件や仕組みがいまだに狩猟採取の生活に最適化され、アップデートはセキュリティ面も含め超スローです。
狩猟採取時代には生物学も地理学も天候学もないので獲物・果実に巡り合い採取できるかは運次第で、とにかくなるべく多くの狩猟ポイントをまわるしかなかったので、報酬系はそれに合わせて、一箇所目がダメでも次は採取できるのではないかと期待するだけで活性化し、ランダムな条件で本当にゲットできると強烈な成功体験(快感)となります。
この報酬系の仕組みに狩猟よりも最適化されているのが、一部のギャンブルやゲームであり、最適化どころか物質によって直接的に快感をもたらすのがアルコールやドラッグです。
ギャンブルは基本負けるようにできていて、大金を失ったり借金をしたりで社会生活を困難にし、アルコールやドラッグは使用継続すると耐性がつき、使用量が増すことで健康を害します。というかドラッグは犯罪です。
それにくらべればゲームは課金目的のソシャゲでなければ、基本は勝つようにできています。私は「仁王」を多分200時間以上やりましたが、クリアしてやめました。掛かったお金は数百円で、寝不足の日はありましたが、もちろん今は回復しています。ギャンブルやアルコールにくらべればだいぶマシです。
無理してやめてアルコールに戻るくらいならゲームくらいいいじゃないかとも思いますが、できれば、もっと創造的活動、健全な趣味に時間とエネルギーを使い、QOLを向上させたいと思うのです。
報酬系の過剰作用からフリーになれるか
しかし、繰り返しになりますが報酬系の欲求に真正面から意志で抵抗するのは下策です。
報酬系は人間が生き長らえ、子孫を増やし種として繁栄するために、個人よりも種のために組み込まれたプログラムです。DNAが人間を何世代も乗り換えて継続できるよう、人間をうまく操縦する仕組みとも言えるでしょう。
(個人のQOLを高める形質があったとしても子孫を残さないとその形質は引き継がれません。人類誕生以来とにかく絶滅しないことに最適化されていないと過酷な環境の中で次世代にバトンをつなげなかったはずです)
なので、私のように一度快感の虜となった者が依存からフリーになりQOLを高めるためには、DNAの隙を突いてうまくやらなければなりません。看守の目を盗んで夜な夜な抜け穴を掘って脱獄するような感じです。
自分らしく生きようとして頑張りすぎると反動で快感を貪りたくなるので、依存が生じない程度にゆっくり、それでい楽しみながらやるのです。
しかし、それもまた難易度高いです。
例えば、絵を描く場合、絵を描いていれば誰からも評価されなくても楽しいと思える人は限りなく少数派で、普通は人から評価されたいと思うはずです。しかし、今の時代少し絵がうまい程度ではSNSにアップしたところでほとんど誰も見てくれません。また、良い評価を得たいと思えば、悪い評価を受けるリスクも取らなければなりません。
1ヶ月間頑張った成果をアップしたところ、コメントに「草w」と書き込まれたら…。
心が折れてアルコール依存に陥りかねません。
なぜ人は自分らしく生きたいと思うのか
考えるほどにQOLを高めて自分らしく生きることの難しさがわかります。
やはり下手してアルコール依存に戻るくらいならゲームをしてた方がいいのでしょうか?
ところで、
なぜ、人はQOLを高めたり、自分らしく生きたいと思うのでしょう?
いとも簡単に報酬系に支配され、つまるところ子孫を残すためだけに生きているのなら、むしろ自分らしく生きたいなんて思わない方がマシです。そんなこと思うから絶望して自死する人が出るのです。
人間は合理的に設計されていて、無意味な機能にリソースを割けばトレードオフで弱体化する機能が生じ、長い目で見れば淘汰されるはずです。
(例えば、脳が大きくなればよりエネルギーを消費し、産道に大きくなった頭を通過させるために未熟な状態で出産しなければならない)
それなのに多くの人間は自分らしく生きたいと思います。
それには合理的理由があるのではないでしょうか?
ここまでは自分の考えに本で読みかじった知識を織り交ぜて書いていますが、ここからは完全に私の思い付きの仮説です。
人間が自分らしく生きたいと思うのは、その方が集団としての人間が繁栄するからではないでしょうか。
ある人が誰かの役に立てば、それにより恩恵を受けた人はより生存しやすくなり、子孫を作り、種が繁栄する可能性が高まります。自分らしく生きたいと思う人がいる集団とそう思う人がいない集団では前者の集団の方がより繁栄するのではないでしょうか。
もしそうだとしたら、自分らしく生きたいというのは単に利己的な願望であってはなりません。
その人の自己実現がその人のためだけではなく社会のためにもなるとき、DNAは自分らしく生きることを妨害しないのではないでしょうか。
繰り返しますが単なる私の思い付きで科学的根拠はこれぽっちもありません。
しかし、このことは成功者が慈善活動をすることが多いことと符合しますし、そう信じるデメリットは特になく、それが心の支えとなるなら、ことの真偽は置いといて信じてみるのは素敵じゃないでしょうか。
私が社会のためにできること
社会のためにできることは人それぞれ違うと思いますが、
私に関して言えば他のことにくらべたらやはりこれまで二十年積み重ねてきた不動産の仕事なのだと思います。
弊社にとって今期は7期目となりますが、この一年は私の仮説の検証に充ててみたいと思います。
shiro-shita
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