第14回は解約予告と退去立ち合いについてです。
アパート・マンション自主管理マニュアル①:入居者からの連絡受付体制
アパート・マンション自主管理マニュアル②:入居者クレーム対応
アパート・マンション自主管理マニュアル③:非常時体制
アパート・マンション自主管理マニュアル④:入金管理
アパート・マンション自主管理マニュアル⑤:管理業務支援ツール
アパート・マンション自主管理マニュアル⑥:滞納者への督促・回収
アパート・マンション自主管理マニュアル⑦:ビルメンテナンス
アパート・マンション自主管理マニュアル⑧:入居者募集方法
アパート・マンション自主管理マニュアル⑨:入居者募集資料
アパート・マンション自主管理マニュアル⑩:案内・申込み
アパート・マンション自主管理マニュアル⑪:入居審査・保証会社
アパート・マンション自主管理マニュアル⑫:契約・引渡しの流れ
アパート・マンション自主管理マニュアル⑬:賃貸借契約書の作成
解約は賃貸経営に不可避
賃貸経営にとって入居者の解約は基本的に喜ばしいことではありません。
次の入居者が決まるまで賃料が入ってきませんし、次の入居者を募集するために要する修繕費用は受領する原状回復費用を超えることが一般的ですし、建物が築年数経過により劣化するので次の入居者の賃貸条件は従前を下回ることが多いです。(昨今はインフレ傾向で値上げのケースも見られますが)
なので、貸主としては日頃からカスタマーサティスファクションを心掛け、なるべく長く安定して入居してもらえるよう管理運営を心掛けるべきです。
とはいえ、ある程度の解約はやむを得ず、オーナーに拒否する権利はありません。特に学生や転勤族であれば一定期間で解約する前提であり、稼働率や修繕費用等はそれらを加味して計画する必要があります。
中には利便性や金銭面でギリギリ悩みながら解約する入居者がいて、その場合は引き留めてみるのも一つの手ではありますが、一度退職を切り出した従業員は慰留しても時間の問題で辞めるのと同様、その入居者は長くありません。
解約の流れ
解約予告通知書
解約予告通知書は書面であった方が便利です。言った言わないを防ぐためもありますが、敷金があるなら返金先口座の記載や、原状回復工事見積書を送付するためのメールアドレスの記載も必要だからです。
ちなみに弊社は解約通知用のWEBフォームを作成しています。
一応、契約書に解約予告通知書を挟み込んでいますが、解約連絡の際に半分程度の入居者はどこに行ったかわからなくなっていて、そんな入居者はメールで送っても印刷できる環境がありません。
WEBフォームまでは設けないにしても、解約予告通知書を入居者にわざわざ届け、それを郵送で提出してもらい、退去立ち合い後の原状回復費用の見積をまた郵送して、みたいなやり取りは相当バカらしいので避けたいものです。
なお、多くの契約では1ヶ月もしくは30日前までに予告することになっていて、解約月の賃料は日割りしないことになっています。なので、11月1日に提出した場合、12月分賃料全額を受領できますが、これらは契約上合意してなければならず、一般的な約款だと1ヶ月前は記載されていても、解約月賃料を日割りしないとは記載されていないので、その旨の特約が必要です。
退去立ち合い
退去日の立ち合いはできれば実施した方がいいです。室内に忘れ物をされると面倒ですし、何より入居者(退去者)と同じ空間で室内状況を確認し、話を聞くほとんど唯一の機会だからです。中には退去の時にはじめて会う入居者もいて、実際に顔を合わせたことがあるかどうかが今後の解約清算のスムーズさに重要だったりします。
しかし、立ち合い自体に労力が掛かります。引越業者は前日夕方に訪問時間を告げることが多く、直前まで時間がわからず、約束の時間に行ったものの何時間も待たされることもあります。また、立ち合いは月末に多いので、月末忙しい人には不向きです。
立ち合いが難しい場合、ポスト等に鍵を返却してもらって、追ってオーナーで確認するような形式にせざるをえないでしょう。
解約手続きはスムーズさが一番
解約は金を生まないというか金を失いますが、とてもデリケートな業務です。
というのは、管理に関する揉め事は解約清算に絡んだものが多く、特に解約手続きがスムーズさに欠け、入居者の不信が高まることで誘発されやすくなります(肌感覚ですが)。
逆に言えば、手続きがスムーズだとそれだけでトラブルを抑制できます。
むしろ入居者に恩を着せる勢いで丁寧に対応しましょう。
shiro-shita
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