実は営業よりも社内政治に明け暮れる不動産営業会社
私はほぼ毎日お昼は外食ですが、食事中は左斜め前にスマートフォンを置いてネットの記事を読むのが通常です。
こんな風になったのはここ数年の話ですが、すでにガラケーのときやスマホの初期の頃のことを思い出せなくなっています。
私は何をしながらお昼を食べていたのでしょう?
ただ黙々と食べていただけではないでしょうし、頻繁にメールのやり取りもしていなかったような、ポケットに文庫本を忍ばせてって訳でもなかったはずです。
このようにすぎ去った過去はいとも簡単に忘れてしまうものです。
ところで、テクノロジーの進化や雇用環境売手市場化を受け、職場の雰囲気が大きく変わりつつある今日この頃ですが、もちろん不動産業界も例外ではありません。
不動産業界で働くならこのくらいしたり、させても当たり前だよねという社内慣行が崩れつつあります。
私が業界に入りたての頃、その社内慣行になじめず本気で悩んだのですが、
今となっては、そのほとんどすべてにおいて私の方がまともだったじゃん!と思います。
時はすでに過ぎ去り今さら言っても仕方がないのですが、
これに関しては簡単に忘れる訳にはいきません。
せめて、ここでヘドの出るような過去を吐き出してみたいと思います。
不動産営業会社で重要な社内政治
不動産営業会社では完全成果主義で、営業成績でもって人を評価するということになっています。
このことは何も不動産業界に限ったことではなく、多くの業界で同じでしょう。
ただし、実は営業成績より大事なものがあるのです。
と言うと、人間性やスキル習熟度と思うかもしれませんが、そうではありません。
どういうことかというと、
ボスとの関係、社内政治力です。
どんな会社でも組織である以上は社内政治と無縁ではありませんが、特に不動産営業会社はだいたいブラック企業で、鶴の一声で死地に赴かなければならないので、ボスとの良好な関係は生命線です。
いくら能力があっても成績が出しにくいポストに飛ばされれば鳴かず飛ばずですし、その逆に誰がやってもある程度は成績が出るポストもありますので。
さらに言えば、営業成績を出せるポジションにつくために社内政治力が必要なのではなく、ぶっちゃけ社内政治力さえあれば営業成績が悪くても何とかなるのです。
こんな人事評価や人事異動はザラです。
「規定の成績には達していないが、月次で他者がノルマ未達が相次ぐ中、唯一3ヶ月連続達成したので…」
「ノルマ未達成ではありながらも、支店プロジェクトに献身的にかかわり、その内助の功により支店のノルマは達成されたので…」
営業成績第一、成果主義という御題目は一応ありますが、何とでも理由を付けることができ、その匙加減はすべてボスが握っているのです。
不動産営業会社のボス像とは!?
従業員が社内政治力を涵養する手段は一にも二にもボスに気に入られることですが、
ボスの持ち上げ方は不動産営業会社独特のものがあります。
「○○部長は営業時代に客宅で6時間粘って説得して角部屋買わせたんだ!」
「□□課長はモデルルーム接客での成約率100%って知ってた!?」
社内政治は基本エスカレートするので、事の真偽やニュアンスはさて置き、ボスをカリスマリーダーに持ち上げ、徐々にプチカルト化します。
そして、ボスの言わんとすることを誰が第一に忖度するかレースが繰り広げられます。
なお、理想のボス像はなぜかどの不動産営業会社も似たようなものでした。
社内では男気、客には軽薄です。
客に対しては最大限会社に都合の良い購買行動を取らせて、反面、部下には厳しくも頼りになるお山の大将です。
そして、ありがちなのは昔ワルだったエピソードです。
「高校のときはグループのヘッドで…」
「背中に大きな傷跡があってそれは抗争のとき…」
元ヤンで伝説的成績を残した熱い男、それが不動産営業会社の典型的なボスです。
不動産営業会社でのイケてる営業とは!?
そんな会社にいると同町圧力より、ボスを崇めなければなりませんし、ボスがしてきたような営業をしなければならなりません。
それで、会社にとって都合のいい、客を食い物にするような営業行為が行われます。
弱気な接客姿勢や提案はNGです。
クロージングを切り出せず保留になったり、自分から値引き販売を提案したりするのはもちろん、客の都合や気持ちを考えたり、テレアポ前に相手の下調べをしたり、顧客のための提案資料の作成に時間を掛けたりするのも同様にNGです。
オイシイところを最短で取る営業だけが正しいのです。
例えて言えば、
ナンパをしてそのままホテルに行って、ホテル代まで女性に出させるようなものです。
顧客の懐に入れずマゴマゴしているうちに物別れに終わるのは確かに顧客にとっても会社にとってもいいことありませんが、
そのスタンスで成果を出せるのはリアル詐欺師だけでしょう。
普通のレベルでそれをやると、よっぽど簡単な顧客しか成約に至らず、ちゃんと相手に合わせて提案すれば成約したかもしれない顧客を逃すことになります。
不動産営業会社は営業成績第一でそのために最大限合理的な戦術を取るというより、動物園の猿山でボスザルの寵愛を勝ち取るゲームに明け暮れているというのが本質です。
次回はそんな不動産営業会社でのエピソードをご紹介します。
shiro-shita
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