役所に相談するとやっぱり予想通りの返答が返ってくる…
前回、公共事業をしてもらえば抜本的かつノーコストで災害対策できるのではと思い立った訳ですが、
<前回の記事>災害に備えるために役所に相談してみよう!①
河川や崖地の災害対策の窓口は土木事務所という所です。
そこは一般人がほとんど行かない、技術職が多い場所。
果たして河川、崖地を改修して安全安心を実現できるでしょうか。
土木事務所はTHE役所
土木事務所に対して、県民の生命に関わることなのでやってくれるはずだとか、土木事務所は何かいい方法を提案してくれるのではないかとか、そんな甘い考えを持っていると失望すること必至です。
彼らは専門職であってコンシェルジェやカウンセラー、ましてやサービス業でもないので、優しく包み込むような対応とは真逆です。
基本、無愛想に接して、非協力的で、他部署に回そうとします。来訪者の言葉の一片にでも他部署の管轄が含まれているとその時点でNGです。
彼らは工事・設計業者や士業といったプロとばかり接しているのです。
プロなので目的が明確で、手続きもわかっていて、相手(県)の事情にも配慮できます。
そのプロの話し方が基準なので、普通の話し方をしてもコミュニケーションできません。
何とか対応に入ったとしても、消極的で、何かの理由を付けて追い返そうとします。
彼らは実施のための法的要件を満たすことや、上の決裁を取ることが難しいとわかっています。
プロが絡んでも難しい事業化を、一般人が1人で要望しても実現可能性はほとんどないのです。
事業化への高い壁
実現可能性がほとんどないのは、年度の予算が決まっていて、その枠にはめこむのは並大抵のことではないからです。
(個人的には「予算」と言わずに「税収」と言った方が相談に来た人に伝わりやすいと思います)
人命や安全のために必要なことであれば他の県の予算を削ってでも実施するのではなく、決まった予算の枠の中で、よっぽど優先順位の高い事業のみかろうじて実施されるのです。
イメージとしては、災害が起こると危なそう、とか、困っているというレベルではなく、
すでに現象が生じていて危機が迫っている位じゃないとなりません。
ほとんど個人のわがままみたいな要望を親身になって聞いてあげたところで実現可能性はない上に変な期待を持たせてしまうので、かえって冷たくあしらった方がその人のためなのです。
それでもチャンスは激甚災害に指定され国からお金が出る時です。
台風19号は激甚災害に指定されているのでまさに今がチャンスですが、
今度は各所で被害がたくさん出てスタッフが忙し過ぎて、そんな時に一般人が窓口で要望を言ってもクレーマーにしか映らないでしょう。
ちなみに台風19号で私の家の近くで民家に接した河川護岸擁壁が傾くという被害が発生しました。このままだと時間と共に傾きが大きくなり土砂流出、家屋倒壊の恐れがあるので対応してくれましたが、現在のことろ擁壁の手前に重しを置いてこれ以上の傾きを防ぐ応急処置のみです。
このままだと重しの分、河川の幅が狭くなり大雨時に周辺の危険性は増しますが今後の対応は未定です。
いずれ改修工事をしてくれるとは思いますが、せいぜい壊れた擁壁を元に戻す程度じゃないかと思います。
その部分は川幅が狭くなり、しかも折れ曲がるウィークポイントなので、どうせやるならこの機会に抜本的な河川改修を検討すべきと思うのですが、
そうなると設計が高度化&用地買収が絡んだり費用が高額化し、部署内でそれなりに権限のある人の案件となり、政治的要素を持ったりしてサクラダファミリア化します。
この世に生まれた以上は災害リスクを抱えながら生きる
全国ニュースになるようなレベルや、国家プロジェクトとして行うことがないかぎり行政に期待できるのはせいぜい壊れたものを現代の基準で作り直してくれる程度(要は原状回復)と思うべきでしょう。
それもいつになるかわかりません。
行政に住まいを安全にしてもらおうとの期待は儚く散ります。
ましてや行政に災害を未然に防ぐなんて期待できません。全く次元の違う話です。
かと言って、災害が起こるような土地には住んではいけないというのはまともな意見ではないと思います。
災害リスクが低い立地は限られ、さらに市街化区域的なところとなると国土のごく僅かの割合です。
(市街化区域自体が国土の3.7%)
そこに住む費用は高額で、限られた人しかそこに住むことはできません。
そんなこと考えればすぐわかるのに、それでも言う人はよっぽど金持ちっぷりを自慢したいのでしょう。
現実的には、災害リスクを抱えながらも住むしかないのです。
リスクを認識して、非常時に被害が拡大しないよう、情報に耳を傾け、知恵を絞り、機転を利かして事に臨むのです。それでも被害が免れないことはありますが、それはもちろん自己責任となります。厳しいようですが生物はそういう環境で何十億年も生きてきたのです。
それでも 納得いかない人は土木事務所の担当者とやりあってみてください。
shiro-shita
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