相続のときに困る不良不動産とは?

売り手

相続のときに困る不良不動産 あなたのご両親もお持ちかも!? ​

不良不動産の2類型

相続のみならず様々なケースで足をひっぱり頭痛の種である不良不動産。

例えば、僻地にある土地、崖地や無道路地、賃料と入居率の落ちた古貸家・古アパート、旧借地権で貸している土地(底地)、境界確定不能地etc…

様々ありますが、

これらは大きく2つに分けることができます。

経済的価値がなくて整理できない不動産

僻地の土地や崖地、どう頑張っても道路に接しない土地などが該当します。それらはそもそも経済的な価値がありません。

また、玉石擁壁に囲まれた土地で、建物を建てる際に擁壁組み直し費用が土地代を上回る場合もトータルで経済的価値なしになります。
(冒頭の画像のような土地です)

さらに、不動産市場では現在価値だけではなく将来価値を予測して売買価格が決まるので、現在は多少の資産性があっても、将来、より過疎化が進むエリアの土地や、スラム化が懸念される区分所有マンションは現時点で買い手がなくなります。

経済的価値がないどころか、維持費(固定資産税、管理費など)が掛かるのでマイナス資産です。

 
これらは論理的に解決不能な不良資産です。

できれば早急に処分したいところですが、普通とは違った視点で物件を探している奇特な方を探さなければなりませんのでなかなか大変です。

ただし、こういった物件は相続税評価が低く多額の相続税が掛かることはないので、税金の問題というより維持管理の手間や経費の負担が問題です。

 
それでも、こういった資産を頑なに持っていたいという方もいます(ほぼ高齢者)。不動産についての価値観は世代間ギャップが激しいんです…。

他人の権利が付着している等でポテンシャルを発揮できない不動産

旧借地権が設定されている土地、古貸家・古アパート等は、更地になれば高い価格で売れたり、もっと収益が上がる建物を新築することができますが、そのままだと低い賃料、低い売価のままです。

また、隣地との問題があり境界を確定できない土地は相場より低い価格でしか売れず、隣地からの正確な距離がわからないと斜線制限の計算ができないので、厳密に言えば建物を建てられません。

 
これらはそれでも若干の収益を生んでいて固定資産税はペイできていることが多いですが、

不動産が本来持つポテンシャルを発揮できてなく、そのまま放置していると相手方に相続が発生したりさらに解決が難しくなるのと、相続時にそれなりの相続税評価をされてしまいます。

 
ただし、これらは完全には解決不可能ではありません。

 

貸家、アパートなら賃借人に退去してもらい、底地であれば、借地人と交渉して借地権を解除してもらいます。

言葉にすると簡単ですが、それにはどういったことに注意して、どういったスタンスで臨むべきなのでしょうか?

(次回に続く)

The following two tabs change content below.

shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

モーレツ不動産営業会社エピソード不動産会社の営業都市伝説② モーレツ不動産営業会社エピソード ​前のページ

古貸家・古アパートの入居者退去交渉に一番必要なもの ​次のページ古貸家・古アパートの入居者退去交渉に必要なものは?

ピックアップ記事

  1. これを読むと不動産業界では働きたくなくなる!? 不動産会社での雇用・労働の実態と…

  2. アパート1棟買っちゃいました ~個人的不動産投資談①~

  3. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

  4. 大家・管理者のための入居審査の勘所

  5. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…

関連記事

  1. ”負動産”はいったいいくらなのか ​

    売り手

    ”負動産”はいったいいくらなのか ​

    負動産が疑われる市街地から離れた原野、山林、農地の価格を考える…

  2. 司法書士の本人確認&意思確認

    売り手

    不動産売却のチェックポイント12 不動産売却の最後の壁は司法書士の本人確認&意思確認 ​

    <第1回>権利証・登記識別情報通知<第2回>抵当権等の不動産に設定…

  3. 不動産売却のチェックポイント13 決済準備は細かく面倒くさい

    売り手

    不動産売却のチェックポイント13 ​決済・引渡に向けた変更手続き 漏れたり忘れたり面倒くさい

    <第1回>権利証・登記識別情報通知<第2回>抵当権等の不動産に設定…

  4. 両手取引はオススメしない

    売り手

    両手仲介の欠陥とエージェント制の課題 ​

    両手仲介の弊害当たり前のことですが、不動産の売主はなるべく高く売り…

  5. 相続対策の第一歩が踏み出せないワケ

    売り手

    進まない相続対策に様々なギャップあり ​ 相続対策の第一歩が踏み出せないワケ

    なぜ相続対策は進まないか?誰しもがいずれは何らかのかたちで当…

  6. 資産家の未利用地は納税用不動産かも

    売り手

    相続対策はアパートを建てるだけではなく、納税用にあえて活用せずに残しておくことも  ​

    節税対策をしても相続税が発生する場合、納税用の資産が必要本来の相続対…

  1. 賃貸住宅で失敗しない間取の見方②

    買い手・借り手

    賃貸住宅で失敗しない間取の見方②
  2. 売却チェックポイント11不動産売却時に譲渡所得税でガツンとえぐられる!?

    売り手

    不動産売却のチェックポイント11 売却時に譲渡所得税がドカンと来る!?
  3. こんなアラフォーはアウト

    城下個人的

    不運のアラフォー世代は自分の老後のためにまだまだ活躍しないといけない それなのに…
  4. 違法白タクが増える…

    そのほか

    日本で違法白タクが増える問題 選択肢は”淘汰”かR…
  5. 業界団体は既得権を守るためにある

    不動産業界

    地銀が不動産仲介に参入したいって要望への不動産業界の反応がイタイ ​
PAGE TOP