不動産コンサルティングって何?どういうときに必要なの? ​

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不動産コンサルティングってよく聞く言葉だが、何をするのかよくわからない件 ​

不動産コンサルティングって何?どういうときに必要なの?

不動産コンサルティングは実は範囲が広く目的も様々ですが、

ビジネスとしてはマネタイズに難があり、そのせいなのか世の中への浸透もイマイチです。

今回は不動産コンサルティングとは何かについて記載します。

不動産コンサルティングの原則① 不動産コンサルティングは不動産を適正化もしくはより有効活用するための提案・サポートをすること

通常の不動産の仲介や管理であれば商品になっている不動産を扱います。

・不動産に客観的価値がある
・買い手、借り手の利用を阻害する法的、権利的問題が(少なくともその時点では)顕在化していない、もしくは除去できる見込み

が、前提となります。

逆に適正ではない不動産は

・そのままでは取引できない
・取引できたとしても現状の評価は潜在的な価値を大きく下回る

具体例を上げると、

・複数人で共有している不動産で共有者間で意見の相違がある不動産
・抵当権者の残債が市場価格を上回り売却できない不動産
・設備が老朽化し過ぎて入居者を募集できないアパート
・隣接地との境界を確定できない土地
(すでに不適正に陥っている場合だけではなく、このままだと不適正になる恐れがある場合も含まれます。)

不動産のコンサルティングとは、まさにそのような不動産を扱い、適正ではない状態を是正することが最大の目的です。

不動産コンサルティングは不動産の病院のようなものです。

不動産コンサルティングの原則② 不動産コンサルティングはその先に果実がなくても提供される

不動産コンサルティングはそれをメイン業務としている会社はあまりありませんが、“不動産コンサルティング”を謳い通常の仲介サービスの一環として提供している会社は結構あります。

それは広い意味では不動産コンサルティングですが、

その場合、多くは仲介サービスが成立する前提でのコンサルティングとなります。

土地の売買をするために境界確定や、相続人の遺産分割協議等がそれにあたります。

なお、不動産会社以外でも不動産コンサルティングを行う会社はあります。

アパート建設会社や銀行が相続相談を受けたりしています。

これらの場合コンサルティングはあくまでも呼び水で、その先にある果実を狙っています。アパート建設受注だったり、融資です。

なので、果実がない人はコンサルティングサービスの提供を受けられなかったり、果実がないとわかった時点で打ち切られたりします。

狭義の不動産コンサルティングは、果実の有無にかかわらずその不適正を解消するための提案や実行援助、業務代行が行われます。

不適正な不動産の代表格「共有状態の不動産」

共有は一つの土地や建物を複数人で持ち合う状態です。

登記の甲区に所有者が

 仙台市〇区○○
 持分4分の1
 〇〇 太郎

みたいに表示されます。

もしくは、相続が発生したものの相続人間で遺産分割協議がまとまらず被相続人の名義のままで登記されているのはもっと重症です。

持分だけでも売却することはできなくはありませんが、現実的には買い手がつかない、もしくはタダ同然の価格となります。

売れないなら賃貸はどうかと言うと、民法上は持分の過半数以上の同意があれば可能とはなっていますが、判例では普通借家契約のような返還の見通しが立ちにくい貸し方は否定されています。

売るも貸すも制限されて経済価値が大きく低下するものの、固定資産税はそれを理由に減免されず、当然、管理責任も負います。

不適正な不動産になると解決はやっかい!? 予防と早めの対応が大切!

不動産の病気は一旦掛かると治療が困難かつ長期に渡りやすく、長期になるほど関係者の高齢化、二次相続による関係者の増加を引き起こし、なおさらに解決が困難になります。

  しかし、生物学的な病気と異なり、急な発生は稀であり、しっかり調査して備えれば事前に発生の有無がわかり、回避も可能です。

なので、事前調査とその対策が肝要であり、残念ながらすでに共有状態にあるのであればなるべく早目に解決に着手すべきです。

 
現在は、共有以外にも、空家や所有者不明土地など不適正な不動産に関する認知が上がってきています。

それに併せて不動産コンサルティングも浸透し、コンサルティング手法も開発・進化することを期待します。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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