しょっぱい不動産投資「月極駐車場」編

不動産知識・テクニック

しょっぱい不動産投資 「月極駐車場」編

月極駐車場でローリスクでコツコツ投資!

低価格帯の不動産をキャッシュで購入しなるべく自力で管理運営してしぶとくせこく利益を捻り出す「しょっぱい投資」

<関連する記事>不動産向け融資が凍結されている今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

今回から物件種別ごとに深掘りして記載していきます。第1回は月極駐車場です。

月極駐車場でのしょっぱい投資概要

月極駐車場でのしょっぱい投資は、土地を購入して(もともと駐車場になっていたり、更地、もしくは古屋付きなら建物を解体して)、駐車場として第三者に賃貸します。

 
月極駐車場運営というと、アパート、マンション等が多いエリアをイメージするでしょうが、確かにそういったエリアは月極駐車場が貴重だったりするので高単価&高稼働が期待できますが、地価も高いので利回りは高くはなりにくいです。

さらに都会に行って時間貸駐車場のニーズがあるようなエリアだと、時間貸しで収入は上がりますが、地価はもっと高くなるので利回りはかえって下がることが多いはずです。

むしろ、古めの丘陵地の住宅団地のような地価がさほどでもないエリアの方が利回り的には有利だったりします。

そういった団地は駐車場が1台分しかない戸建が多くそれなりに月極駐車場の需要があったりします。

 
仮に駐車場1台分を4坪とした場合の利回りとして、

◆集合住宅が多いエリア
駐車料月額1万円/台 地価50万円/坪 
12万円(1万円×12ヶ月)÷200万円(50万円×4坪)=6%

◆時間貸駐車場エリア
駐車料月額5万円/台 地価300万円/坪
60万円(5万円×12ヶ月)÷1200万円(300万円×4坪)=5%

◆住宅団地エリア
駐車料月額0.5万円/台 地価20万円/坪
6万円(0.5万円×12ヶ月)÷80万円(20万円×4坪)=7.5%

利回り的には住宅団地が一番です。

 
 
というか、キャッシュで買えるのは住宅団地がギリじゃないでしょうか。

上記のように4坪の土地ってのは現実的にはまずないので、60坪だとすると、

集合住宅エリア:3000万円
時間貸エリア:1億8000万円
住宅団地:1200万円

なので、しょっぱい投資での月極駐車場は住宅団地とかのイメージになります。

月極駐車場でしょっぱい投資をするメリット

月極駐車場のメリットの一つは駐車場の賃貸借契約は借地借家法が適用されないため借主保護の強行規定がなく、滞納等の問題を起こす契約者をすぐ解約できることです。

なお、問題がない契約者でも1ヶ月前に一方的に予告すれば解約できるので、自分で使うとか更地で売却するといったことがイージーです。

また、駐車場事業は許認可不要なので、事実上車の出入りができて、駐車場のニーズがあるエリアであれば、接道や擁壁等に問題があって建築ができない土地でも利用できます。

再建築不可を理由に購入価格を叩ければ高利回りとなり得ます。

月極駐車場でしょっぱい投資をするデメリット

ただし、デメリットとしてはそういった再建築不可といった特別安い土地でもなければ利回りが低いことです。

10台分確保できる土地となると道路付や地形にもよりますが60坪は必要です。先程の例の通りの駐車料金、土地価格とすると表面利回り5%です(5000円×10台×12ヶ月÷1200万円)

地価が安いエリアだと稼働率100%は望みにくく、固定資産税都市計画税も住宅用地の軽減がないので、実質利回りはもっと低くなります。

 
そして、もともと駐車場になっている土地でなければ砂利敷等が必要です。青空駐車場といってもさすがに表面が土という訳にはいきません。

長期間放ったらかしにしていて荒地になってると、樹木を伐採した上で表土をすき取って砂利敷いてで100万円とか当たり前に掛かります。

 
また、面倒なので管理を不動産業者に依頼しようとしても彼らもあまり積極的ではありません。1台5000円なら管理料率5%として250円ですから。仮に管理を依頼しても流石に行き届いた管理を期待できるはずもなく、無断駐車やゴミの投機がされてないか自分自身で見回りしなければなりませんし、アスファルト舗装されていないと雑草除草を常に意識しないとなりません。

 
そして、古めの丘陵地の住宅団地で月極駐車場をする場合は、契約者は周辺の駐車場が充分に確保されていない戸建の住人がメインになりますが、そういった方々は高齢者であることが多く、だんだん需要は尻すぼみになると考えられます。需要が消え失せる前に出口戦略を講じるべきでしょう。

月極駐車場 投資運用シミュレーション

月極駐車場の投資運用シミュレーション

◆シミュレーション条件
土地価格:1200万円(諸経費別途)
土地面積:230㎡(69.5坪)
駐車場台数:8台
月額駐車料:1台5,000円
稼働率:95%
維持経費:固定資産税 ※管理は自主管理
売却時期:15年後
売却価格:1200万円(諸経費別途)

◆シミュレーション結果
初期投資総額:1275万円
保有時年間キャッシュフロー:37万円
最終利益:440万円
※所得税住民税は考慮していません

取得経費や売却経費はありますが、土地で減価償却しないので市場環境が同一であれば同じ価格で売れるので、保有期間中の収支がそのまま利益となります。

ただし、実質年収37万円のために1275万円のキャッシュを突っ込むのはウマ味があるとはさすがに言えないでしょう。

もっと投資としてのウマ味を追求するなら再建築不可等のもっと安い土地にすべきかもしれません(将来的に出口があるかはわかりませんが)。

 
 
まぁ、駐車場は不動産にしては手離れが良く、インフレヘッジにもなるので資産ポートフォリオ的にはお荷物にはなりにくいでしょうし、

こういったレベルの投資にギラギラしたプロが参入してきたり投資詐欺的な話もないでしょうから、カモられて大損することはないはずです。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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