高齢者の入居ニーズを取り込むために物件を改修するといっても老人ホームと張り合うようなおおごとではない ​

貸し手

高齢者の入居ニーズを取り込むために物件を改修するといっても老人ホームと張り合うようなおおごとではない ​

賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れていくのであれば、もちろん、高齢者が過ごしやすい物件であることが望ましいわけです。

どんな物件が過ごしやすいかというと、

  • 室内に段差がない
  • 廊下幅が広い
  • 手すり付き
  • 1階もしくはエレベーター付き
  • 周辺に坂がない
  • 徒歩圏にスーパーと病院がある
  •  
    条件全部満たすような物件はまずないでしょう。

    あったら入居者に困ってないはずです。

    もちろん、これ全部満たさないと入居者が集まらないという訳ではありません。

    そもそも、老人ホームと張り合う必要もありません、老人ホームとは違うニーズの客層なので。

    どんな高齢者のニーズを掴めそうな物件かを分析する

    高齢者といっても一括りにできません。

    収入が多い人も少ない人も、

    健康に自信がある人もそうでない人も、

    都会が好きな人も郊外が好きな人も、

    人との関りを求める人もプライバシーを重視する人も

    いろんな方がいます。

    さらに言えば、

    蓄えはあっても住まいは堅実に選ぶ人もいますし、

    これまでの住まいの条件が悪く全く高望みしない人もいますし、その逆の人もいます。

    なので、物件を分析して、

    どういったゾーンの高齢者の需要が見込めるか、

    より競争力を上げるためにどんな改修をすべきか、

    その改修は費用対効果が合うか、

    を検討すべきです。

    全ての高齢者をカバーする必要はありませんし、

    抜本的な変更を加えなければならないケースはむしろレアでしょう。
    (これまで何年もバリューアップせずにしのいでいた場合は別ですが)

    手の付けやすいところからやるべき

    例えば、防犯等の理由からあまり人気のない1階居室に高齢者からの入居希望があった場合、話し合いの上で、玄関や浴室に手すりを付けてみたり、1階の共用廊下をバリアフリーにしてみたりします。

    手すりの費用はそんな高額という訳ではありませんし、共用廊下をリフォームすればアパート全体の価値が上がります。

    逆に、丘陵地の団地等で坂ばかりのエリアだったり、道路と宅盤までの数メートルの高低差を階段を使って出入りするような物件を、入居希望者がいない段階で居室内だけバリアフリーにしたところでほとんど効果がない訳です。

    まずは情報に踊らされずに徹底的な物件分析を行うことが第一です。誤った分析をもとに対策を実行しても結果は危ういです。

    The following two tabs change content below.

    shiro-shita

    仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

    賃貸物件に高齢者を受け入れるにはどうする?賃貸物件に高齢者の入居を受け入れるならソフト面からってのを具体的に検討する アパートオーナーの入居促進策 ​前のページ

    土地の所有権を放棄したい時に放棄できる制度 放棄された土地は国が有効活用? ​次のページ土地の所有権を放棄したい時に放棄できる制度 ​

    ピックアップ記事

    1. これを読むと不動産業界では働きたくなくなる!? 不動産会社での雇用・労働の実態と…

    2. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…

    3. アパート1棟買っちゃいました ~個人的不動産投資談①~

    4. 不動産投資のハードルが上がる今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

    5. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

    関連記事

    1. 古アパート&古貸家が陥りやすい問題とは? ​

      貸し手

      うまくいっていない不動産ほどコンサルティングが必要! 古アパート&古貸家が陥りやすい問題とは? ​

      老朽化するほど管理がずさんになりがちなアパート&貸家 できれば古いほ…

    2. 貸し手

      【解説】不動産賃貸のプロセス

      賢人は不動産賃貸を不動産会社に丸投げしない今回は不動産活用の…

    3. 賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れる ​ために

      貸し手

      賃貸物件に前向きに高齢者を受け入れるのにまずはソフト面から改善を アパートオーナーの入居促進策 ​

      なぜ高齢者の賃貸物件入居が進まないか少子高齢化が進む中、相続税対策…

    4. 大家・管理者のための入居審査の勘所

      貸し手

      大家・管理者のための入居審査の勘所

      賃貸入居審査では財力より人となりを重視すべきなのが綺麗事ではないワケ…

    5. 貸し手

      アパート・マンション自主管理マニュアル⑥「滞納者への督促・回収」

      第6回は賃料を滞納する入居者への対応方法です。アパート・マンシ…

    6. 「事故物件リスク」という モンスターを制御する方法①

      貸し手

      ”事故物件リスク”というモンスターを制御する方法①

      事故物件リスクは対処不能・制御不能のモンスターとなりつつある心理的…

    1. 不動産の現場販売は終わるか!?②

      不動産業界

      不動産の現場販売は終わるのか!?②
    2. 不動産売却のチェックポイント14 決済時に一緒に行う固定資産税等の精算は深入りするとメダパニ!

      売り手

      不動産売却のチェックポイント14 決済時に一緒に行う固定資産税等の精算は深入りす…
    3. 不動産営業会社は動物園の猿山

      城下個人的

      不動産会社の営業都市伝説① 不動産営業会社は動物園の猿山 ​
    4. こんなアラフォーはアウト

      城下個人的

      不運のアラフォー世代は自分の老後のためにまだまだ活躍しないといけない それなのに…
    5. インスペクション制度

      不動産業界

      建物状況調査制度はまだまだ道半ば 空気を読みながら姑息に対応すべし ​
    PAGE TOP