私、お酒やめました
私は現在44歳で年齢的には完全なるオジサンですが、
若いときは自分がオジサンになることを全力で阻止したいってほどオジサンになるのがすごく嫌でした。
劣化する外見&能力、そのうち病気になって命尽きる運命、そんな状態で生き永らえて何がおもしろいのだろう?ってくらいにオジサン全否定してました。
しかし、実際にオジサンの世界に足を踏み入れてみると、
人生前半は遺伝や生まれ育った環境といった本人ではいかんともし難い要素で趨勢が決まるのに対し、オジサンの世界は、これまで培った特性をもとに長期計画的に物事をすすめ、また、不可避的に発生する健康や家族の問題に翻弄される、より玄人向けゲームだとわかりました。
若者ゲームでついた差のままゲームに突入するので大逆転を狙うのは難しいですが、オジサンゲームのルールに最適戦略で臨めばそれなりに浮上できますし(グッドオジサン)、逆に若者ゲームでの成功体験に縛られているとキングボンビーに取り憑かれ一気に落ちぶれたりします(バッドオジサン)。
オジサンゲームは明らかに若者のそれとは戦略が異なり、特に重要なのは不要になったものや、より優先度の高いものを守るために”決別”を行うことです。
オジサン最大のリスク”健康”
オジサンには健康や家族の問題が起こりやすいですが、特に健康はオジサンにとって切っても切り離せない切実な問題です。
ここが痛い、あそこが痛い
健康診断で引っかかった、通院している、入院した
ハゲた、太った、勃たない
ついこの間まで飲む打つ買うの破天荒な生活を誇りにしていた人は、元々肉体的に頑強な人が多いものの、この年齢になるとさすがに肉体的劣化が加速度的に進みだします。また、破天荒な生活は送らずともストレスや持病を抱える人の体調がより悪化し、それを理由にした休職、離職が増えます。
特に心身の不調が一定以上となり病名が付くようになると、不可逆的とまでは言いませんが、元の健康な状態に戻すのにかなりの期間と努力を要します。
私自身も多分にもれず様々な心身の変化があり、特に30代後半から肌に不調を抱え、40代になって”酒さ”と診断され、現在療養中です。
私とアルコール
酒さは加齢やストレス、生活習慣その他様々な要因で起こり、一般的には原因の特定が難しく、それ故、治療は長期に及びます。
私もその例に漏れずではありますが、原因については思い当たるものがあります。
アルコールです。
私にとってアルコールは最も身近な悪友でした。
アルコールとの出会いは10代で(未成年飲酒に緩やかな時代でした)、もちろんその頃はおいしいとは感じず、習慣化もしませんでしたが、自分がアルコールを飲めて、他者より強いことを認識しました。
本格的には20代中盤からです。その頃の私は就職活動~新米社会人で、平成不況のど真ん中ということもあり、社会の厚い壁に阻まれ自分の居場所を見つけられずに日々翻弄されていました。アルコールはそんな私につかの間の癒しを与え、アルコールによるトリップ感は今にも瓦解しそうな心身バランスをギリギリで保ったのでした。
20代はアルコールのメリットばかりを享受していたのですが、30代からはそうもいかなくなります。
翌日は気分、体調が思わしくなく、何事にも力が入らず度々トイレに駆け込みます。もう飲まないと毎度心に誓うのですが、午後になって調子が上向くとその誓いも揺らいで、夕方になる頃には無性に飲みたくなります。休日は午前中から飲みだし、最も深刻なのはそのことをおかしいと思わないことで、すでに脳がアルコールにハックされている状態です(診断を受ければアルコール依存症となったでしょう)。
アルコールとの決別
酒さの治療は30代後半から行いましたが、最初は薬の処方を受けるだけでアルコールとの関係性に手は付けませんでした。
しかし、何年間も治療を続けてもいっこうに良くならないばかりか悪くなる一方で、さすがに決断せざるをえなくなりました。
最初は抗酒剤(服用すると飲酒後不快になる)の処方を受け、飲む日を半分に減らすことからはじめ、薬に頼らずともそれができるようになったので、昨年後半から一切やめました。
現在断酒3ヶ月で、治療の効果も少しづつでてきました。何よりも何度もトライしては失敗していた断酒ができ、それが思いのほか辛くないことが発見であり、自信となっています。
もちろん、まだたかが3ヶ月で油断できません。
