不動産知識・テクニック

アパート・マンション自主管理マニュアル①「入居者からの連絡受付体制」

過去記事ですが、今後、アパート経営がより厳しさを増す中でいっそのこと自主管理してコスト削減&ノウハウ蓄積を行うのがオススメと記載しました。

過去の記事:今後のアパート経営はより厳しくなる アパート経営者の心構え
過去の記事:賃貸アパート&マンション自主管理のすすめ

記事中でも管理の各業務について触れましたがより詳細に記載していきたいと思います。

弊社流のアパート・マンション自主管理マニュアル第1回です。

管理における入居者とのやり取りは…

アパート&マンション管理のイメージは人それぞれ違うとは思いますが、

大半の人のイメージは、

「めんどくさい」

でしょう。
 

そして、その面倒くささの最たるのは”入居者とのやり取り”ではないでしょうか。

 
入居者から来る連絡は解約や故障といったオーナーにとってネガティブな内容が多いです。

ただし、それらは好ましくないとはいえ管理運営上は必要な連絡ですが、

 
執拗に隣家の音を気にするクレーマー

ちょっとの困りごとでもすぐに連絡してくる情弱

トンデモ論をまくしたてる陰謀論者

 
そんなまともじゃない人々に振り回されるのが管理の現実なのです。

受付体制の前に大切なこと

と、のっけから心が折れるような話ですが、自主管理する場合、そのような人々からの連絡をいつ何時も電話受付できる体制&心構えが必要なのでしょうか?

「自主管理するのだから覚悟してます、別に減るもんじゃないし」
という精神力の塊のような人もいますが、

私自身がそのような精神力を持ち合わせてないからですが、なるべくそのような面倒な人々との関りを最小限にするのが目指すべき方向だと思っています。

 
そのために重要なのは、
・管理運営クオリティーを上げる
・入居者のレベルを上げる

これらは管理業務というより賃貸経営をする上で本質的なミッションです。

 
ネット上で度々炎上が起こります。炎上には様々なケースがありますが、多くの場合、炎上に加担しているのはその被害者どころか会ったことすらない人で、ストレス発散や自身のゆがんだ人間性の正当化が目的だったりします。炎上時は攻め立てる側が圧倒的に見えますが、実際はそんなことをするのは世の中のごくごく一部で、普通の人(マジョリティー)は自分と直接関わりのないことにわざわざ書き込みしたりしません。そんなごくごく一部の(困った)人々はノイジーマイノリティーと呼ばれています。

賃貸経営において、物件&管理運営クオリティーが下がると、入居者のレベルも下がり、まともな入居者は去る一方でノイジーマイノリティーの割合は増し、最終的にはフキダマリと化します。

なので、適切な管理運営を行い入居者をレベルを保つことが最も重要かつ根本的な対策です。

具体的な受付方法


その上で受付方法をどうするかですが、選択肢は上記でしょうか。

自分の対応余力、物件の規模(戸数)、入居者属性等を総合的に判断して決めるべきでしょう。

 
というか、ネガティブな連絡ばかりなら、連絡先をわかりづらくしたり、連絡を受けても対応しなければいいのではと思う人もいるかもしれませんが、特にクレーマーには逃げるように対応すべきではありません。逃げるとかえって執拗に追いかけられます。

 
管理会社が店舗型の不動産会社であれば営業時間は電話に出るのが今でも多いですが、ワンオペ自主管理だと不可能でないかもしれませんが、生活のいろんなものを犠牲にしなければなりません。何か問題あればいつでも電話つながりますからご安心ください!みたいなことを言ってなければ、気まぐれで電話に出たり出なかったりするよりも、かえって留守録、メール、WEB等の電話以外の方法で統一した方がいいと思います。最近は大手ほど電話してもまずは自動応答につながります。電話すればすぐ人と話せる時代はすでに過去のものです。

弊社でも、基本、ウェブサイトの問い合わせフォームを利用してもらっています。問い合わせフォームはワードプレスの無料プラグインで作成できます。それだと、入居者からの申告に対し一旦契約書を確認するのが容易で、その後のやり取りもメールになり、お互いテキスト入力をすることで冷静になりやすいというメリットもあります。

デメリットとしてはこちらから連絡を取りたい相手から連絡が来た際の対応です。そういう人に限ってすぐ折り返しても連絡がつかないことが多いです。

 
大きなトラブルや非常事態に備え受電体制をとりたい、しかし、自分自身では対応できないということであれば、外注することになりますが、自動応答や電話受付代行は導入費用やランニングコストがそれなりにかかるので、自主管理でペイするにはかなりの戸数が必要でしょう。24時間受付サービスを全戸に入居者負担で加入してもらえればいいですが、入居者からしたら実質的に賃料値上げなのでいい顔はしないでしょう。自分の労力を減らすためのサービスなので、むしろ、オーナー負担での加入を検討すべきだと思います。

オススメはWEBによる真摯な対応


「管理=入居者からの連絡受付」

みたいなイメージがあり、自主管理というとそれを自分でやると思いがちですが、

最初は良かったものが、徐々にモチベーションが低下し、いずれ電話が鳴るのが怖くなる…、という負のループにはまるのは何としても避けるべきです。

 
幸いにも世の中が、自動応答が当たり前になり、メールやメッセンジャーアプリといった電話以外の連絡手段が一般化しており、今後さらに連絡手段としての電話のシェアは下がることはあっても上がることはないでしょうから、”自分で電話に出る”のは極力減らすような体制が望ましいでしょう。

ただし、それが単なる無責任となり、物件&管理運営クオリティーが下がり入居者の質が下がってしまっては元も子もないので、WEB限定であってもしっかりと窓口は設け、寄せられた申告に対しては真摯に対応するよう心掛けるのがいいと思います。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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