実例紹介

アパート1棟建てちゃいました vol.1

新築アパートをプロデュース!

2023年春。

仙台市宮城野区東仙台4丁目に1棟の賃貸アパートが完成しました。

その名も”Joe Court”

もともと建っていた古いアパートの解体からアパートのプランニング、賃料設定、入居者募集までのほぼすべてを私が主導したプロジェクトになります。

まずは建築・投資目的の明確化

2019年に他界した祖父は280坪の土地を遺しました。

それなりに広くはありますが、周囲から一段低い川沿いのどんずまりの不整形地で、古いアパートが建ち、一部は私の自宅の敷地で、また一部は私道で、そのまた一部は月極駐車場で、残りは未整備といった具合で、一応、使用・活用されてはいるものの、劣化が進んだアパートに砂利がえぐられた駐車場はいかにも頼りなく、代替わりこのタイミングでの再投資の必要性は明白でした。

(2020年撮影)

ただし、ひとえに再投資といっても、その目的を明確にしないとチグハグになりかねませんし、土地のポテンシャルによって出来ることとできないことがあります。要は何をしたいのか?何ができるのか?をはっきりさせなければなりません。

 
何をしたいかでいうと、私はこの土地に愛着があり、ここを拠点に事業もしているので末永くここに住みたいというのが第一にあります。ただし、全体を自宅の敷地として整備しても将来的に維持できるかという問題が生じます。事業は水ものですし、固定資産税の負担もあります。というか、そもそも広過ぎます。となると、事業とは別の収益源としてアパートを建設するというのが有力です。ただし、アパートといっても収益性や相続対策に特化したものではなく、収益は高くなくても将来的にも入居率・資産性を維持でき、かつ、自宅の使用の妨げにならないものが望ましいです。

 
つまり、生活をバックアップし、継続的資産性を有し、自宅とハーモナイズするアパートとなります。

 
ただし、建築には融資を受ける必要があり、一定以上の収益性がなければ返済ができないというか、それ以前にそんな計画では融資を受けることはできません。特に立地が特殊でいわゆる企画プランはまず入らないので、ちょっとのこだわりのつもりが大きく金額が跳ね上がるということも起こりえます。

また、アパートの入居者様(お客様)と隣り合わせで住み、多くの生活空間を共有するので何の影響もないということはありえません。

それらの懸念になるべく対処し、最も目的にかなったプランニングを行うのがプロデューサーである私の最大のミッションとなります。

事前準備3年

投資目的が定まったので具体的なプランニングに入りたいのですが、その前にやならければならないことがあります。

古いアパートの入居者に退去していただき建物を解体するのと、土地の境界を確定することです。

 
古アパートは全4室でその時点では3室に入居者がいました。

古アパートありがちの事情のある方も入居していたので転居先を見つるのは簡単ではありません。実際のところ、入居者からのネガティブな反応が予想され言い出せないままでいました。

そんな折、1室の入居者が家賃滞納をし出します。督促しながら譲歩をちらつかせ契約書を公正証書に切り替え、それでも滞納が続いたので、強制執行による退去か自主退去かを迫り、最終的には自主的に退去いただきました。

この一件で他室の退去も具体的に進みました。着の身着のまま出ていく入居者を見てこちらの本気が伝わったのでしょう。もちろん、貸主からの解約なので費用は負担させていただきました。

 
隣接地との境界確定は古アパートの退去と並行して進められました。

本地はそこそこ広いのと、エリア的に法務局の地図が未作成であり、河川(宮城県土木事務所)に公道(宮城野区道路課)、法定外公共物(宮城野区公園課)、さらには複数人で共有している土地(相続登記未了を含め夥しい人数)との境界を含み、境界確定の難易度は高めです。

名実ともにプロの土地家屋調査士にお願いすれば良かったのですが、弊社で管理している物件に入居している測量会社に依頼したのが悔やまれます。

その測量会社には何度か顧客を紹介いただいたことがあったのでそのお返しの意味合いで発注したのですが、経営状態が悪かったようで、途中で倒産しました。しかも費用は出来高で半分以上支払い済です。成果品は途中経過含めすべて納品してもらっていたのですが、別の土地家屋調査士に改めて発注するとなると結局最初からやり直すはめになり、費用も時間も無駄になります。

ところで、その測量会社には土地家屋調査士が在籍しておらず、外部の調査士の名義借りをしていましたが、当然ですがその調査士は破産していません。

ということで、その調査士に業務を継続できないか交渉しました。

交渉は難航しました。

調査士はその測量会社からほとんど金を受け取っておらず当初の発注額から支払い済みの額を控除した残額ではできないということと、そもそも名義貸しする調査士なので実務能力が低く、業務を遂行する能力に不安があったからです。

しかし、私も引けません。実質的には測量会社が受けていたとはいえ、委任状や役所への立会申請はその調査士なので、業務を完了させずとんずらすると調査士会に報告すると半ば脅してやっと引き受けてもらいました。

実務能力は私が補うしかありません。図面データを間違ったり、隣接地権者の前であっぺとっぺな説明をしたり、役所との協議がお粗末だったりしたので、なるべく私がチェックしたり同行したりしました。

それで何とか時間は掛かりましたが完了しました。
(後日、図面と違う位置に杭が入っていることが判明し杭の復元を行いましたが)

ちなみに境界確定の結果、私道(位置指定道路)が申請時の図面と大きく異なり、認定要件を満たしていないことがわかり訂正を行いました。そちらは別の調査士への発注です。

 
これらの準備期間は3年を要しました。
(次回に続く)

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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