病気といっても一切飲んではならないといった切迫した健康状態ではないので、程々に飲むのなら問題はないのでしょうが、私自身これまで程々に飲んでいたことはなく、程々のつもりがあれよあれよと元の酒浸りに戻りそうで怖いのです。
かといって生涯断酒するのかと言えばそれも自信がありません。このあたりの方針の不確かさがリスク要因です。
オジサンゲームのルールと攻略法
アルコールとの出会いから、それと決別する顛末について記載しましたが、
人生後半はこのような決別がテーマになるのだと思います。
人生は船旅です。
20歳頃までは、主に船出の準備をする期間です。目的地とその経路をリサーチし、その航行に必要になるであろうスキルの習得のために訓練をします。
20歳頃から実際に航行します。ただし、目的地は遠く、先は長いので、長旅に耐えられるよう設備増強やレジャーの充実が大切な時期で、船は拡大していきます。
40歳頃からは後半戦に入ります。経年劣化による船の不具合が多くなる時期で、早めに修理しないと浸水が拡大し、最悪沈没するので、設備の整理や廃棄が必要になります。大事な設備を泣く泣く諦めたり、予防的な意味で必要性が低いものを廃棄したりします。
人生の前半では拡大(獲得)が戦略上最重要ですが、40歳以降では縮小(決別)です。特に後ろ向きな決別をなるべく避けるために、優先順位が低いものを早めに切っておく、選択と集中が肝です。
若者も日々選択を行いながら生きていますが、一時的にどちらかを選択しても、将来的にもう片方を選択する可能性がありますが、オジサンにとってその選択はほぼほぼ不可逆的です。
決別の対象は生活習慣以外に、大切な人、家族、仕事、趣味、こだわりと多岐多様ですが、これまで有るものを無くすので、心理的抵抗、喪失感を伴いやすく、決別自体が肉体的、精神的に大きなリスク、デメリットとなります。しかし、それを続けることのデメリットよりはましだったり、そもそも不可抗力で決別せざるをえなかったりします。
私が行ったアルコールとの決別についてはほとんど誰も反対しないでしょうが、20代の私がアルコールに支えられたことは確かであり、断酒を決めるとき、そしてそれ以降たびたび人生に何も楽しみがないと暗い気持ちになりました。
決別にはデメリットがありますが、だからといって先延ばしにすると、その間さらにコンディションが悪くなり、心身が決別自体に耐えられなくなります。そうなると終わりをただ待つのみの詰みの状態です。なので、いずれ決別せざるをえないなら余裕があるうちにやるべきです。いずれ墓場には何も持っていけないんですから。
そして、決別を行うことでリソースに余裕ができるので、それを合理的、効率的に再配分しましょう。
40歳以上で行き詰まりを感じているのであれば、何かを始めるより先に、何かと決別することを検討すべきだと思います。特にこれまで何かに取り組んで中途半端でやめた経験があればなおさらです。続かなかったのは適性や意志の問題ではなく、振り分けられるリソースの絶対量の問題だった可能性があります。
パーティー求む
何かを買物したら、その分、何かを捨てなければいずれ部屋はモノで散乱し身動き取れなくなってしまいます。身動き取れないバッドオジサンになりますか、それとも整理整頓を心掛けたグッドオジサンを目指しますか?
もちろんグッドオジサンがいいに決まっています。
グッドオジサンになるべくオジサンゲームの攻略法をあれこれ考えていると、ただ生き恥を晒すだけと思っていた人生後半へのやる気ががぜん増してきます。
オジサンの方々よろしければパーティーを組んで情報をシェアしながら一緒にゲーム攻略を目指しませんか?
ちなみに、私はアルコールと決別しましたが、それは飲み会に参加しないということではありません。アルコールは飲みませんが飲み会はちょくちょく参加させていただいてます。
飲み会の場にいると脳が勘違いするのかアルコールを飲んでなくても飲んでるような気分になって楽しめますし、トイレが近くならず、車で移動でき、翌日にダメージもないのでとっても便利です。お店の方には悪いですが、私にとってはメリットしかありません。
飲み会を企画されている方は気兼ねなくお誘いください。
shiro-shita
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