モーレツ不動産営業会社エピソード

ダメな不動産

不動産会社の営業都市伝説② モーレツ不動産営業会社エピソード ​

不動産営業会社はこんなことをしていた!?

前回の記事でかつての不動産営業会社にありがちな社内模様について記載しました。

<前回の記事>不動産会社の営業都市伝説① 不動産営業会社は動物園の猿山

そんなんだったので無意味でアホなことを一生懸命していた訳です。

いくつかエピソードを紹介すると

名前を呼ばれない新人

ある現存する不動産会社の話ですが、

多くの不動産営業会社がそうであるように、オフィスの壁面に個人の成績グラフが張り出されていますが、入社したての新人は当然ゼロからスタートします。

売上額がゼロなら達成率も当然ゼロパーセントです。

その会社ではそういった達成率ゼロパーセントの新人を名前で呼ばず「ゼロパー」と呼びます。

前もって断りがある訳ではなく突然です。

 
先輩「オイ、ゼロパー!」

 
新人「???…」

 
それがブッラクで有名なその不動産会社のしきたりです。

一応、ハングリー精神を持ってもらうためという理由になっているそうです。

ともあれ、強烈な社内カーストの最下部で奴隷的労働が開始する訳です。

 
 
そして、ゼロパーはまだ営業現場に入れません。

まずはオープンハウスの声出しの練習です。

なぜオープンハウスで声出しが必要かわかりませんが、ちなみに私は一度もしたことありません。

 
なお、チラシのポスティングを毎日行うか、過去に問い合わせがあったけど成約しなかったリストにテレアポして1件成約させると「主任」になれるそうです。
(チラシに個人名が書いてあるので誰がまいたかわかる仕組みになっています)

月末はファンタジック

不動産営業会社では月ごとに営業ノルマがあるので、月末は少数の達成済者以外、各々が頑張ってますアピールをしなければなりません。

ある者は最後の一秒まで可能性を追求してますと必死さをアピールし、また、ある者は見込客に只今ガチンコ勝負中とアピールします。中には架空の見込客への営業ストーリーをでっち上げる者もいます。

 
 
たいていの会社では月の最終営業日の夜は営業会議となり全員出席ですが、例外的に欠席が認められるのはその時間に顧客とのアポイントがある人です。

もちろん、クロージングをするためのアポでなければなりません。

 
客宅にいるときは定期的に状況を報告するので、その進捗状況は会議の中で全員が把握します。

そして、結果が出るまで会議は終わらず、全員が帰宅できません。

 
会議の後は飲み会なので会議が終わってもそもそも帰れないのですが、それ以前に、

「今も戦っている仲間がいるんだから全員で応援しよう!」

という建前に会議室が包まれ、帰りたい素振りを見せるのもNGです。

帰宅してさっさと寝たり、せめてデスクに戻ってそれぞれの仕事に戻った方がよっぽど生産的なのですが、結果を固唾を飲んで見守るふりをしなければなりません。

 
 
その人の商談が終了するとやっと会議は終了し居酒屋に移動し、宴の途中でその人と合流することになります。

商談成立であれば英雄扱いですし、不調であっても勇敢な戦士として讃えられます。

不動産営業会社全員がカタルシスです。

お客様は神様ではなく攻略すべき敵である

不動産営業会社の価値観では、組織への献身、合理性より精神論を重視するので軍隊的な価値観に近いのですが、軍隊だとすれば、敵は顧客です。

「なんでその客買わないんだ!」
「そんな客潰してしまえ!」

そんな怒号が日々飛び交います。

不動産営業会社ではまさに顧客を攻略することがミッションであり、作戦失敗時の憎悪は顧客に向けられます。

客商売じゃねーのかよ、と思われるでしょうが、そんなもんです。

 
 
なので、世間一般的には良くない行いであっても顧客へのアタックであれば社内では称賛されるのです。

 
オートロックのマンションに侵入して飛び込み営業したり、

 
客宅で契約するまで帰らないと言ってのけ警察を呼ばれたり、

 
申込みをキャンセルした顧客を呼びつけて土下座させたり、

 
それらは不動産営業会社では朝礼で表彰される善行です。

それらの行いは将来その人が上司になった時にレジェンドエピソードとして語り継がれることになります。

そんな不動産営業会社も今では過去のものだが…

今でもこのような価値観の不動産営業会社もあるのかもしれませんが、最近はかつてはそういう価値観だった会社も急速に今風になりつつあります。

そもそも営業とは会社のサービスと顧客をつなぐ手段でしかありません。

サービスと顧客をつなぐ手段は営業員以外にもたくさんありますし、サービスがよければ営業員が勧めなくても売れるのです。

今はむしろ営業員が出張るよりも、ネットやSNS広告で潜在顧客層にサービスを刷り込ませて、そこからWEBページやECサイトに入った顧客をリマーケティング広告で追っかける方が効果的だったりします。(不動産業界ではあまりやってないですが)

そういう意味では人が対面で行う営業はオワコンとまではいわないものの斜陽です。

 
しかし、私自身はそのような不動産営業会社に一時的に身を置いたことを後悔していませんし、得るものもたくさんありました。

そういった環境で営業に無限に時間を使い、精神衰弱するまで営業のことを突き詰めて考えたお陰で、常識的に生きていては経験できないこと、巡り合えない人、気付けない能力と出逢うことができました。

 
感謝してます…。

 
私自身はそういう会社にいた頃も今でも全くもって大したことありませんが、今、不動産業界で輝いている人はだいたいそのような不動産営業会社で才能を開花させた方々です。

特定能力の育成に特化した環境に一時的にでも身を置いて鍛えるのは、標準的な人よりエッジの効いた人材が求められる今の時代においてなおさらに重要性を増しているように思えます。

かつての不動産営業会社を再現しても意味ありませんが、無駄なことを排除しながら、あの頃のような真剣さ、上昇志向で仕事に当たりたいものです。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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