ビッグデータ解析による不動産査定

不動産業界

不動産価格査定なんてビッグデータ解析で誰でも一瞬にできる時代がくる!?

これまでの不動産屋が行う不動産の価格査定は、

土地価格 = 周辺相場価格 × 地積
建物価格 = 新築価格 - 築年数に応じた償却価格

で基本的に行っていました。

よく言われるように木造は築20年で価値がなくなる計算式です。

まぁ、実際は上記の式に不動産屋の勘と売主の顔色を加味して査定している訳ですが。

不動産屋の勘とは

同じ築年数の建物でも使用状況によって価値は異なりますし、外観・間取で売れやすいもの売れにくいものもあります。

居住中よりも空家の方が売れやすいですが、賃貸に出して収益物件にした方がいいものもあります。

リフォームや造成工事を行い積極的に値上がり益を狙うこともあれば、そのまま手を掛けないで売る方が合理的なこともあります。

前面道路の幅員によって物件の価値は変わりますが、狭くてさらに道路と宅地に高低差があり圧迫感があるのと、フラットなのとでは感じ方は大きく違います。

 
しかし、こういった要素を不動産査定の計算式にどれくらい加算・減算するのか基準はありません。

例えば、すごく実用的な間取の家だとしても、そこが全く市場性がないようなド田舎であれば、普通の間取と売れやすさはさほど変わらなかったりします。逆に、市場によっては劇的に成約価格・成約期間が早まることもあります。

なので、その辺は現状、不動産屋の勘(と売主の顔色見てのさじ加減)で調整しているのです。

ビッグデータが活用されるとどうなる?

ビッグデータの活用となれば、莫大な取引を分析し、様々な要素につき類似サンプルをこちらも莫大に抽出して、それらをあてはめて価格を算出することになるでしょう。

様々な要素を適切に分類し、それを莫大な数を集めて解析することができればという前提ですが、不動産屋の勘に頼るより正確ですし、価格の客観性が担保されやすいので、個人的には是非進めるべきだと思います。不動産の資産価値がより透明になり、多くの人が取引に参加しやすくなり、市場の活性化も期待できます。

 
それを不動産屋や不動産鑑定士の仕事がなくなると悲観的に捉える人もいますが、その時は不動産屋・不動産鑑定士に対し今と違ったニーズがあるでしょう。

 
ただし、現状は実用化にはまだ遠いと言えます。取引データのクローラーは結構あるものの、道路と宅地の高低差といった細部のデータまではないので、当然拾えません。いずれは画像データをもとに自動判定させることができるかもしれませんが、壁がいくつもありそうです。

 
ちなみに今でも様々なサイトが瞬時に価格査定ができると謳っています。どのようなやり方をしているかは詳細に把握はしていませんが、実際に使ってみるとどこぞの不動産会社の新人並の精度さで使い物になりません。

The following two tabs change content below.

shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

shiro-shita何をもって偉そうに「不動産コンサルタント」と名乗るか、何で「fudousan-lab」なのか?前のページ

不動産屋の広告はいつまでもこんなんでいいのか!? ​次のページ不動産屋の広告はダサイ

ピックアップ記事

  1. 不動産投資のハードルが上がる今、「しょっぱい不動産投資」で糊口を凌ぐ

  2. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…

  3. 大家・管理者のための入居審査の勘所

  4. アパート1棟買っちゃいました ~個人的不動産投資談①~

  5. HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話

関連記事

  1. 不動産の現場販売は終わるか!?②

    不動産業界

    不動産の現場販売は終わるのか!?②

    他の手段にリプレイスされる現場販売者前回の記事:不動産の現場…

  2. ウィズコロナ&アフターコロナの不動産業界

    不動産業界

    ウィズコロナ&アフターコロナの不動産業界

    新型コロナでついに世界はニューノーマルを迎えるか!? 結局、歴史は繰…

  3. 新しくできた投資用不動産検索サイトが革新的なんだがこれって流行る!? ​

    不動産業界

    新しくできた投資用不動産検索サイトが革新的なんだがこれって流行る!? ​

    先進的な検索サイトがローンチされる投資用不動産不動産検索サイトとい…

  4. それなら不動産営業はどうすべきか!?①

    不動産業界

    それなら不動産営業はどうすべきか!?①

    ITにリプレイスされる中で不動産営業が担うべき役割とは?前々…

  5. インスペクション制度

    不動産業界

    建物状況調査制度はまだまだ道半ば 空気を読みながら姑息に対応すべし ​

    国交省肝いりで始まったインスペクション制度ですが、今のところは売る場合…

  6. これから仲介者が担うべき 役割についての持論

    不動産業界

    これから仲介者が担うべき役割についての持論

    最もふさわしい人が自然と買い手となる市場構造を実現すべき!前…

最近の記事
  1. 不動産屋の広告はダサイ

    不動産業界

    不動産屋の広告はいつまでもこんなんでいいのか!? ​
  2. 投資用不動産探し2.0

    買い手・借り手

    投資用不動産購入者の誰もが通る道 ​
  3. 会社やってみてわかった。事業家はこんなに楽しい①

    城下個人的

    会社やってみてわかった。事業家はこんなに楽しい!①
  4. 負のループに陥る中小企業の採用育成

    城下個人的

    負のループに陥る中小企業の人材採用・育成
  5. 不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセットマネジャー”の不動産管理会社をしっかり選任しておきましょう ​

    貸し手

    不動産管理業はこれから厳しい!?将来誰も不動産管理してくれなくなる前に”アセット…
PAGE TOP