マイホームを人生最大の買物にしないで快適に住むことはできるか?
多くの人が求める住まいの要素・求めるタイミングをあえて逆張りし、ライフスタイルと調整力でもって賢く住む住まいプランハック
<前回の記事>2020年代住まいプランはもっとハックできる【住まいハック総論】
今回はマイホーム購入における住まいプランハックを考えてみます。
標準的な住まい購入はもっとも悪条件が重なるタイミング
標準的住まいプランは結婚して子供ができてという時期に購入します。
これから住まいを中心に仕事、育児&教育をフルサイズで行うので、
立地は通勤・通学するのに便利で、もし転校が嫌なら学区内限定となり、間取は子供部屋を含む広いものが必要です。
交通アクセスに優れ、周辺施設が充実した広い家です。
その時点ですでに高価な住まいで、残りの人生のほとんどを住宅ローン支払いに充てなくてはならず、その住まいに骨を埋める覚悟が必要です。
そうなると、さらに、一生住み続けられる丈夫で築年数の浅いものであり、かつ、夫婦の老後も見据え将来的にも利便性が維持されるエリアとなり、ますます高価となります。
つまり、標準的住まいプランとは住まいが高価になる条件が揃っている時期なのです。
それを逆張りするのであれば
①通勤、教育に便利でかつ長期の下落トレンドにない立地
②広い間取
③築年数の浅い丈夫な構造
といった要素の削減を検討することになります。果たして可能でしょうか?
不人気立地で暮らせるか
夫婦とも仕事はフリーランスとか車通勤だったり、最近はリモート出社も増えていて、また、スーパーが近くになくても生鮮食料品をネットで購入可能だったり、将来はもっとテクノロジーが進歩していることを考えると立地条件に縛られる必要はないようも思えますが、
現時点で学校はそういう訳にはいきません。
最近は少子化で学校が減っていることもあり、通学に便利な立地は限定的です。
例えば、仙台に隣接する名取市はそこそこ都会のイメージがありますが、市の面積98.17K㎡に対し小学校は11校で、単純計算で一校の学区は9K㎡です。
9K㎡の範囲を正円とすると半径1700m、道路距離が直線距離の1.3倍とすると小学校まで道路距離1000m以内は直線距離で770mまでとなり、その範囲は学区全体の20%しかありません。
ちなみに宮城県の七ヶ宿町は市の面積263.09K㎡で小学校は1つです。
(七ヶ宿町なら中心部でも地価は高くありませんが)
子供に片道1時間通学させますか?それとも、毎日車で送迎しますか?
普通の親はどちらも嫌でしょうから、就学中もしくは就学予定の子供がいれば立地不問で住まいを選ぶことはできません。
狭い間取りで暮らせるか
区分所有マンションで考えると、専有面積60〜80㎡が最も販売戸数が多いです。
それを、40㎡のものにすれば小さくなる分お安くなります。
マンションの価格は専有面積1坪あたりの価格で算出するのが一般的で、坪150万円とすると、60㎡(18.15坪)で2722万円、40㎡(12.1坪)で1815万円です。
(実際は面積が小さいほど坪単価が若干割高になりますが)
面積が小さくなればその分固定資産税、管理費・修繕積立金も安くなります。
ただ、問題は40㎡に何人で住めるかですが、天井高4mでスキップフロアがあるとか、2畳ずつ間仕切りされているとか特殊な条件でなければ、私の感覚だと大人2人に小学生中学年までの子供1人が限界です。
天井高4mのスキップフロアにするのはマンションにしろ戸建にしろかえって高上がりで本末転倒となり、区切られた2畳は一時的に暮らすことはできてもずっとは無理です。
また、戸建では既製品のスーパーハウスやコンテナハウスなら別ですが、建物を小さくするとその分安くなる訳ではありません。
(材料が少なくなっても割高になる)
ヤワな建物で暮らせるか
将来的な住まいの当てがあり20年限定で住むなら多少ヤワな家でも持ち堪えられると思います。
ただし、築年数が経過しているということは、当然、設備その他も古くて使い勝手や省エネ性が劣り、不便でストレスが溜まるということです。
もちろんリフォーム等で設備更新されていればいいのですが、それもお金が掛かることです。
確かに新築住宅とそれなりにリフォームされた中古住宅とでは通常は新築住宅の方が高いですが、仮に20年後に売却するのであればやはり築年数が浅い方が高く売れるので、実負担(購入価格ー売却価格)を考えると、それなりにリフォームされた中古住宅を購入する金銭的なメリットはあまりなかったりします。
将来の売却代金は不確実なのでアテにしない方がいいということはその通りですが、あえてボロを買うのは不便さやストレスに強い方でなければ向かないでしょう。
子育てするなら逆張りは不可能!?
以上、検討の結果、標準的住まいプランを逆張りしてハックできるのは、”育児&教育からフリーな人”ということになります。
結婚しないと決めた人とか子育て終わった中高年夫婦が狭めの家を人気立地を外して購入すればいいのです。
そんなのナンセンス、子供なしの人生なんて考えられない、という人もいるかと思いますが、
個人的には、子供がいて育児&教育でそれなりの立地に大きな間取りの家が必要な方は、その時期は賃貸を検討してはいかが、と思います。
普通とは逆です。
子供が一人だとすれば、そういった家が必要なのは小学校高学年から就職して家を出るまでの10年程度です。
その10年のために人生の半分以上を決め打ちするのは、常に変化への対応が求められる時代に致命的な足枷となりかねません。
(もちろん人生の半分を決め打ちしなくてもそういった家を購入できる人なら問題ありません)
なお、個人的にはさらに一工夫してさらに住居費を節約することをおすすめします。
(次回に続く)
shiro-shita
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