司法書士の本人確認&意思確認

不動産知識・テクニック

不動産売却のチェックポイント12 不動産売却の最後の壁は司法書士の本人確認&意思確認 ​

<第1回>権利証・登記識別情報通知
<第2回>抵当権等の不動産に設定された権利
<第3回>完璧な隣地との境界の状態とは!?
<第4回>室内外の動産ってやっぱりゴミなの!? ​
<第5回>修繕履歴を残しインスペクションするのが最近の不動産売買の流れ!?
<第6回>販売は住みながら? 空家にしてから?
​<第7回>リフォームやホームステージングをして売るべきか!?
<第8回>売却条件の決定 価格以外で最も重要なことは!?
<第9回>不動産会社の査定書の注意点 & マユツバな会社の判別法
<第10回>売出価格決定 ダメ元で高く売り出すのはOK!?
<第11回>売却時に譲渡所得税がドカンと来る!?

登記手続きを軽んずべからず

売主は”登記義務者”

不動産の買い手への引渡しはただ明渡せばいいのではなく、大前提として登記名義を買い手に移さなければなりません。

それを所有権移転登記といい、費用は買い手が負担するものの、名義を移すために必要な書類、必要な手続きは売主の負担と責任で提供しなければなりません。

 
登記手続き上、買い手を登記権利者と言いますが、売主は登記義務者と言います。義務者の方が権利者にくらべて手続きが厳密です。

なあなあな感じで、適当にやっといてってのは通用しません。

不動産を売却して対価を得るということは、その義務を果たさなければならないのです。

登記の必要書類と手続き

<書類>

  • 印鑑登録証明書
  • 登記済権利証(登記識別情報通知)
  • 写真付きの公的身分証明書
  •  
    <手続き>

  • 登記手続きを委任された司法書士との面談による本人確認と売却の意思確認
  • 司法書士への委任状、登記原因証明情報の記名、捺印(必ず実印で)
  •  
    ※上記必要書類、手続きは一般的な売却時のものとなります。取引方法によっては上記以外の書類、手続きが必要になる場合があります。
    ※登記済権利証や登記識別情報通知を紛失している場合の手続きはコチラをご覧ください。

     
    写真付きの身分証が何もない場合は、写真付きではないものを2つ、例えば、国民健康保険証と年金手帳を提示します。

    司法書士による本人&意思確認、必要書類への記名・捺印は面談が望ましいですが、遠方に住んでいたりしてどうしても司法書士の事務所に訪問できない、もしくは最終代金支払い手続き(以降は決済と記載します)に同席できない場合は、本人限定郵便で書類を郵送してもらって、電話で売却の意思を司法書士に伝えます。

    司法書士に自宅等に来てもらって手続きをする場合、司法書士の交通費、日当を負担する必要があります。

     
     
    また、決済に同席せず、郵送などで登記手続きを行なう場合、決済金をもらう前に権利証といった必要書類を司法書士に渡すことになります。

    買主が銀行で振り込み手続きするのに司法書士が同行し、振込手続きが完了したことを確認の上で登記するのでまず間違いは起こりませんが、最終確認を他人に委ねるということになります。

    認知能力に問題をきたすと登記不能になる!?

    売主が高齢で施設に入っていて、しかも字を書けないといった場合、本人確認や意思確認の手段は司法書士判断になり、担当する司法書士に個別に相談することになります。

     
    ただ、こういった場合、最悪は意思確認ができなくて売買不能ということになります。

     
    売買契約締結の時は問題なくても、契約から物件引渡しまでの間に認知症になって意思確認不能になった場合は契約不履行で違約金を課されることもあります。

     
    不動産の名義人が施設に入所し、その施設費支払いのために不動産を売らなければならないという状況が客観的に明白であり、本人もかつては売却に明確な同意を示していたとしても、司法書士の質問に答えられなかったり、明らかに認知能力に問題がある場合、司法書士としては売却不能の判断をしないといけません。

    売却が不能になることで違約金が課せられますし、家族の切実な思い、ここまで段取ってきた仲介業者の立場を考えると、司法書士としても追い詰められますが、司法書士としても本人の意思確認がない中で手続きを進めたことが明るみになると懲戒処分を受ける可能性があります。

    本人がダメなら成年後見人に判断してもらえばいい!?

    本人の認知能力に問題がある場合はどうすればいいかと言うと、原則は成年後見制度を利用することになります。

    ただし、成年後見制度の手続きは、必要書類を集めるのも、手続きに要する期間も、申立てが認められても第三者が選任されることを含めても簡単便利な手続きではありません。

    むしろ、差し迫った状況になってから手続きするのでは現実的な解決手段とならないでしょう。

    さらに、家族が成年後見人として認められたとしても、売却する不動産が本人の自宅の場合、売却に裁判所の許可が必要です。

    何も不動産に限ったことではありませんが、今の制度では認知能力に問題が生じると八方塞がりに陥るのです。

    同時抹消する抵当権等がある場合

    売却する不動産に抵当権が設定されていたり、売主の住所変更登記が必要な場合は”事前”もしくは買い手への登記申請と”同時”に手続きする必要があります。

    事前申請の場合

    抵当権なら、決済金が入る前にローンの完済金や根抵当権の解除をする金銭的余裕があり、万が一決済金が入ってこないという状況に陥っても困らなければ、事前に手続きするとスムーズです。

    ただし、その場合の注意点として、完済して抵当権抹消等の登記申請をすると、登記が変更されるまでの1〜2週間程度は登記簿が取得できず、その間は他の登記を申請できません。

    肝心の買い手への所有権移転登記が申請できなくなると一大事なので期間に余裕がなければ無理せず、同時申請した方が無難です。
    (完済して解除書類だけもらっておいて登記申請は同時も可能)

    同時申請の場合

    決済金をローン完済に充てる場合、完済日が何月何日かによって利息が異なるので、前もって決済日を金融機関に伝えておかなければなりません。

    金融機関も書類の準備、社内手続きがあるので、いきなり前日とかに言われても対応不能ですし、当日に子供が熱出したから1日延期という訳にもいきません。

     
    そして、買い手がローンを利用する際は、買い手側の金融機関の抵当権設定条件とすり合わせる必要があります。

    買い手側の金融機関としては売主の設定した抵当権が登記上抹消されていない状態でローンを実行するので、売主側の金融機関が抵当権を解除するという裏付けが必要ですし、当日、売主がしっかりと完済手続きをするのを見届けなければなりません。

    それを買い手側の金融機関の担当者、司法書士、売主側の金融機関、不動産会社がコマゴマと段取っているのです。

     
     
    ということもあり、決済日はなるべく早めに決めて、一度決めたら動かさないようにしましょう。

    不動産会社として、決済日をギリギリで変更をお願いするほどストレスフルな仕事は他にありません。

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    shiro-shita

    仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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