皆さんは疑問に思ったことがないでしょうか。
どう見ても繁盛している雰囲気のない昭和感満点の不動産会社がいつまでも存続しているのはなぜなのか?
あんな会社が存続できるくらいだから不動産業界ってちょろいのだろうか?
統計データから見ると不動産業界は到底ブルーオーシャンとは言えません。
実に全国で12.5万もの業者が宅地建物取引業登録しています。コンビニの倍以上です。
本業が別にあったり、資産管理会社でほとんど表向きの営業をしていないところもありますがそれでもすごい数です。
しかも、不動産業界は他の業界に比べて中小零細企業の比率が高いです。
昭和感満点の不動産会社は見ての通り中小零細企業であり盤石な経営基盤ではないことは確かです。
ところで、ラーメン店は全国に3万件程あるらしいです。
ラーメン店はご存知のように競争が熾烈で、その競争によりラーメンは進化を遂げ、30年前の人気店の味を忠実に再現しても今さら見向きもされないかもしれません。
当然、美味しくなくて、店構えがダサくて、サービス精神がない店は早晩潰れます。
ということは、その4倍もの不動産会社はさらに熾烈な競争下で各々が生き残り策を講じ、結果として、サービスの向上を成し遂げ、逆にそれを実現できなかった会社は淘汰されているはずです。
昭和感満点の不動産会社は見た目はしょぼくても実は他社にはない強みがあるのではないでしょうか?
昭和感満点の不動産会社の実態は!?
そんな昭和感満点の不動産会社の実情はというとこんな感じです(もちろん例外は多々あります)。
名称は「○不動産」や「○土地建物」(○は社長の苗字)、
壁面には「賃貸・売買・管理」、ウィンドウには「物件資料」、
入口には「お気軽にお入りください」と書いてあるものの到底気軽には入れない雰囲気。
中に入ると、
古びた内装に埃をかぶった紙の資料が山積み、
年配の店員が訝しげにこちらを見る。
それで肝心のサービスは、
情報はアップデートされておらず、
顧客の要望すらろくに聞かず、
他社との明確な差別化はなく、
それでいて料金はきっちり満額の手数料を請求する。
ひどいところになると、両手が取れるとか、広告費が出るといった不動産会社にとって都合がいい物件しか紹介しないところもあります(なかなか売り上げが上がらないので一人の客から搾り取ろうとする)。
そんな、見てくれが悪く、サービスクオリティーが低く、顧客を大事にしない不動産会社はこの令和の時代にフツーにあります。
ニッチではなくただしょぼいだけです。
なぜ、そんな不動産会社が存続しているのでしょうか。
なぜガラパゴス不動産会社は存続できるか!?
そんな不動産会社が存続できる理由の1つは不動産業は気楽な商売だからです。
何が気楽かと言うと、まずは在庫が不要です。
ラーメン店は営業する以上は麺もスープもストックしなければならず、食品なので一定期間過ぎれば廃棄して新たに買わなければなりません。
しかし、不動産業は主に他人が所有している不動産を扱っているので廃棄ロスも商品仕入れもありません。それどころか貸主&売主から直接依頼された物件(元付物件)なしで、他の不動産会社が扱っている物件だけで営業しているところもあります。
また、業務は肉体労働はほぼなく、年を取っても続けられます。
茶飲み話が業務の中核です。
そして、もう一つの理由は、既得権を持っているからです。
そもそも地主の家系で資産を持っていたり、昔からのつながりで管理物件を持っています。
ラーメン店なら反復継続してお客さんに来店してもらう必要がありますが、自社物件・管理物件は毎月の固定収入になります。しかも、管理会社の変更は入居者に賃料支払い先を変更してもらったりと手間なのでそう簡単に切られることもありません。
つまり、ニッチで他社にない強みを活かして存続しているのではなく、既得権を持っている業者がずるずるやり続けているのです。
(ただし、そんなガラパゴス不動産会社は事業承継するほどの価値はないのでいずれは廃業しますが)
だからと言って不動産業新規開業は甘くない
ガラパゴス不動産会社の淘汰が緩やかなのに対し新規参入者の廃業・倒産は結構多いです。
新規参入者は既得権がないので存続のためにはニッチで他社にない強みがなければなりませんが、ガラパゴス不動産会社の在り方を見て不動産はちょろいと勘違いしてしまう人がいて、しかも開業自体は簡単にできますから。
というか私はもろに既得権のない新規参入者です。
「どうみてもしょぼい不動産会社が潰れないのはなぜか?」 → 「お前だよ!!」
と全員に総つっこみミされないよう精々頑張ります。
shiro-shita
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