リフォームによる価値増加の賞味期限ってどれくらい?
長らく日本の住宅市場は新築偏重と言われてきましたが、今では「中古+リフォーム」は住宅選びの選択肢として確固たる地位を確立しています。
中でも「リフォーム済物件」の市場が拡大傾向です。
リフォーム済物件のメリット
リフォーム済物件の良いところは、中古なので新築よりも基本的に安く、リフォームされているので見栄えもし、即住めることです。
リフォームされていない物件だと、自分でリフォームの計画を立て別途リフォームローンを組んだり、リフォーム途中で様々な不具合が見つかって費用が増えたり、仕上がった後にイメージと違うというリスクがあります。
また、基本的にリフォーム済物件には宅建業法で定められた2年間の保証が付いており、中には瑕疵担保保険でさらに充実した保証が付いているものもあり、そのような保険措置があれば住宅ローン控除や住まい給付金といった税制特例も受けることができます。
リフォーム済物件は不動産会社の利益が乗っているから割高な物件か!?
リフォーム済物件の売主は不動産会社です(中にはごくまれに一般個人が売主の物件もあるでしょうが)。
不動産会社が売主であるということは、その不動産がずーとその不動産会社に保有されていて満を辞して売りに出されたという訳ではありません。
つい最近、不動産会社が転売を目的に購入し、数ヶ月のリフォーム期間を経て売りに出されたということです。
一旦購入するので、不動産会社には登記費用や仲介手数料といった経費が掛かり、それらの経費とリフォーム費用、それに不動産会社の利益が上乗せされて販売されています。
可能性的には、不動産会社が買う前に購入すれば、そういった経費や利益を差し引いた価格で購入できたかもしれません。
そのことは、自分だけは得したい、不動産会社に儲けさせるのは許せないという人には看過し難いことかもしれませんが、
そのような販売経緯を理由に客観的な価値より割高な物件が販売であれば市場に淘汰されるはずであり(つまりは売れない、もしくは値引きしないと売れない)、
確かに、見た目だけ繕って割高で販売されているリフォーム済物件も一部ありますが、そういった物件を買わなければいいのです。調べる努力を怠って割高な物件を掴んだのであれば購入者の落ち度です。
それに、実際はリフォーム済物件が殊更に割高ということはなく、割高な新築分譲住宅や一般個人が売主の中古住宅もたくさんあり五十歩百歩ってところです。
リフォーム済物件で注意すべきリフォームの客観的価値の推移
むしろ、リフォーム済物件で注意すべきは価格にリフォーム分が含まれていることです。
仮に下記のような築20年の木造戸建だとしましょう。
-
土地:1500万円
-
建物:700万円
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リフォーム:500万円
【合計:2700万円】
問題は購入後の物件価値の推移です。
建物価値は築年数に応じ逓減し、近頃は居住用資産譲渡所得の計算法に倣って木造なら30数年で価値をゼロとすることが多いので、物件の建物価値は今後10数年はなだらかに下降していくはずですが、
リフォーム分は税法上は材質・設備によって細かく償却年数が定められていますが、不動産売買市場で評価が持続するのは感覚的には5年程度です。
なので、リフォーム分の償却は数年で一気に進み、その後はリフォームしなかった場合と同じように評価される懸念があります。
それの何が問題って思うかもしれませんが、
購入時に2700万円の住宅ローンを組んだ場合の残債額の推移を重ねてみると
(借入額:2700万円 金利2% 返済期間:35年でシミュレーション)
残債よりも物件価格が低く、売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。
売却に別途資金が必要なので、転勤や離婚等による急な引っ越しに対し脆弱な住まいプランです。
このような事態を避けるためには自己資金割合(頭金)を高める必要があります。
低収入&頭金なしを理由に新築購入を諦め、新築より安いリフォーム済物件に妥協した人が最も危ないということになります(そういう人は多いですが)
リフォームによる価値の評価はこれから進化するハズ
とはいえ、不動産売買市場における物件価格の算出に決まった計算式はないので、リフォーム分は数年経つと必ず誰からも価値を見出されなくなるという訳ではありません。
近年は中古住宅の流通推進を図る一環として、インスペクションを受けた住宅やリフォームの履歴をしっかり残している住宅をプラス評価しようという流れなので、リフォームによる価値の増加分をより的確かつ好意的に評価する指標も確立されていくはずです。
そして、そういった指標ができることによって、見た目だけ繕って割高に販売されている何ちゃってリフォーム済物件が炙り出され市場から駆逐される流れも促進されることでしょう。
shiro-shita
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