しょっぱい不動産投資「区分所有」編

不動産知識・テクニック

しょっぱい不動産投資 「区分所有」編

区分所有は不動産投資の王道!

低価格帯の不動産をキャッシュで購入しなるべく自力で管理運営してしぶとくせこく利益を捻り出す「しょっぱい投資」

<関連する記事>不動産向け融資が凍結されている今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

物件種別ごとに深掘りして記載します。今回は区分所有です。

【過去の記事】
第1回目:しょっぱい不動産投資 「月極駐車場」編

区分所有でのしょっぱい投資概要

区分所有での投資は分譲マンションや区分所有の店舗・事務所を購入して第三者に賃貸します。

 
マンションで財テクというと、タワーマンションを購入して節税をするスキームもありますが、それはタワーマンションの最上階は実勢価格に対して相続税評価額が低いことを利用して相続税を下げるものであり、しょっぱい投資とはほぼ無縁の世界です。

しょっぱい投資で扱うのは、世の中にある様々な年代・広さの区分所有のうち、平成バブル前後に分譲されたワンルーム等で現在の売買相場が500万円以内みたいな物件です。

 
区分所有に限らず投資物件全般に言えることですが、基本、部屋が狭いほど表面利回りは高くなります。

17平米のワンルームの賃料が3万円だとして、同じ棟内に34平米の部屋があっても6万円はなかなか取れませんから。

なら、狭い部屋を買うほど投資として正しいかと言うとそうではなく、それはあくまでも賃料水準の妥当性と表面利回りの話です。

部屋が狭いほど、顧客層が狭まり稼働率が落ちますし、入居者属性が悪化し入居期間が短く入れ替え経費が嵩むので、表面利回りに対して経費を差し引いた純利益は低下する傾向にあります。

 
区分所有でのしょっぱい投資の本質は、安価で表面利回りの高いながらも狭い部屋を購入して、その狭い部屋のデメリットをあの手この手のしょっぱい努力と運とでクリアし、純利益をなるべく高く持っていくということにあります。

区分所有でしょっぱい投資をするメリット

前述したように区分所有は物件によっては低額から投資を始められますので、低予算で投資したい方に向いています。

しかも、低額なりにも建物なので、月極駐車場で投資するよりも賃料がそれなりに取れるので利回りが高い傾向にあります。

また、不動産投資では構造的な不具合があると大きな出費となるので特に築古の物件では大きなリスクですが、区分所有の場合は大地震で外壁に亀裂が入ったり、雨漏れが起きても基本は管理組合で対応してくれるので、区分所有オーナーでのリスクテイクは限定されます。

さらに、棟内の別室の売却事例を参考にできるので、投資計画を立てやすいというメリットもあります。

 
なお、通常は実需(自分で住む)での販売が適しているミドルレンジの物件が賃借人付きだと、それを理由に相場より価格が安く設定されることがあります。

ミドルレンジなのでそれでも利回りはそんなに高くなりませんが、将来、入居者が退去したタイミングで実需として販売すれば買値より高く売れることがあります。そうなるとインカムゲインとキャピタルゲインの二重取りができです。

区分所有でしょっぱい投資をするデメリット

維持経費が結構かかる

区分所有は月極駐車場より表面利回りが高い傾向にありますが、維持経費は月極駐車場より掛かります。管理費&修繕積立金は入居者の有無にかかわらず定額掛かりますし、築古の物件の方が新築より修繕積立金が高い傾向にあります。固定資産税も建物が鉄筋コンクリート造なだけに高く、年数が経ってもあまり安くなりません。

基本、資産価値は年々下がる

建物は年々償却されて価値が低下するので、将来の売却時は取得価格で売れないと想定するべきです。建物価値の低下分も保有期間中の賃料収入で稼ぐ必要があります。

稼働率はゼロか100%で両極端

区分所有は1部屋なので入居者が退去すると稼働率は当然ゼロで、無収益に関わらず管理費・修繕積立金・固定資産税が掛かっていきます。投資パフォーマンスが低下するというレベルではなく、毎月完全に赤字です。

