革新的ビジネスモデルよりも大切な自分にとっての居心地の良さ
実は快適だった自宅でマイペースな起業
前回、HSPで勤務先としっくりこない自分が、独立のビジネスアイデアを模索するも諦め、仕方なく地味でしょぼい起業を決意するまでの顛末を記載しました。
【前回のブログ】HSPでサラリーマン向かないから仕方なく起業した話
そんな半ば諦めによって始まった私の会社ですが、
やってみると予想外に快適な日々でした。
住宅地の奥まったところにある自宅の一室で一人ぼっちなので、静かで、他人の目がなく、来客や飛込営業が来ることは稀です。
HSP的には繁華街にある店舗や様々な人が行き交うオフィスよりこのような環境が向いていたのです。
そして、業務では完全にマイペースを貫けます。
勤務時間に休憩のタイミング、服装、パソコン等の仕事道具のセレクトその他諸々を誰にも気を遣わずに自由に決めることができます。
上司への報告や許可も不要です。私はサラリーマン時代に最も嫌だったことがの上司への報告で、顧客への実際の応対とは別に、上司に横槍入れられないようにデフォルメしたストーリーを考えていました(サラリーマンとしてはやるべきではないことですが)
そのように自分に適した環境の中で、サラリーマン的ながんじがらめから解放されたことで、これまで無駄に消費していたリソースを業務に充てられるようになり、パフォーマンスを向上させることができました。
それは自分でも予期せぬことでしたが、そのことでたった一人の誰も知らないしょぼい会社ながら、ちょっとした強みを持てるようになれました。
一般的な不動産会社のビジネスモデルってこんな感じ
私の会社のちょっとした強みについて述べる前に、普通の不動産会社のビジネスモデルについて触れます。
不動産会社は無数にありますが、ほとんどの会社がやっていることは同じです。
例えば時価5000万円の一戸建を所有していて、それを売却したいと10社不動産会社を回ったとしたら、「うち、そういうの扱いません」と断る会社なんてまずなくて、みんながみんな是非うちにと言ってくるでしょう。
“売買専門“や“賃貸専門“を謳っているところはありますが、それすら沢山あって、明確に競合他社との差別化をはかっている会社は少なく、ほとんどが同じような営業施策で同じような案件を追っかけています。
私が勤務した10社近い不動産会社の業務はどれも大差ありませんでした。
別に差別化されていなくても十分にパイがあって、みんなお腹いっぱい食べることができるならいいのですが、現状は真逆のレッドオーシャンです。
そこで多くの不動産会社が注力しているのが集客です。
駅前の目立つ立地に店を構える、大手FCチェーンに加入してブランディングする、不動産検索ポータルサイトに加盟して物件情報を掲載する、町中のあちこちに看板・広告して知名度を上げる、日々チラシポスティングして問い合わせ反響を得る。
平日の業務のほとんどがチラシポスティングとか、顧客探しに飛込営業しているという従業員もかなりの割合でいます。
同業他社間の過当競争で成約率が上がらないのを、顧客の分母(集客数)を増やすことでカバーしようとしているのです。
そのような発想は不動産業界に伝統的なもので、昔から業界では3/1000(センミツ)と言われていました。1000の見込客(物件)の中で成約するのは3つだけの意です。
逆に言えば、3つの当たりで他の997件分のコスト(駅前店舗の賃料、FC加盟店料とロイヤリティー、広告宣伝費、従業員の人件費等)を回収しなくてはなりません。
現実には3/1000よりは成約率が高いとは思いますが、多くの不動産会社にとって集客が生命線で、経費の大部分はそのような店舗賃料を含めた集客に関連する費用と人件費です。
そんな状況なので手数料の値引きはよっぽどでなければできません。実際はその案件とは無関係な集客コストを見込客を代表して払わされているのですが。
むしろ、様々な名目で正規の仲介手数料以上の金額を請求したり、ニーズのない人にも売りつけたり、様々な理由(ウソ)で安く物件を買い取ってそれを複数回転売したりということを普通にやっています。
弊社の強みとは
対して弊社ですが、弊社は特異なアイデアだったり、ニッチに特化してはいないので、他社との明確な差別化はありません。
さらに、立地は住宅地の奥地で、どこのFCやグループにも加盟しておらず、広告は不動産ポータルサイトに加盟している程度で、チラシポスティングもしてなければ従業員もいません。
つまり、集客費用はほとんどありません。費用を掛けたところで会社がこんなんなので効果はほとんど見込めないでしょう。
それじゃ、どうしてるんだ?ということですが、
弊社は集客はほとんどしていないですが、“ご紹介“を中心に幾ばくかのお客様がいらっしゃいます。当然ですが、そのお客様は不動産について何らかのニーズを持っているということになります。
そのニーズを満たすべく最大限注力するのです。
もちろん営業を畳みかけるということではありません。そのニーズを満たすべく、それも出来るだけ望ましいかたちで満たすために、時間も手間も、経験も能力も総動員するのです。
弊社の場合は一度にそう多くのお客様を相手にしていないので時間的余裕がありますし、ストレスフリーな環境で高密度に業務を行うことができるので、お客様のニーズにより肉薄できます。
要は分母は増やせないので成約率を高めるのです。
ニーズがあるのかないのかわからないようなお客様に営業を畳みかけて勝手に結論を迫ったり、ニーズのあるお客様であっても機械のように型通りの対応をする会社とは違うのです。
もちろん、たった一人のミクロな会社なので限界はあります。
例えば、不動産を購入したいというお客様だとしたら、不動産会社に求めることの第一は物件の情報量(質の高い物件情報)です。
その点においては残念ながら弊社は他社よりも高いサービスではありません。他の不動産会社の物件も扱えるとはいえ、直接扱っている物件数は他社より少ないです。
ただし、第一に求めるのが物件情報量ですが、それ以外にも、物件を分析しメリット以外にもデメリットやリスクを説明することや、ローンの斡旋や適切な支払い計画をアドバイスすることであったり、万が一のトラブルの際の責任遂行能力といったものも求められます。
高いサービスを提供できない部分があるのであれば、それ以外の部分で高いサービスを提供し、トータルの質を上げればいいのです。
それでもサービスが他社並を抜け出ないということであれば簡単です。
料金を下げればいいのです。
仲介手数料の金額は法律で制限がありますが、それは上限だけで、下げる分には何ら問題ありません。
というかサービスの質に見合った価格設定が本来は大前提なのです。普通はサービスの質に見合った価格設定をして、それで利益が残るようなら広告等の集客コストに回すのです。サービスの質の割に料金が高いが、集客にコストが目一杯掛かっているので下げられないでは本末転倒です。
これからも引き続きよろしくおねがいします!
弊社のサービスクオリティ、コストパフォーマンスは起業時に意図的に狙ったものではありません。ストレスフリーな環境と私個人の気質、それに集客の労力とコストを取らなかったことにより偶発的に生じたものですが、
そこが弊社の強みであり、弊社の存在意義になっています。
もちろん、起業してまだわずか1年半で、経済的に成功しているとか、事業の基盤ができつつあるとは到底言えない状況ですが、
自分らしくマイペースで、それでいて少しでも人様のお役に立てるというのはこの上なく幸せです。
将来に渡って不変であり続けるのは決して容易いことではありませんが、こんなスタイルで、こんな気持ちであり続けたいと思います。
shiro-shita
最新記事 by shiro-shita (全て見る)
- 自分らしい人生を取り戻す方法 - 2024年12月2日
- 無意識に溜まる感情や記憶の在庫を一掃する方法 - 2024年11月22日
- 弊社の第6期が終了しました - 2024年11月18日