ムラ社会を出てネオリベ的関係を構築する

個人的なはなし・意見

ムラ社会を出てネオリベ的関係を構築する

メリットと信用でつながり富を創出するネオリベ的関係

前回は人間の性(サガ)に支配されずQOLを高める方法について記載しました。

報酬系リミッターが振り切れないよう、闘争・逃走アラームが鳴り続けないよう感情・無意識の特性を理解し、自分自身をいなす・・・ような感じです。

【前回のブログ】人間の性(サガ)へのささやかなる抵抗

さらに、今回は宗教とか哲学に足を踏み込まず、ビジネスマン的な発想でQOLを高める方法について記載します。

人間はムラ社会の生き物

人間は基本的に群れの中で生活するものとして設計されています。

人間は狩猟採取時代からすでに群れをなしており、農耕がはじまり、産業革命が起こっても、家、集落、会社といった利害の一致した人々同士の閉鎖的で濃密な人間関係の中で生きてきました。

 
そのような群れを便宜的にムラ社会とすると、

役割を分担し、富を分配し、痛みを分け合い、外敵から身を守るのがムラ社会の機能ですが、

半面、

自由が制限され、ローカルルール(掟)で支配され、

出る杭は打たれるような硬直的組織だったり、ムラ社会の中で熾烈な権力闘争があったり、

分け与える富が少なければ誰かを理由をこじつけて排除したり、

裏切りを抑止するために人質を取ったり、裏切り者に制裁を加えたりします。

 
人間はムラ社会で生活するために、即座に相手を敵か味方か見分け、味方に同質化し、敵は排除するという、基本的機能を元々持っています。しかし、ムラ社会に完全に適応できているわけではなく、ムラ社会内部の人間関係ではストレスを感じますし、ムラ社会の一員として敵と戦うとなるとノルアドレナリン極限の非常事態となります。

現代はネオリベ的関係で生きるべき

それでもムラ社会に所属するのはそうしなければ生きられなかったからですが、世の中は急速に変わりつつあります。

 
世界中の人と即時にインタラクティブに繋がれるテクノロジーがあり、変化が加速度的に進む現代では、むしろ、枠組みをはめずに状況によってあるときは協力し、またあるときは協力しないという都度選択的な人間関係の方が合理的です。

 
そのような人間関係をネオリベ的関係とすると、

そこには、

恒久の敵も味方もいません。お互いに必要・メリットがあるときは協力し、必要なければ協力しないだけで、頻繁に協力し合う人は味方といえるかもしれませんが、敵という概念はありません。

ムラ社会だと富を他の集団と奪い合うのですが、ネオリベでは新たに富を創出します。

 
自由で開放的な人間関係の中で、様々な人にメリットを提供できるような、高い能力、広い人脈、利他的精神などを持つ人は無限に協力し合い富を得られる可能性があります。

半面、

相手に何らメリットを提供できない人は誰にも相手にされず富にありつけませんし、何の生活保障もありません。

 
現代では、業界団体や各種組合に規制産業、または町内会、PTA、一族郎党といったムラ社会的共同体は凋落傾向にあり、ITプラットフォーマーや投資ファンド、シェアリングエコノミーといったネオリベ的発想のビジネスが隆盛で、この傾向はより強まっていくでしょう。

今後、ムラ社会では富が流出し、構成員にさらなる痛み分けを強要せざるをえず、誰を船から降ろすかの醜い争いが繰り広げられるでしょう。

 
なので、

相手にメリットを提供できる人になり、

閉鎖的なムラ社会を出てネオリベ的な人間関係を構築し、

富を奪い合うゼロサムゲームではなく相手とのシナジーで新たな富を創出するプラスサムゲームを行うべきです。

こんなのはネオリベではない!