入居者が募集シーズンが終わった4月に退去したりすると1年近く(場合によってはもっと)空室になることもあります。

しょっぱい投資向けの区分所有は賃貸市場での競争力が低い

しょっぱい投資の区分所有の最大ボリュームゾーンはバブル期に建設された1R・1Kですが、それらは賃貸市場においては空室が多く潰し合いの悪循環に陥っており、稼働率や将来の賃料予測も厳しめに見ておく必要があります。

新築時から内装をいじっていないとミニ冷蔵庫&1口電磁ヒーター付キッチンに居室床はカーペットとあんまりな仕様だったりしますが、それを予算を掛けてリフォームしても、風呂トイレ洗面が合体した3点ユニット付きの狭い部屋である以上は賃料が上げることは難しいです。

原状回復費用の負担

最悪なのはなけなしの資金で物件を購入した直後に長く住んでいた入居者が退去するような場合です。

リフォームしたところで前述のように賃料は上げられませんし、入居者が付くかどうかすらわからない中で内装全部やり直すハメになったりします。

そもそも資金がなく原状回復工事費用を支出できないとなるとゲームオーバーです。

区分所有の店舗・事務所は出口戦略が難

区分所有の場合は融資が付かない訳ではありませんが、昨今は非常に難しいです(自分で住むと偽って住宅ローンを受けて購入する人が結構いますがそれは融資詐欺です)。中でも区分所有の店舗・事務所は融資が付きづらく、しかもそういった店舗事務所は住居よりも広かったりするのでそれなりの価格、それなりの維持経費が掛かります。

なので、区分の店舗・事務所を高利回りだといって手を出すと、高い維持経費の上に転売先もなく完全にババ化しゲームオーバーの危険性が高まります。
(逆に言えば買値を思いっ切り叩ける可能性がありますので割り切って買うならいいのかもしれません)

サブリース付き物件は注意が必要

投資用区分所有はデベロッパーの関連会社のサブリース付だったりします(バブル期のデベロッパーはほとんど倒産していますが、サブリースは違う会社に引き継がれています)。

サブリースは空室時でも賃料が入るメリットはありますが、サブリース会社もビジネスなのでその分の利益をしっかり取ってきます。サブリース賃料は中抜きされていますし、更新時にサブリース賃料が下げられたりします。

それだけではなく、入居者退去時等のリフォームはサブリース会社指定の業者への発注が義務化されていたりして、6畳用のエアコンが20万円とかぼったくられることも。しかも、そのサブリースは外すことができない契約になっています。

投資用マンションは管理レベルが低い傾向にある

投資用区分所有では物件を見たことすらない遠方のオーナーが多く管理組合運営は管理会社にぶん投げられているのが通例です。マンションを良くしようという意識が希薄でもともと安普請なので劣化の進行が早いです。

巷では限界マンションが社会問題化していますが、こういったマンションは限界マンション化が時間の問題と言っていいでしょう。

限界マンションに近づくにつれて売却は困難になっていきますので、出口戦略を早目に講じる必要があります。

 
 
 
というかデメリット沢山あり過ぎですね。
デメリットの項目数がメリットを大きく上回るからダメということではありませんので悪しからず…。

区分所有 投資運用シミュレーション

シミュレーション(区分所有)

◆シミュレーション条件
物件価格:350万円(諸経費別途)
専有面積:27.20㎡(8.22坪)
月額賃料:40,000円(年1%ずつ下落)
稼働率:95%
維持経費:固定資産税、管理費・修繕積立金、火災保険料、室内修繕費用 ※管理は自主管理
売却時期:15年後
売却価格:230万円(諸経費別途)

◆シミュレーション結果
初期投資総額:388万円
保有時年間キャッシュフロー:29万円(初年度)
最終利益:230万円
※所得税住民税は考慮していません

388万円というと何とかできそうな投資額(多分)に対し、年間のキャッシュフローが29万円(税引き前)なので、飲み会を増やせたり、お気に入りの一着を買ったり、日々投資の効果を実感できそうです。

もちろん、リスクありーの、空室時期ありーの、売却時の値下がりありーのですから入ってきた分がすべて収入ではなくトータルで考える必要がありますが。

記載の通り注意点が盛り沢山ですが、それでも不動産投資スタートアッパーとしてはトライしてみたいですよね。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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