不動産売却のチェックポイント14 決済時に一緒に行う固定資産税等の精算は深入りするとメダパニ!

不動産知識・テクニック

不動産売却のチェックポイント14 決済時に一緒に行う固定資産税等の精算は深入りするとメダパニ! ​

<第1回>権利証・登記識別情報通知
<第2回>抵当権等の不動産に設定された権利
<第3回>完璧な隣地との境界の状態とは!?
<第4回>室内外の動産ってやっぱりゴミなの!? ​
<第5回>修繕履歴を残しインスペクションするのが最近の不動産売買の流れ!?
<第6回>販売は住みながら? 空家にしてから?
​<第7回>リフォームやホームステージングをして売るべきか!?
<第8回>売却条件の決定 価格以外で最も重要なことは!?
<第9回>不動産会社の査定書の注意点 & マユツバな会社の判別法
<第10回>売出価格決定 ダメ元で高く売り出すのはOK!?
<第11回>売却時に譲渡所得税がドカンと来る!?
<第12回>不動産売却の最後の壁は司法書士の本人確認&意思確認
<第13回>決済・引渡に向けた変更手続き 漏れたり忘れたり面倒くさい

不動産の決済時の精算は金額は大したことないのに頭をマックス悩ませる!?

最終代金を受領して、物件を引渡す際ですが、最終代金以外にも一緒に固定資産税等の精算を行います。
(以降、最終代金受領&物件引渡しを「決済」と記載します)

今回は固定資産税の精算金といった決済時に授受される最終代金以外の金銭について記載します。

固定資産税精算金は税金ではない!?

(正確には固定資産税&都市計画税ですが、以降の記載は「固定資産税」とします)
決済時に買い手は売主に固定資産税精算金を交付するのが不動産売買の慣例となっています。

固定資産税の年額をその年の日数(閏年でなければ365日)で割って一日分の相当額を出し、起算日が1月1日であれば(4月1日とする地方もあります)決済日当日から大晦日までの日数を掛けたものが精算金となります。

 
しかし、あくまで売主と買い手の任意の精算なので、納税義務者が変わる訳ではありません。

 
固定資産税・都市計画税(以降は固定資産税と記載)は税法上は1月1日に不動産を所有している人がその年度の固定資産税全額を支払う義務があり、極端な話、1月2日に売却してもその年の4月(市町村によっては5月頃)に固定資産税の納付書が全期分届き、期日までに支払い義務があります。

違うのは滞納してもすでに物件が売却済みならその物件は差押えされないということだけです。

 
売主の固定資産税支払いのための納税協力金と捉えた方がいいかもしれません。

 
中に、固定資産税の未支払いの割賦を持ってきて、買い手に渡そうとする人がいますが、それでは、万が一、買い手が納付しないと売主が税金滞納となり督促されてしまいます。

また、固定資産税は年度ごとに納付書が来るので、1月1日を起算日とするのはおかしいのではないか、4月以降にすべきではないかという人がいます(たいていはその方が実入りが増える売主)。確かに仰る通りですが、契約締結後に言われても遅いです。売買契約書に固定資産税精算の起算日をいつにするか記載され合意済です。

さらに、固定資産税精算金をもらうと買い手に迷惑が掛からないようにとまだ支払期が来ていない分も一括全納しようとする方がいます。支払うのは全く問題ないですが、仮に払わなかったとしても督促されるのは売主で、買い手には一切迷惑が掛かりません。

固定資産税精算金は売買代金の一部

精算金とは言うものの、譲渡所得税の計算上は不動産の売却代金に含めなければなりません。

売主が事業者の場合は売上に計上されます。ということは消費税も課税される訳ですが、土地分の固定資産税精算金は土地の対価とみなされるので、消費税非課税取引になります。建物分の固定資産税精算金は建物の対価なので消費税が課税されます。(とはいえ、こんな細かいルールを厳密に適用していないことも多いです)

例えば、不動産を2000万円で売却して、その内訳が土地1000万円、建物1000万円だとして、固定資産税精算金として土地分2万円、建物分8万円受領した場合、不動産を2010万円で売却し、土地が1002万円、建物が1008万円(課税業者なら建物本体933万円、消費税105万円)ということになります。

固定資産税以外の精算項目

固定資産税以外の精算項目はマンションの管理費や修繕積立金、アパート等の賃料があります。

水道などの供給業者によっては決済日ピンポイントでの廃止、新規契約ができない場合があり、その場合は売主と買い手のどちらかが(主に売主)が決済日をまたいで契約して、当事者で日割精算します。

従量制の契約でどちらかが過剰に使ったり(使わなかったり)すると不公平が生じますが、そこまでは厳密に計算はしません。

 
日割や月割以外の精算項目としては、アパート等の場合に入居者から預かっている敷金や権利金の類があります。

売主が預かっているものを買い手に承継しますが、通常はその分を物件残代金から控除し、売主は物件残代金等の領収書を発行し、買い手は敷金の預り書をそれぞれ相手方に発行します。

土地区画整理事業地の注意点

土地区画整理事業が施工中の土地(換地)の場合、精算金や賦課金をどうするかという問題があります。
(土地区画整理事業…土地区画整理法により、市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なうこと)

土地区画整理事業では工事がすべて終わって換地処分の公告をする際に、一緒に従前地との面積差や賦課金という土地区画整理事業の経費を精算します。

 
この賦課金というのが大きくて、土地の面積が減ってるのに賦課金をトータルするとマイナスで、しかも何十万単位ということがザラにあります。

 
気を付けたいのは区分所有マンションでも土地の敷地権(持分)が含まれているので精算金、賦課金が発生することです。

すでに建っているマンションであれば区画整理事業があろうがあまり影響がないのでつい忘れがちです。

 
もちろん、土地区画整理事業地内の売買であれば賦課金の取り扱いが売買契約書や重要事項説明書に記載されているはずです。

 
売主が業者といった場合、不動産の商品性を明確にするために売主が負担することもありますが、普通は買い手がその時期が来た時に支払います。

賦課金の金額や発生時期が具体的にわかっていない場合もありますが、それでも現時点の見通しを伝えておかないとトラブルになりかねないので注意です。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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