ダメ人間が事業家を志し、事業家であることでダメ人間っぷりが強化される
前回まで記載したようにいいことがたくさんある事業家ですが、もちろんいいことばかりではありません。
<前々回>会社やってみてわかった。事業家はこんなに楽しい!①
<前回>会社やってみてわかった。事業家はこんなに楽しい!②
それは主に金銭的リスクとそこから派生する様々な悪影響ですが、
私がやってわかったのは、事業家にはいわゆるダメ人間が結構いることです。
前回、事業家は自己責任センスを身に付け、人間として成長するに有益と言ったのと真逆ですが、それは表裏一体なのです。
事業家にダメ人間が多い理由
私はサラリーマン時代に上司から様々な叱責を受けました。私は地元小企業への勤務が多かったので上司と言っても社長です。
私は謙虚な人間ではなく、その叱責のロジックに納得できないことも多々ありましたが、社長は実績も経験も豊富で人間的にも優れているのだから、私にはまだ社長の言うことはよくわからないがいつかきっとわかる日がくるだろう、とその叱責を受け入れたのでした。
もちろん、実績と人徳を積み重ねステップアップし社長になった人はいますが、
そうでない人もいます。
というか、そうでない社長の方が多数派です。
今思えば社長より私の判断の方がまともだったものが多々あります。
社長と言えば響きはいいですが、事業を始めるのに必要な学歴、職歴、資格はなく、どんな人でも事業を起こした時点で社長という肩書を得ることができます。また、事業には一か八かのギャンブル的な要素もあります。
なので、大企業には到底入れないような半端者や失うもののない人、さらにはまっとうなリスク判断をできないような人までもが事業家になったりします。
それらの多くが数年で廃業に追い込まれるのでしょうが、中には一発当ててしまう人がいます。
事業に最も大きな影響を与える要素は「運」ですから。
また、事業家には自信が必要です。
事業家とはいえ人間なので当然至らないところ、反省して改めなければならないところがあるのですが、いくら改めようと思っても悪いところを治すのは難しいものです。
それで自分を責めたり能力がないと思って萎縮するより、自分の悪いところから目を逸らして自信満々に振る舞った方が少なくとも目の前の商談はまとまりやすくなります。
あくまでも短期的に結果を追い求める場合に限り合理的となりうる「根拠の無い自信」ですが、それで本当に目の前の商談がまとまると自信はいよいよ本物になっていきますし、商談がまとまらなければ次の売上を追っかけなければならないので反省している余裕はありません。
的確な検証とは真逆のベクトルとなり、それに過去の私のような忖度従業員が拍車を掛け、だんだん事業家は手が付けられなくなり、
ついには滅茶苦茶な思考回路を持つ自信家のダメ人間となるのです。
誰かこのクソ社長を止めてやれ!
私の知っているある事業家の話です。
その事業家は、会社を中途半端に大きくし多大な経営リスクを負ったことと、毎日休みなく長時間労働していることで、精神的&肉体的に追い詰められ鬱状態に陥りました。
鬱がひどくなると仕事ができなくなるので、自身の至らなさによる会社の惨状を直視してはいけません。かといって会社を任せられるスタッフもいないので、何らかの手を打たなければなりません。
それで、「会社の惨状=自分の至らなさ」とならないようフレーミングを工夫するのです。
事業が停滞しているのを、会社のブランド力がないからだと広告に大金払ったかと思うと、その結果が出る訳もない数ヶ月で広告代理店に文句を付けて打ち切ったり、
次は、いい営業スタッフがいないからだと人を採用しましたが、スタッフ教育に思いのほか手間と時間が掛かるわかると、経営者自らが営業に専念するようになり、そのスタッフは放置どころか辞めろと言わんばかりの待遇に追いやります。
さらに、今度は自分も休まないと生産性が落ちるとの理由で事務スタッフを探しています。
以前この事業家に対し私は意見しましたが「お前にわかるかよ、口出しするなんて何様のつもりだ!」的に一蹴されましたが、
今ならはっきり言えます。
全ての原因はアンタです。鬱とはいえ、クソの極みです!
こんな事業家の会社にスタッフとして勤めた場合、いかなる努力もいかなる能力もいかなる人徳も無意味です。
奇跡的な能力を持つスタッフの入社により会社の窮地を救う可能性がない訳ではありませんが、それは事業家のためにならないでしょうし、そのスタッフもその能力を別の会社や自分の事業で発揮した方が世の中のためです。
そんなブラック企業に絡め取られて働かされることがないのも起業のメリットと言えるかもしれません。
事業家、社長って世の中のイメージ程に良い意味でも悪い意味でも大したものではありません。
他人の会社勤めで消耗し不完全燃焼な日々を送っているならば一層のこと事業はじめてみてはいかがでしょうか。
shiro-shita
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