Contents
人手不足で悩む地元小企業だが、こんなんだったら人を雇う以前の問題
こんな地元小企業には勤務すべきではない!?
前回の記事で一部の地元小企業で勤務する側にとってはなかなかひどい状況になっているところがあると言いましたが、どのような地元小企業でしょうか。
こんな地元小企業はダメ① メリットというよりデメリットになっている
地元小企業のメリットを、意思決定が早く、主体的に業務を行うことができ、自分への期待が大きいと申し上げましたが、
それを逆にいうと、
- 会社の決定は社長の気分次第
- 極小な雑務から未経験の仕事まですべてを押し付けられる
- 大きな期待は大きな失望に変わりうる
ということになります。
仕事をしているとうまくいかない時期もあるのですが、そんな時期に、社長の気まぐれに振り回されて、散々仕事を押し付けられた挙句に、さらにムチを打たれたならば逃げ場のない絶望に陥ります。
大企業ならトイレや休憩スペースに行って気分転換を図ることもできますが、地元小企業ではトイレすら男女兼用で室内にあって、小用を足す際の便器の跳ね返り音が社内全員にダダ漏れだったりします。
こんな地元小企業はダメ② 何の強みも獲られない
地元小企業では会社の何から何までやれるのが醍醐味ではありますが、
そもそもその会社に身に付けることで自分の価値が上がるようなノウハウがなかったりします。
地元小企業なのでその業界のトップリーダーであることはありません。以下の4パターンのいずれかに該当します。
- ニッチに徹している
- 地元の利権を握っている
- 大手にシェアを奪われつつあり防戦一方
- 単なる零細企業
強みとなるノウハウを獲得できるのは1だけです。
3と4はこれからわざわざ勤めるべきではないのは明白ですが、2もこれから勤めるのはオススメしません。経営家出身ではない新人が活躍できるフィールドはありません。
自分にやる気とノウハウがあって、その企業を利用したいんだというくらいであればいいのかもしれませんが、それなら起業することをオススメします。
こんな地元小企業はダメ③ 従業員のコスパを追求する
地元小企業では採用活動に時間もお金も割けませんし、入社後の教育投資も大企業のように充実していません。
それで、待遇がいい訳でもなく、得られるスキルもなかったら誰もそんな企業に入りたいと思わないでしょう。
それなのに、そういった企業の社長が身の程知らずにも即戦力を求めていることがあります。
その人を雇うとなんぼ儲かるんだと、給与の投資に対して、売上リターンはどれくらいかが採用基準です。
(従業員にプレッシャーを掛けるための方便で言うだけではなく本気にそう思っている)
そうでないと企業が成り立たないのでしょうが、その企業は社長の考えが時代遅れで、さらに拝金主義で人望もないということになります。
実際にそういう根拠のない自己中心的な考えをする社長は多いです。
そのくらい勘違いじゃないと起業なんてできないのかもしれません。
こんな地元小企業はダメ④ 従業員は使用人
地元小企業のほとんどは家族経営で、地元小企業に勤めると社長一家との接点が多くあります。
経営者とか社長というのは立場や役割であり、偉いとかすごいとかいったものではなく、もちろん身分でもありません。
それでも、貴族とその使用人みたいな雰囲気になりがちであり、実際の業務とは無関係な社長(とその家族)の姿を見て、それを許容しなければなりません。
- 節税と称して社長とその家族は外車に乗っている
- 会社経費で私物を買う
- 社長と家族従業員は業務時間中に家族イベントを行いその模様をSNSにアップする
- 一般従業員には経営の苦しさを強調し昇給に釘を刺す
社長が稼いだ金をどう使おうが自由ではありますが、そんな様子を見てモチベーションが上がる従業員はいません。
会社経営をしていてもリスクやコストに対して思ったほどリターンが得られず、自分を犠牲にして従業員に給与を払っている涙ぐましい経営者も結構いますが、その逆も結構います。
社長とその家族が空気を読めず、従業員との温度差が大きい企業だと、従業員としては業務に集中しにくく、あらゆる面でストレスを感じることになります。
なぜか多い勘違い地元小企業
こんな地元小企業はダメ!というより、会社の規模問わずにこんな会社はダメってことになってしまいました。
日本の企業の8割がオーナー企業で、上場企業ですら半分が親族経営と言われているので、よっぽどのパブリックカンパニーでもなければ上記のことは起こり得ます。
そう考えると、大きい会社と小さい会社に勤めるのの差は“薄まり具合”だけかもしれません。
大企業だと社長の人望や熱意、もしくは勘違いや異常性が良くも悪くも薄まります。
特に高いモチベーションなく無難に働きたい人にとっては地元小企業はリスキーな選択でしょう。
なお、私はある不動産会社の社長がこんな風にボヤいているのを聞いたことがあります。
「あいつを雇って100万損した」
その会社では雇った人が2ヶ月で辞め、その間、1円の売上を上げることなく、会社としては給与と会社負担の社会保険、教育コスト等が無駄になったのです。
ただし、その会社は不動産業界未経験だったその人に、過去に問い合わせがあったものの決まらなかった顧客リストにひたすら電話営業をさせたのです。不動産知識を教えるのではなく、電話営業のロープレなし、上司は営業で外に出ててほとんど放置です。しかも、その会社では新人に電話営業させるのが習わしという訳ではなく、過去リストのテレアポは社長の思い付きです。
対して辞めたその人はこう思っているはずです。
「ものすごく嫌な思いをした上に履歴書の経歴を汚してしまった」
その会社は人を雇うレベルに達していないのです。
その待遇、その会社のシステムでは奇跡が起きない限りフィットする人材は来ません。
待遇を上げたり、教育体制を整える余裕がないのであれば、それはその会社のビジネスモデルが通用していないということです。
世の中では人手不足と言われていますが、正確に言えば、人はいても、その待遇ではやる人がいないのです。つまり、そのビジネスモデルは労働力のコストアップに対応できていないのです。
それなら、その時代に合わせて会社をスケールダウンし、従業員に頼らず社長自らがもっと仕事をすべきです。
社長がいい人が来ると奇跡を信じて募集・採用すると世の中が不幸になります。
そんな不毛な労使関係が繰り返され、従業員と会社がすり減っていくことに耐えるのが仕事になっている、そんな会社に巻き込まれないようご注意ください。
shiro-shita
最新記事 by shiro-shita (全て見る)
- 賃借人、死す 死亡診断書を巡る役所とのバトル 〜後編〜 - 2025年8月4日
- 賃借人、死す 死亡診断書を巡る役所とのバトル 〜中編〜 - 2025年7月28日
- 賃借人、死す 死亡診断書を巡る役所とのバトル 〜前編〜 - 2025年7月24日