賃貸住宅で失敗しない間取の見方①

買い手・借り手

賃貸住宅で失敗しない間取の見方①

ハズレ物件を掴まされないための間取の見方とは

年も明けて新年会もひと段落をすると不動産業界はにわかに慌ただしくなってきます。移動シーズンの幕開けです。

近年は引越業者も人手不足で移動シーズンは料金が顕著に上がることもあり、あえて時期をずらす企業等も出てきましたが、それでも入学、卒業、新卒者の就職はほぼこの時期です。

中には急な転勤や、入学手続きの都合上、不動産屋に飛び込んで1日で決めるという方も結構いて、そういった方は物件を慎重に検討して決めるということはまずできませんが、たいていは家賃を勤務先や親が全額負担してくれるので気楽な感じで選ぶのでしょう。

ただし、焦ってハズレ物件を選ぶと引越しし直すことは簡単にできることではありませんので、できるならハズレ物件を引かないようポイントはしっかり見極めたいところです。

意外とハズレに気づきにくいのは「間取」!?

物件のポイントはたくさんあるのですが、家賃や築年数や階数といった定量的条件はあまりうっかりや勘違いはないでしょうが、
(更新料や様々な名目で課金していて分かりにくいというケースは多いですが…)

定性的条件というか、棟内の入居者属性や管理の良し悪し、結露や西陽の強さ、災害危険性といったものは限られた時間では判断が難しい項目です。

でも、そこまでは仕方ないですよね。こういったことをしっかり吟味したいのであれば手間暇掛けて精査しなければなりません。

実は、意外にハズレに気付きにくいのは「間取」です。

あまりピンと来ないかもしれません。

間取りにしろ部屋の面積はそもそも指定して検索できるので希望の範囲外のものは最初からふるい落とされているはずですから。

どういうことでしょう?

故意または過失によって実際とは違う間取図が登録されているということではなく(そういうこともよくありますが)、

間取の表記自体はルールに則っていても、実際に住むと使いづらい残念な間取があるのです。

なぜ残念な間取になるか?

理由を説明する前に、最近の賃貸物件の傾向として1LDKとメゾネットタイプが増加しています。

1LDKはリビングとダイニングとキッチンが一緒になった割と大きな部屋にもう一つ居室がある間取りで、

メゾネットは専有部分内に階段があり、2層以上で構成されている住戸です。

1LDKは、1Kやワンルームに住む方の「もう一部屋欲しい!」が具現化された間取りであり、

メゾネットは実質2階だけど入口が1階にあることで共用廊下がなくなり、プライバシーを重視したライフスタイルに適しています。

しかし、どちらも室内に通路となる面積が増えるデメリットがあります。

1LDKはLDKに隣接して居室が作られることが多いので、その場合、LDKはその隣接する部屋への侵入路にもなります。

メゾネットは階段部分がまんま通路です。

例えば居室8畳の1Kよりも、8畳のLDKの方が一見すると良さそうですが、LDKだとキッチンもあり通路部分もありなのでソファーを置くことはおろか1人用のダイニングテーブルが置けてやっとだったりします。

また、通路部分は部屋の面積が同じでも縦横比によって変化します。

あまりに細長い間取だと通路面積が増えますし、短手の長さが2間幅(3.64m)を切るとまともな居室を作ることは不可能です。
通路部分は縦横比によっても変化する
1LDkでLDKと居室が並ぶ間取の場合は短手の長さが3間幅(5.46m)は欲しいところです。

残念な間取を掴まされないためには、間取の表記&専有面積にかかわらず、通路にあたる部分や設計上でしわ寄せがきている箇所を把握して、引越し後に想定する生活を営めるか検討する必要があります。

次回はもっと具体的に残念な間取を見ていきたいと思います。
(続く)

The following two tabs change content below.

shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

それなら不動産営業はどうすべきか!?②それなら不動産営業はどうすべきか!?②前のページ

賃貸住宅で失敗しない間取の見方②次のページ賃貸住宅で失敗しない間取の見方②

ピックアップ記事

  1. アパート1棟買っちゃいました ~個人的不動産投資談①~

  2. 祖父の愛したゴミと不動産①

  3. これを読むと不動産業界では働きたくなくなる!? 不動産会社での雇用・労働の実態と…

  4. 大家・管理者のための入居審査の勘所

  5. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

関連記事

  1. 薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実③

    買い手・借り手

    薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実③

    よっぽどの勝負師でなければ不動産投資を勝ち抜けないという真実……

  2. しょっぱい不動産投資「区分所有」編

    買い手・借り手

    しょっぱい不動産投資 「区分所有」編

    区分所有は不動産投資の王道!低価格帯の不動産をキャッシュで購…

  3. 住まいは購入or賃貸? 購入派は資産ポートフォリオの偏りに注意!①

    買い手・借り手

    住まいは購入or賃貸? 購入派は資産ポートフォリオの偏りに注意!①

    本来なら購入と賃貸に大きな差はないが、購入に見落とされているリスクとは…

  4. 薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実②

    買い手・借り手

    薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実②

    不動産投資はなぜ難しいか?<前回の記事>薄々気付いてはいたも…

  5. 住まいプランハック番外編 【実家住まいのすすめ】

    買い手・借り手

    住まいプランハック番外編 【実家住まいのすすめ】

    実家住まいは究極の住まいプラン&スター養成所多くの人…

  6. 住宅購入の諸経費を安くするポイントは耐震基準にあり

    買い手・借り手

    住宅購入時の諸経費を安くするポイントは耐震基準にあり

    住宅購入のお得感は旧耐震と新耐震で分断される住宅購入時には物件代金…

最近の記事
  1. 薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実①

    買い手・借り手

    薄々気付いてはいたものの不動産投資の残念な真実①
  2. 祖父の愛したゴミと不動産③ 祖父の残した生き様と不動産

    城下個人的

    祖父の愛したゴミと不動産③ 祖父の残した生き様と不動産
  3. 大家・管理者のための入居審査の勘所

    貸し手

    大家・管理者のための入居審査の勘所
  4. 自宅の売却スケジュール

    売り手

    自宅の売却スケジュール 特に住宅ローンが絡むときは注意 ​
  5. 不動産コンサルティングって何?どういうときに必要なの? ​

    売り手

    不動産コンサルティングってよく聞く言葉だが、何をするのかよくわからない件 ​
PAGE TOP