賃貸物件に高齢者を受け入れるにはどうする?

貸し手

賃貸物件に高齢者の入居を受け入れるならソフト面からってのを具体的に検討する アパートオーナーの入居促進策 ​

人口が減る中で賃貸物件オーナーはいずれ高齢者を受け入れていかざるをえないのですが、どうせ受け入れるのであれば、賃料低下、入居者の質低下の悪循環の中で苦渋の選択として受け入れるのではなく、前向きに受け入れたいものです。

【前回の記事】賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れるのにまずはソフト面から改善を アパートオーナーの入居促進策

今回は受け入れについてもっと掘り下げて考えますが、

一口に高齢者といっても物件の現状によってどんな高齢者を受け入れるかが違い、物件ごとに入居方針を立てて、モンスター入居者を見極めながらスムーズに運営できるようする必要があります。

競争力があって入居率がいい物件

今のところ入居率に問題はないけど、将来に備えて早めに対応していきたいというケースです。

その際は「意欲的に賃貸生活を送ろうとしている高齢者」の募集方策を検討すべきでしょう。

かつては持家のない高齢者はネガティブに受け取られましたが、

「持家VS賃貸」論争があるように、家を購入できるのにあえて賃貸派という人もいます。

賃貸の方がローリスクかつ縛られず暮らせますからね。

こういった方の多くは能動的で行動力があり、インターネットを利用して自分で情報にアクセスしますので、このような方の感性に響くように物件の情報を発信する必要があります。

掲載する内容は単に高齢者を断らないというだけではなく、

高齢者に配慮して設備や賃貸条件がこうなっています、とか、こんなサービスを行なっています、

とポジティブにアピールします。

例えば、連帯保証人が不要です、そのかわり指定の保険に入ってもらいます、とか、24時間駆け付けサービスあります、

みたいな具合です。

なお、入居後にお互いのミスマッチを防ぐ上で、物件の見学を1回しただけで型通りの申込書を書いてもらうのではなく、入居者に周辺環境や交通手段、管理者との相性を確認してもらい、管理者は入居者の人となりを把握するために、内見、申込、審査に日数を掛け、お互いが納得し、信頼関係を築けるようなプロセスにするのが望ましいでしょう。

ポジティブにアピールして、それに自ら呼応してくる方はモンスターである可能性は低いです。こちらが礼を尽くせば相応の対応をしてくれます。良い関係を築くためには最初が肝心です。

すでに競争力が落ち空室が多い物件なら

そういった状態であれば「意欲的ではない高齢者」を受け容れていくことになります。

そういった方々は申し訳ないですが、情報収集力が低く、他力本願で理解力に欠けるような方が多々いらっしゃって、周囲の人が動いて物件にアクセスしてくることが多いです。

それでも入居後は安寧と暮らしていくか、それとも「モンスター入居者」になるかをかを見極める必要があります。

モンスター入居者になるかの見極めは、例えば生活保護受給者はダメとか、独身で高齢の男性はダメとか簡単なものではありません。

入居申込書の記載内容だけではなく、ちょっとしたしぐさや言動から、その人の危険な傾向を読み取る必要があり、審査する者に経験と人間的成熟が必要です。

もちろんいくら熟練の審査者でも完全ではありませんし、入居後に老化が進むことでモンスター化することもあります。

何度か会って時間を掛けてじっくり見極めればいいのですが、営利を目的にしている以上は掛けられる時間は限られますし、こういった入居者は時間的余裕なく探していることが多かったりします。

ですから当然ですがリスクあるのです。

 
賃貸物件に高齢者を受け入れていくのは一朝一夕という訳にはいきません。来るべき時代に備えて少しずつ準備をしていきましょう。

The following two tabs change content below.

shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れる ​ために賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れるのにまずはソフト面から改善を アパートオーナーの入居促進策 ​前のページ

高齢者の入居ニーズを取り込むために物件を改修するといっても老人ホームと張り合うようなおおごとではない ​次のページ高齢者の入居ニーズを取り込むために物件を改修するといっても老人ホームと張り合うようなおおごとではない ​

ピックアップ記事

  1. これを読むと不動産業界では働きたくなくなる!? 不動産会社での雇用・労働の実態と…

  2. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…

  3. 不動産投資のハードルが上がる今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

  4. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

  5. アパート1棟買っちゃいました ~個人的不動産投資談①~

関連記事

  1. 「法人社宅」は賃貸住宅市場になくてはならないが、おんぶにだっこの賃貸経営で本当にいいのか!?
  2. 賃貸市場のイノベーターになる必要はない!?

    貸し手

    アパート・マンションオーナーが賃貸市場のイノベーターになるメリットはない!? ​ 仙台の賃貸物件のオ…

    賃貸物件の新たなかたちとしてカスタマイズ賃貸とかペット共生とかリノベー…

  3. 貸し手

    アパート・マンション自主管理マニュアル④「入金管理」

    第4回は入金管理、特に入居者からの毎月の賃料の受領についてです。…

  4. 貸し手

    アパート・マンション自主管理マニュアル⑦「ビルメンテナンス」

    第7回は共用部のメンテナンスについてです。アパート・マンション…

  5. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセットマネジャー”の不動産管理会社をしっかり選任しておきましょう ​

    貸し手

    不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセットマネジャー”の不動産…

    高齢化や人手不足から物件の管理ができなくなる不動産会社が出てきていま…

  6. 貸し手

    【解説】アパート・マンション管理業者の選び方

    管理業者は現状分析力・改善提案力・運営力・オーダーメイドプラン対応で選…

  1. こんなアラフォーはアウト

    城下個人的

    不運のアラフォー世代は自分の老後のためにまだまだ活躍しないといけない それなのに…
  2. しょっぱい不動産投資「その他」編

    買い手・借り手

    しょっぱい不動産投資「その他」編
  3. 城下個人的

    弊社の5期目が終了しました
  4. 不動産売却のチェックポイント動産の扱いについて

    売り手

    不動産売却のチェックポイント4 室内外の動産ってやっぱりゴミなの!? ​
  5. 城下個人的

    事務所移転のお知らせ
PAGE TOP