ただし、ネオリベ的関係の構築にあたり注意すべきことがあります。

一見ネオリベっぽい悪がいる

一つはネオリベに見せかけたダマシがあることです。

マルチとかカルト教団、ブラック企業やデマや詐欺はあなたにメリットを提供したり、不満を解消すると謳います。

確かにネオリベ的関係でもメリットを提供し合ってつながるのですが、ダマシは見せかけ、もしくは一方的解釈のメリットです。

 
ネオリベ的関係はあくまでもフェアなのです。

ネオリベ的な関係では無償で人や機会を提供してくれることがよくありますが、紹介や機会を提供する人にも信頼の構築や貸しを作るといったメリットがあります。

話がうますぎる、自分の身の丈に合わないメリットを提案された場合、恐ろしく高く付くことがあるので疑って掛かるべきです。

知り合いが多いのとネオリベ的なのは違う

知り合いが多い人はネオリベ的関係構築のハブになることが多いですが、

単に知り合いが多いだけではあまり意味がありません。

知り合いが多くてもその人に信頼がなければ、単に打算的な人が寄せ集まっているだけだったり、話がその人を経由した時点でチープ化してネットワークは機能しません。営業職だったり事業をしている人はわかると思います。たくさん話しを寄こすけど何一つものにならない人と、高い精度でものになる人がいるのを。

ハブとなるためには、お互いの人となりやニーズが合致しているかを見極める力が必要で、それらは結局のところ、自分の仕事を一生懸命やることなしには身に付きません。
 

ネオリベ的関係の構築には相手を理解した上でつながる必要があります。

なので、SNSでつながっている関係はとても現代的ですが、イコールネオリベ的ではありません。

また、相手がネオリベ的に活動しているからといってその人と知り合いになればネオリベ的関係という訳ではありません。あくまでもお互い理解しつながるフェアな関係ではなければなりません。

ネオリベは万人向けではないし、唯一の解でもない

このようなネオリベ的関係を人間関係のメインとすれば、

相手を敵と味方に分けて、敵とはシェアを奪い合い、味方とは46時中濃密な関係を強要されるという、いずれにしてもストレスまみれな関係から脱却できます。

 
ただし、

もちろん、ネオリベ的な関係は相手にメリットを提供できなければなりませんので誰でもできる訳ではありません。

人それぞれ遺伝的要因も環境的要因もぜんぜん平等ではなく、ハンディキャップを背負った人にとってネオリベ的な生き方は酷です。努力の万能性を説く人もいますが、現実的には努力の効果なんて限定的ですし、そもそも努力できる性質を誰もが持っている訳ではありません。

 
 
また、ネオリベ的関係の基本はフェア・自己責任であり、対して、ムラ社会はローカルルール・一心同体です。

多くの日本人にとってネオリベ的関係は不慣れで怖いもので、冷たい格差社会でこれまでの古き良き日本を破壊するものに感じます。

その認識もまた無意識・感情が大きく関わっているので改めるのは困難です。

そういう人にとってネオリベ的関係を理解することこそ多大なストレスで、無理に理解しようとしない方が幸せでしょう。

 
 
そもそも理解できない人がいる。理解できたとしてもできるかどうかは別問題。

 
というわけで、分断が生じます。

 
現実的には、いくら話し合っても分かり合えない相手とは話せば話すほど軋轢を生みますし、多様性社会でうまく立ち回るコツは自分以外の人には無関心になることです。

愛情と憎悪は表裏一体であり、誰かの理想は誰かの悪夢です。

 
世の中が良くなるなんて幻想は捨て、どうな世の中であろうがそれに自分を最適化させ、身を守り、QOLを高めていくしかありません。

ある人にとってはその方法がネオリベ的関係の構築なのだと思います。

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shiro-shita

仙台在住の”不動産コンサルタント” 就職超氷河期世代かつリーマンショックの直撃を受けたりと時代に翻弄され不動産会社を転々。苦く、しょっぱい経験に裏打ちされた不動産スキルはある意味ではリアルそのもの。

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