不動産営業会社は動物園の猿山

ダメな不動産

不動産会社の営業都市伝説① 不動産営業会社は動物園の猿山 ​

かつての不動産営業会社のヤリ過ぎっぷりを思い出してみる

私はほぼ毎日お昼は外食ですが、食事中は左斜め前にスマートフォンを置いてネットの記事を読むのが通常です。

こんな風になったのはここ数年の話ですが、すでにガラケーのときやスマホの初期の頃のことを思い出せもしなくなっています。

私は何をしながらお昼を食べていたのでしょう?

ただ黙々と食べていただけではないでしょうし、頻繁にメールのやり取りもしていなかったような、ポケットに文庫本を忍ばせてって訳でもなかったはずです。

 

 
このようにすぎ去った過去はいとも簡単に風化するものです。

 
ところで、テクノロジーの進化や雇用環境売手市場化を受け、職場の雰囲気が大きく変わりつつある今日この頃ですが、もちろん不動産業界も例外ではありません。

不動産業界で働くならこのくらい当たり前という前提が崩れつつあります。

私が業界に入りたての頃、中々なじめず本気で悩んだことを今になって考えれば、

やっぱり私の方がまともだった!ということが多々あります。

今さらそんなこと言っても、あのときはそういう時代だったから仕方ないんだよ、って片付けられてしまうのですが、

そう簡単に風化されたのでは私がおさまらないということもありますし、過去の苦しい思い出は今となっては笑える話なので、今回は少し思い出に浸ってみたいと思います。

不動産営業会社で重要な社内政治

不動産営業会社では完全成果主義で、営業成績でもって人を評価するということになっています。

このことは何も不動産業界に限ったことではなく、多くの業界で同じでしょう。

ただし、実は営業成績より大事なものがあるのです。

 
と言うと、その人の会社全体への貢献であるとか、人間性、スキル習熟度と思うかもしれませんが、そうではありません。

どういうことかというと、

 
営業主体の不動産会社とはいえ、普通の会社と違うのは学歴・職歴不問だということくらいで、勤め人である以上は一番重要なのは上司との関係、社内政治なのです。

特に不動産営業会社はブラック企業が多く、過酷な状況をサバイバルしていくために、普通の会社よりもかえって社内政治力が必要なのです。

いくら能力があっても成績が出しにくいポストに飛ばされれば鳴かず飛ばずですし、その逆に誰がやってもある程度は成績が出るポストもあります。

つまり動物園の猿山の権力争いと本質的に何も変わらないのです。

不動産営業会社の上司像とは!?

ただし、一応、営業成績第一、成果主義という御題目があるので、人事異動や人物評価に成績的要素をとってつけなければなりません。

「規定の成績には達していないが、他者がノルマ未達が相次ぐ中、唯一3ヶ月連続達成した手腕は昇格させるのに十分…」
「ノルマ未達成ではありながらも、支店プロジェクトに献身的にかかわり、その内助の功により支店のノルマは達成されたので、今後も今の職責にとどまり…」

こんな感じです。

 
そして、社内政治力を涵養するためには上司に取り入られる必要がありますが、その持ち上げ方にも御題目が付けられます。

「○○部長は営業時代に客宅で6時間粘って説得して角部屋買わせたんだ!」
「□□課長はモデルルーム接客での成約率100%って知ってた!?」

社内政治は基本エスカレートするので、事の真偽やニュアンスはさて置き、上司をカリスマリーダーのように持ち上げ、徐々にプチカルト集団化します。

そして、リーダーの言わんとすることを誰が第一に忖度するかレースが繰り広げられます。

 
ところで、持ち上げられる上司のリーダー像はなぜかどの不動産営業会社でも似たようなものでした。

社内では男気、客には軽薄です。

客に対しては最大限会社に都合の良い購買行動を取らせて、反面、部下には厳しくも頼りになるお山の大将です。

 
そして、ありがちなのは昔ワルだったエピソードです。

「高校のときはグループのヘッドで…」
「背中に大きな傷跡があってそれは抗争のとき…」

元ヤンで伝説的成績を残した熱い男、それが不動産営業会社の典型的な上司です。

不動産営業会社でのイケてる営業とは!?

そんな会社にいると、そのように上司を崇めなければならない、上司がしてきたような営業をしなければならないという同調圧力が生じます。

それで、会社にとって都合のいい、客を食い物にするような営業行為が行われます。

弱気な接客姿勢や提案はNGです。

クロージングを切り出せず保留になったり、自分から値引き販売を提案したりするのはもちろん、客の都合や気持ちを考えたり、テレアポ前に相手の下調べをしたり、顧客のための提案資料の作成に時間を掛けたりするのも否定されます。

オイシイところを最短で取る営業だけが正しいのです。

 
例えて言えば、

ナンパをしてそのままホテルに行って、ホテル代まで女性に出させるようなものです。

 
その女性を思う真摯な気持ち、サービス精神や感謝の念は全て否定されます。

 
顧客の懐に入れずマゴマゴしているうちに物別れに終わり顧客も営業も何も得るものがないというのも良くないですが、

本当にそのスタンスで成果を出せるのは詐欺師レベルの人です。

普通のレベルの人がそれをやると、よっぽど簡単な顧客しか成約に至らず、顧客のペースに合わせてラポールを築いてニーズを引き出せば成約したかもしれない顧客を逃すことになります。

なので、不動産営業会社は本当に営業成績を上げるために合理的な戦術に徹しているのではなく、猿山のルールに従ったボスザルの寵愛を勝ち取るゲームをしているというのが本質なのです。

 

 
次回はそんな不動産営業会社でのエピソードをご紹介します。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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