他の手段にリプレイスされる現場販売者
前回の記事:不動産の現場販売は終わるのか①
不動産業界で働く人のイメージとして一般的な「マンションモデルルーム・住宅展示場・建売住宅等で販売している人」ですが、
そんな現場販売者にとっては厳しい時代に突入しています。
現場販売が厳しくなっている理由1 営業行為は顧客に受けが悪い
一つは顧客の営業嫌悪です。
昨今、営業行為は顧客に徹底的に受けが悪いです。
その原因は過去に現場販売者がやり過ぎたからです。
テレアポ、飛び込み、無許可誘導看板、来場した顧客を半ば監禁し、断ってきた顧客をそこからが営業だと食い下がる、
彼らにとって努力の結晶は世の中的には非常識な迷惑行為でしかありません。
当然、顧客は警戒しバリアを強くしますが、そうするとさらに過剰な営業行為に出ます。
現場販売者としてもさらに攻め立てるのは逆効果とわかっていても、手綱を緩めると競合他社に取られかねないのでそうせざるを得ないのです。
結果、モデルハウスやオープンハウス会場は気軽に立ち寄れない、物件をロクに見ることもできない不毛な場所となっています。
現場販売が厳しくなっている理由2 現場に行かなくても大方の情報が手に入る
そして、IT技術が進化してモデルハウスやオープンハウスにわざわざ行かなくてもほとんどの情報を得ることが可能になりました。
今はモデルハウスやオープンハウスに行く前に結論はほぼ出ています。
もしくは、局所的な情報を得るためだけに来場します。
また、顧客との連絡手段は電話や訪問の割合が大きく減りました。メールやメッセンジャーアプリが主です。
かつては一方的に話し倒すタイプの営業が多く、そういうタイプは半面、小学生みたいなお粗末な文章しか書けない人ばかりでしたが今では悲惨な状況です。
販売現場の惨状
営業現場がこのような状況なので現場販売者は腐り出しています。
土日丸々販売現場にいても月数組の顧客としか接することができず、しかもその顧客に対し中味のある接客ができません。
現場販売者の話掛けをほとんど無視し一方的に自分の目的を果たしに来る客ならまだましで、暇潰しの近所の老人が最多来場者です。
何が悲しいって、その老人が息子のために家を探しているとか会社への仕事アピールのために話を盛りまくる現場販売者がいることです。
現場販売者にとって、誰がやっても変わらないような作業のみが仕事で、何の経験・スキルも得れず、当然インセンティブも付かないので、モチベーションと収入は底付きです。
現場販売はさらに厳しくなる!?
こういった状況を打破する方策は個別に見るとあるのかもしれませんが、大局的に言えば今後ますます厳しくなるでしょう。
”景気の波が来ているので今は辛抱”ではなく、社会が変わって現場販売が別の手段にリプレイスされつつあるのです。
それは、現場販売が成り立った長いブームの終焉間近とも言えます。
現場販売が完全になくなるとまではいかないでしょうが、
少なくともこれから社会に出る若者がこの職種を望んで選ぶことはなく、会社側も貴重な新人を離職リスクの高い職種に就かせないでしょう。
それでも、最新の不動産テックサービスを導入できない中小零細企業や現場販売しかできない人達を多く抱える企業は現場販売を続けることになると思いますが、
進化に取り残された不動産ガラパゴスには、社内で見切りをつけられた人材も追いやられ吹き溜まりと化していくことでしょう。
shiro-shita
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