感情にジャックされた人類
誰しもが日々を楽しく安らかな気持ちで暮らしたいと思っているはずです。たとえ、お金や社会的ステータスはあっても不安や恐怖、嫉妬に苛まされて生きたくはありません。
つまり、
金や物、名声は、楽しいとか安らかといった感情に劣る、
それとも、
金や物は良い感情への手段でしかありません。
それで、感情って何なのかというと、
感情は生物が進化の過程で身に付けた「機能」です。
食料や生殖または外敵到来といった生物にとって最も重大なチャンス(ピンチ)に際し、いちいちじっくり考えてたのでは間に合わないので、感情で快か不快かを簡易判断し行動の迅速化を促します。
しかし、その快、不快があまりに強烈です。
強烈さ故に、感情を本来の目的で使用するのではなく、感情による快を享受し、不快を避けること自体を目的として行動するようになってしまうのです。
感情最優先の弊害
それには問題があります。
感情には最終的な満足がないのです。
いくら食料やお金があろうが、すでに配偶者や子孫がいようが、一旦手に入れたものへの満足は徐々に薄れ、さらなる欲望に突き動かされます。
感情を身に付けたであろう何万年、何千万年前には、農耕はおろか食料の備蓄なんてできないので食料を探し続けなければなりませんし、疫病や争いが絶えず、子供は作り続けなければ種が滅亡しかねません。
生存競争は群れごとのゼロサムゲームで、内集団と外集団は完全に利害が対立し、相手を滅ぼさなければ、自分たちが滅ぼされます。
人間はそのような過酷な環境に最適化するよう進化し、感情によって生存と生殖を第一優先するよう設計されているのです。
しかし、人類を取り巻く環境は大きく変化しました。
お金さえあればいつでも食料を購入でき、お金は銀行に預けておけばまず盗まれたりしません。ごく僅かですが利息を付けて返してくれます。
治安が向上し、医学は進歩したので、平均寿命は飛躍的に伸びました。
有限なリソースを他者と奪い合わなくても、他者との協力により新しい価値を生み出せば可能性は無限となります。
そんな時代に、
欲望のおもむくままに、稼いだお金をさらに増やそうと投資額や投資先を増やせばむしろ損をしたり、
妻子がいるにもかかわらず不倫を繰り返すと、慰謝料を請求されたり、社会的制裁が与えられたり、
相手のシェアを奪い、自分たちだけが利益を独占しようとすると、まともなビジネス相手とみなされませんし、部下・従業員もついてきてくれません。
人間が成し遂げた進化は、現代社会でQOL(Quality Of Life)を高めるにはむしろ障害ともなるのです。
それが人間の性(サガ)
QOLを高めるためには、
自分にとって身の丈に合った物的・人的な豊かさ(金や物、名声など)を、世の中と調和するかたちで追求し、それを得られたのであればそのことに感謝し、世の中にその恩を返していくべきです。
しかし、人間はそれを頭ではわかりながらも結局は抗えず破滅に向かっていってしまうのです。
それが、人間の性です。
なので、いくら科学技術が発展しようとも人類全体が幸福になることはないのだと思います。
shiro-shita
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