インスペクション制度

業界動向

建物状況調査制度はまだまだ道半ば 空気を読みながら姑息に対応すべし ​

国交省肝いりで始まったインスペクション制度ですが、今のところは売る場合も、買う場合もまだまだという感じです

2018年4月から始まった建物状況調査(インスペクション)制度ですが、現在のところそれによって不動産売買が大きく変わった程ではないというか、

ざっくばらんに言って、

「インスペクション済み物件」は相当レアです。

インスペクションサービスを提供している会社はチラホラいますが、果たしてビジネスとしてどれほどうま味があるのでしょうか。

なぜインスペクションが実施されないか

物件自体が何千万円もする場合は、インスペクションの費用はそれに較べて大した費用ではないので、インスペクションを実施して堂々と販売すればいいように思うのですが、

  1. インスペクション済みと謳うとどれほど販売にプラスなのかはっきりしない
  2. 特に居住中だったりすると部位によっては調査できない
  3. 不具合が見つかった場合は修理しないと値下げ圧力になる
  4. 実施後なかなか売れず月日が経つとインスペクションの信憑性が薄れる

インスペクションにはメリットもデメリットもありますが、特に売主にとってはデメリットがメリットを上回るように感じられるのです。

 
さらに、上記売主側以外にも実施を妨げる課題があります。

地域間格差 地方はツライ

郡部の場合、土地建物で数百万円とかイキナリ破格でも、現実的には買い手がつくかわかりませんので、インスペクションを先行実施することはなかなかできません。

その上、インスペクションしようにも、地元に業者がおらず、遠方から出張料を払って要請しないとならないこともあります。

買主は掘り出し物件がほしければインスペクションを要求できない

インスペクション未実施物件について購入検討者が実施を希望する場合、インスペクションの段取りをしているうちに違う人に先を越されることもあります。売主にとっては面倒なことを言わない人の方がいいに決まっています。インスペクションを条件とする買主は人気物件では不利になります。

 
 

インスペクションは中古住宅の流通数を増やすという国策の一環なので紆余曲折はあっても定着する可能性は高いと思いますが、いましばらく様子見が続きそうです。

The following two tabs change content below.

shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

不動産屋の広告はダサイ不動産屋の広告はいつまでもこんなんでいいのか!? ​前のページ

不動産を売却するときに最も大切なことは、売却目的を明確にすること​次のページ売却目的は重要

ピックアップ記事

  1. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

  2. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…

  3. 大家・管理者のための入居審査の勘所

  4. 祖父の愛したゴミと不動産①

  5. 不動産向け融資が凍結されている今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

関連記事

  1. 不動産の現場販売は終わるか!?②

    業界動向

    不動産の現場販売は終わるのか!?②

    他の手段にリプレイスされる現場販売者前回の記事:不動産の現場販売は…

  2. ウィズコロナ&アフターコロナの不動産業界

    業界動向

    ウィズコロナ&アフターコロナの不動産業界

    新型コロナでついに世界はニューノーマルを迎えるか!? 結局、歴史は繰り…

  3. それなら不動産営業はどうすべきか!?②

    業界動向

    それなら不動産営業はどうすべきか!?②

    不動産営業は顧客のステップアップをプロとしてサポートすべき!前回は…

  4. 新しくできた投資用不動産検索サイトが革新的なんだがこれって流行る!? ​

    業界動向

    新しくできた投資用不動産検索サイトが革新的なんだがこれって流行る!? ​

    先進的な検索サイトがローンチされる投資用不動産不動産検索サイトとい…

  5. それなら不動産営業はどうすべきか!?①

    業界動向

    それなら不動産営業はどうすべきか!?①

    ITにリプレイスされる中で不動産営業が担うべき役割とは?前々回、前…

  6. 不動産融資監視強化 ​

    業界動向

    金融庁が不動産融資監視強化 サラリーマン投資家にとどめ 地銀もついにビジネスモデルを改めるか ​

    すでに事実上凍結されている不動産投資への融資ですが、金融行政方針に明記…

  1. 相続税取得費加算の特例

    不動産知識・テクニック

    相続税を支払った人もこれで少しは気が軽くなる!?「相続税取得費加算の特例」 ​
  2. 災害に備えるために役所に相談してみよう!②

    不動産知識・テクニック

    災害に備えるために役所に相談してみよう!②
  3. shiro-shita

    個人的なはなし・意見

    何をもって偉そうに「不動産コンサルタント」と名乗るか、何で「fudousan-l…
  4. 住まいプランハック 賃貸編

    不動産知識・テクニック

    住まいプランハック 【賃貸編】
  5. 不動産売却のチェックポイント13 決済準備は細かく面倒くさい

    不動産知識・テクニック

    不動産売却のチェックポイント13 ​決済・引渡に向けた変更手続き 漏れたり忘れた…
PAGE TOP