「法人社宅」は賃貸住宅市場になくてはならないが、おんぶにだっこの賃貸経営で本当にいいのか!?

貸し手

「法人社宅」は賃貸住宅市場になくてはならないが、おんぶにだっこの賃貸経営で本当にいいのか!?

法人社宅の甘い汁を吸い過ぎると後が怖い…

本格的な引越しシーズンは年明けからですが、すでに来春の進学、就職等による賃貸探しは始まってきています。

とはいえ、コロナの影響で例年より動きは鈍い気がしないでもなく、不動産会社としては管理している物件が埋まるか心配です。

 
ただし、そんな中でも新築物件&築浅物件に関してはよっぽど企画が悪くない限り入居付は鉄板です。

新築&築浅の賃貸市場における優位性は際立っていますが、それは”法人社宅需要”に支えられているからです。

法人社宅とは

法人社宅とは念のため申し上げると、転勤になる従業員の住まいを会社が借主として契約することです。契約金、家賃は会社負担となります(会社によっては一部本人負担)。

転勤があるということは全国展開しているような企業、つまり大企業で本社は首都圏にあります。そして、会社都合で転勤を命ぜられるのは正規雇用の従業員です。

会社も従業員もハイクラス、価格目線は首都圏なので、受け入れ側の地方からするとジャブジャブ感があります。

法人社宅需要に叶う物件とは

新築&築浅の物件は法人社宅需要があると申し上げましたが、第一の基準としては立地になります。

首都圏の人は地方ほど車を持っていない、というか大企業は基本車通勤禁止で、勤務先は主要駅周辺のオフィスビルなので、鉄道での通勤に便利な駅近が必須条件となります。
 

そして、もう一つの基準は賃料です。もちろん上限家賃が決められているのですが、そこはやはり価格が首都圏目線なので地方だと上限を超える物件はむしろ稀です。

その上限より安い物件を選ぶと差額を給料としてもらえたり、人事評価が上がる訳ではないので、どうせなら上限家賃に近い物件となるのです。

家賃7万円の物件と8万円の物件があって、比較すると1万円の価値の差がなく7万円の方がコスパに優れていても8万円の物件が選ばれます。

駐車場を借りる場合は個人負担ですが、駐車料金が月額5000円なら家賃を5000円上げて駐車場を込みにしてくれと言われたりします。

法人社宅は令和に残る数少ない利権なのです。

法人社宅需要はいずれ終わる アフター法人社宅はどうなるか

駅近で築浅ハイグレード物件は法人社宅の恩恵を受け高い稼働率&高い入居者属性を享受できますが、

築10年を超えてきたあたりから法人社宅の引き合いは減少傾向となります。

婚活市場で30歳も半ばになるとハイスペック男子から声が掛からなくなるのと同じです。

築年数が経過しても法人社宅としての引き合いがある好立地ハイグレードのAクラス物件もありますが、それは極めて女子力の高い美魔女です。

ほとんどの物件はそのポテンシャルやそれを補う努力がなくBクラスに転落します。

 
 
Bクラス物件は法人社宅以外の、地元会社に勤務している人、非正規雇用、学生といった個人契約がメインとなりますが、客層の違いは歴然としています。

彼らはすべて自己負担なので(学生は実質親御さん負担が多いですが)厳密にコスパ比較しますし、そもそも価格目線が全然違います。

家賃7万円の物件と8万円の物件ならよっぽどでなければ7万円の物件が選ばれます。というか家賃に7万円も払える人自体が稀有だったりします。

 
 
これまで法人社宅をメイン客層にしてきた物件は、地元の客層をメインにして戦えるかというと、これまでの賃料帯だとなかなか厳しいのが実情です。

いきなりそういう客層を相手にするのではなく、地元でももっと所得が高かったり、あえて持ち家に流れない積極的賃貸派をうまく取り込めればいいのですが、そういった層は絶対数が少ないです。

現実的には客層に合わせ賃料の調整局面を迎えざるを得なくなります。

アフター法人社宅で特に苦労する物件とは

Bクラスではなく、いきなりCクラス以下に転落する物件もあります。

それは、法人社宅でしか選ばれないような物件です。

例えば、
「徒歩15分で最寄り駅、電車10分で主要駅」
「徒歩5分で最寄り駅、快速電車20分で主要駅」

最速25分で主要駅は首都圏の感覚からすると便利な立地ですが、仙台では前者は岩切、後者は愛子だったりします。

そういった立地で、仮に駐車場なしの25㎡の1Kといったスペックは地元のニーズは薄いです。
(そんなスペックで新築建売アパートが量産されていたりしますが… )

 
法人社宅需要がなくなった後は、賃料&入居者属性が加速度的に悪化する可能性大です。

アフター法人社宅を見据えた賃貸住宅の企画を

昨今の賃貸住宅市場を語る上で法人社宅需要は欠かせないものとなっています。

特に新築の賃貸住宅では、地価の上昇&建築費の高騰で高い賃料設定にせざるを得ず、法人社宅以外の入居者はまず借りられないものが多いです。

 
しかし、先程申し上げたようにすべての物件が築年数が経っても法人社宅需要が切れないAクラス美魔女物件になれる訳ではありません。

法人社宅需要が減衰するのは投下した資金の回収はおろかローンもたんまり残っているような時期です。

やはりアフター法人社宅も考慮した現実的な資金計画&地元ニーズに応える商品設計を行うのが基本だと思います。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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