そもそも瑕疵って何?
不動産取引における瑕疵は、買主に不動産を引き渡した後に、
家の土台がシロアリに喰われていたり、地中にコンクリートガラが埋まっていたりといったような、
隠れていて売主も買主も善意無過失で気が付かなかった欠陥、不具合のことを言います。
瑕疵が発見された場合の修繕や機会損失に対する賠償責任は、民法では、売主が発見されてから1年間負うと、つまり引渡し後100年経過しようが、発見されたら売主の責任と非現実的な定めがされているので、不動産売買契約約款で別に取り決めるのが一般的です。
取り決めの内容は自由(※)ですが、かつては消費者保護の観点が薄く、引渡し後にゴタゴタすると仲介した不動産会社に多大な金を生まない業務が発生することから、不動産会社主導で売主の瑕疵担保責任を免責にするケースが多く見られました。
不動産の売買価格が売主と買主で合意して、契約日も決まった後に、
「そうそう、瑕疵担保責任ってのがありますが、今回はなしですから」みたいな。
売主が瑕疵担保責任を負担するのが世の中の流れ
しかし、今は数千円の電気製品でも保証が付いている時代です。
高額な買物の代名詞である不動産に保証がないのでは、万が一のときに人生オワタになる恐れがあります。
それで最近は売主が個人であっても不動産商品の提供者である以上は一定の保証をすべきという風潮が高まっています。
しかし、だからといって売主が一か八かで瑕疵担保責任を負って、有責期間に何も出ないのを祈るのはベストな対応ではありません。身の丈に合わないリスクは負えません。
瑕疵のリスクを限定&ヘッジするには
まずは、超基本ですが、事前にしっかり調査を行い瑕疵の発生確率と範囲を限定すべきです。
そういった意味でもインスペクションを実施するのが望ましいと言えます。
そして、建物であれば瑕疵担保責任保険に加入するという方法もあります。
加入すると不動産取得税の軽減を受けれたり買主にもメリットがありますが、加入には保険会社の引受基準をクリアする必要があり、建物のレベルによっては審査のテーブルにすら載らなかったり、リフォームをする条件がたいてい付きます。
それ以外には土壌汚染リスクなら土壌調査とか、ボーリング調査とか専門的な調査は各種ありますが、個人用の不動産で手軽に利用できるようなものではありません。
究極的には誰かがリスクを負わなければならない
現時点では、調査やリスクヘッジの方法は現実的には限定されていて、できる限りの策を講じた上で最終的には売主か買主どちらかが負わざるをえません。
ゼロリスク信者の方は、そもそも不動産売買には瑕疵以外にも様々なリスクがあるので不動産売買の当事者になるべきではないのでしょう。
そして、瑕疵の責任の有無はもちろん金銭的評価に反映されます。
売主が瑕疵担保責任を負わないのであれば、買主が負担するリスク分、通常は売買価格が下がります。
一律何%減するという統一的基準はなく、個別の案件ごとに取り決めることになります。
冒頭の不動産屋のように売買条件が決まった後に瑕疵担保責任の話をするなんてもっての他で、本来は販売をする際に最初から条件として謳うのが望ましく、少なくとも購入希望者が出て売買条件を決める際には売買価格と一緒に取り決めるものです。
値引きが了承されて喜んだのも束の間、瑕疵担保責任を免責にされて多大なリスクを負わないよう注意しましょう。
※ちなみに売主が不動産業者の場合、法律上、引き渡しから2年間の瑕疵担保責任を負わなければならないと宅地建物取引業法に定められています。また、不動産業者でなくても売主が法人で買主が個人だと消費者契約法上、売主の瑕疵担保責任免責は無効となる恐れが高いです。
shiro-shita
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