第6回は賃料を滞納する入居者への対応方法です。
アパート・マンション自主管理マニュアル①:入居者からの連絡受付体制
アパート・マンション自主管理マニュアル②:入居者クレーム対応
アパート・マンション自主管理マニュアル③:非常時体制
アパート・マンション自主管理マニュアル④:入金管理
アパート・マンション自主管理マニュアル⑤:管理業務支援ツール
滞納対策の鉄則は”滞納を起こさなせい”&”滞納リスクを負わない”
滞納は不動産賃貸業における主要なリスクです。
滞納されると当たり前ですが売り上げが入ってきません。そして、滞納回収が難しいからと言って即座にオーナーから解約したり、夜逃げされた部屋の動産を処分したりするのは、法律上無条件には認められません。回収にも解約にも期間・労力・費用が掛かり、二重三重の痛手となります。
そのような非生産的な労働を避ける上では、まずは滞納を起こさないことが重要です。
そのために
・入居審査で適切にフィルタリング
・担保措置(保証会社)の活用
入居審査について以前の記事で言及していますのでご参照ください。
大家・管理者のための入居審査の勘所
担保措置は敷金を何ヶ月分も取ったり、連帯保証人を要求するのは若干時代遅れになりつつあるので通常は保証会社の利用となります(保証会社によっては連帯保証人を取りますが)。
保証会社無双
保証会社を付ければ、滞納した場合に入居者に替わって賃料を支払ってくれ、入居者に督促し、それでも滞納が続く場合は解約&立ち退きまで自動的に行ってくれます。
つまり、保証会社に加入した場合、ほぼほぼ滞納リスクがなくなります。
生活保護受給者や外国籍ですら利用でき、賃貸契約の際は加入が半ば慣習化しており入居者から拒否感も出にくいので、大企業の法人契約でもない限りは保証会社加入必須でいいでしょう。
※もちろん保証会社が全能な訳ではありません。借地借家法では強行規定でも保証契約では契約自由の原則からスルーされているものがあり、特に借主が死亡した場合の相続人への承継は注意が必要です。また、近年は保証会社と入居者の裁判で保証会社に不利な判決が出ているので今後保証範囲が縮小される可能性があります。なお、外国籍の加入は保証会社によってかなりスタンスが異なります。
督促・回収
入居審査を適切に行い、保証会社加入を必須にしても、特に古参の入居者は保証会社が付いていなかったりするので、それで滞納が発生すると督促し回収をはからなければなりません。
督促・回収の通常の流れは上記のようになります。
督促・回収というと、高利貸しを扱ったマンガでの非情な回収手段を思い浮かべる人もいると思います。
高利貸ならまともな金融機関が扱わない顧客に融資しているので、飛ぶのが当たり前でそれをあの手この手で回収してなんぼでしょう。
実際に保証会社はもともと貸金業者だったところが多く、ある保証会社には督促の鬼と呼ばれる人がいて、滞納者を事務所に呼び付けてさんざん脅した後、柔和な雰囲気の別の担当者が出てきて、滞納者が気を許したところで回収の道筋をつけるみたいなことを日常業務として行っています。
ただし、普通の賃貸経営ではそこまではやるのはレアです。経営リソースは物件の競争力を上げるといった別の部分に割かれるので、滞納者には事故処理として事務的に対応するのが一般的でしょう。
一方、ズタボロ物件を激安で購入して運営していくような場合、半ば滞納は当たり前なので、それを高利貸し的に回収しないと商売になりません。
不動産管理会社に督促・回収のノウハウはない
ところで、ズタボロ物件を不動産会社に管理を依頼していたとしたらどうなるでしょう。
もちろん、保証会社未加入の入居者が滞納が起こしても他の物件と同じように事務的に対応するでしょう。
不動産管理会社にオーナーそれぞれの事情を汲んできめ細かい対応を求めるのは土台無理な話です。
不動産管理会社なりに経営努力を行いサービスのブラッシュアップを行っていますが、近年はオーナーや入居者からの主要なニーズにスマートに対応できるよう組織の合理化を行っていることが多く、逆に面倒な割にニーズがなかったり、不動産管理会社の儲けにならないような業務は切り捨てられています。
不動産管理会社が手が届かないというか手を届けようとしないところは多々あるので、オーナーが任せたつもりで自分が何もできなくなってしまうといずれ運営が行き詰まってしまいます。
shiro-shita
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