不動産知識・テクニック

アパート・マンション自主管理マニュアル⑯「マーケット調査」

独りよがりな自主管理オーナーにならないようマーケット調査で肌感覚を磨くべし

第16回は競合物件や顧客動向といったマーケット調査についてです。

マーケット調査の必要性

不動産会社に管理を依頼している場合でも、物件周辺のレポート的なものを出してくれる会社は少数派でしょう。

しかし、新たな賃貸募集条件を決める際に、担当者が賃料をもうちょっと下げた方がみたいな意見は言ってくれるでしょう。

自主管理だとそのような機会は基本的になくなります。

自主管理では様々な意見&情報に触れる機会が少なく一人相撲に陥りがちなので、オーナー自身が意識的にマーケット調査を行う必要があります。

調査の方法

マーケット調査というと、日本不動産研究所のレポートや国勢調査といったものを思い浮かべるかもしれません。

ただし、それらは三大都市圏とか、せいぜい仙台市といったマクロな指標で、押さえるにはこしたことありませんが、具体的に役に立つことはありません。

自主管理オーナーが知るべきなのは自身の物件にフォーカスしたミクロなマーケットです。
 

私がおすすめするマーケット調査は、物件と立地・間取・賃料帯等が近く顧客層が被っている物件のいくつかを競合物件に指定し定点観測することです。

不動産ポータルサイトで競合物件の空室募集情報を確認し、現地まで行って、一棟の部屋数、入居or空室状況を確認し、以降は定期的にポータルサイトで募集が継続しているか、新たな空室募集がないかをチェックします。

部屋数、入居しているかどうかは、2~3階程度の物件であれば玄関の数や電力メーターの個数、窓にカーテンが掛かっているか目視で確認できます。

自分の物件の入居者募集の際に、類似物件の募集条件を参考にするのはやると思いますが、競合物件を定期的にチェックすることで、空室が成約するか、成約までどれくらいの期間が掛かるか、稼働率がいくらかまで把握できます。

調査結果の活用

マーケット調査によって得られたデータを自社物件に活用しますが、

競合物件が賃料50,000円なら自社物件も50,000円が適正賃料ではありません。競合物件とはいえ、間取りや面積、築年数、設備、イニシャルコスト、日照といった住環境は同じではないので、それらの差異を自社物件の募集条件に反映させなくてはなりません。

ちなみに弊社ではこんなの使用しています。

ただし、日照がいいからプラス5%とか、風呂トイレ一緒なのでマイナス10%みたいな全国共通の掛け目はありません。

例えば、駐車場がないのは郊外ファミリータイプなら致命的ですが、駅近シングルタイプならさほどでもありません。

エリアごとの需給関係や顧客層によって異なるというか、ぶっちゃけ肌感覚です。

 
なんだと思うでしょうが、実はその肌感覚を磨くことこそが重要です。

冒頭で不動産会社の意見と言いましたが、彼らの意見が参考になるのは肌感覚があるからです。彼らはマーケット調査を行っているというより、日々の業務で様々な物件を扱い、様々な顧客と相対すことで肌感覚を養っています。

自主管理オーナーは物件&顧客に接する機会は少ないので、マーケット調査を行い、それもただ漠然と行うのではなく、例えば競合物件の空室がなかなか埋まらない場合、自分だったらどうするかといった問いかけをすることで成長スピードが加速します。

今後の賃貸経営にマーケット調査は欠かせない


これからの賃貸経営は人口減少社会の中で縮小するパイの奪い合いであり、競合物件を出し抜かなければなりません。

とはいえ、過剰投資の末に競合物件に勝ったとしても投資としては敗北です。不動産投資の妙は競合物件を微妙に上回ることで、決して大勝する必要はなく、余力があればそれは温存して次に備えるべきです。

なので、ミクロなマーケット調査で勝敗ラインの見定めに解像度を高めるのです。

その点、元来の地主系オーナーはまだまだマーケット調査の必要性に気づいていない方が多いので、新規参入組の逆転勝利にはむしろマストと言えるかもしれません。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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