ペット飼育可、敷礼ゼロ、保証人不要は貸主の妥協の産物
多くの人が求める住まいの要素・求めるタイミングをあえて逆張りし、ライフスタイルと調整力でもって賢く住む住まいプランハック
<第1回>2020年代住まいプランはもっとハックできる【住まいハック総論】
<第2回>住まいプランハック 【持家編】
<第3回>住まいプランハック 【持家・賃貸・投資ミックスプラン】
<第4回>住まいプランハック 【賃貸編】
今回は逆に賃貸で不利になる希望条件について記載します。
どんな希望条件だとカモられやすいか
人気が下落傾向で在庫が積み上がっているような物件をあえて選択することでお得に住むのが住まいプランハックですが、
逆に、需要に供給が追いつかない物件を求めると不利な条件を許容しないとなりません。
生活に余裕があって豪華絢爛で付加価値の高い物件を求めるってならそれもその人の価値観なのでいいと思いますが、
余裕がないのに、というか余裕がないからこそ、そういう物件を選ばざるをえなくなっている人もいます。
あくまでもその市場における需給関係によるので日本全国一様に不利になるとは言えませんが、下記のような希望条件です。
・ペット飼育可
・敷金礼金ゼロゼロ物件
・保証人不要
なぜでしょうか?
ペットも敷礼ゼロも保証人不要も入居者に寄り添ってくれるサービス精神旺盛の大家さんのように思えますが、
むしろ逆なのです。
とりあえずお茶を濁す的な入居施策
なぜ貸主がそういった条件を提示するのか、それはそこまでしないと借り手が付かない物件だからです。
築年数が経ったり、同一エリアに競合が増えると、なかなか入居者に選んでもらえなくなります。
そんなとき、最も望ましいのは室内・外観をリフォームしたり、新しい設備に入れ替えたりして物件の商品性を向上させることです。
しかし、リフォームには資金が必要であり、また、実施したからといって本当に借り手が付くかわかりません。
多くの貸主はそこで躊躇します。
「こんなに費用が掛かるなんて、●年ただで住まわせるようなもんだ!」
「リフォームして借り手が付かなかったら誰が責任取るんだ!」
と、リフォームに踏ん切りがつかない貸主は次なる手段として賃貸条件の緩和を検討します。
それが、ペット飼育可、敷礼ゼロ、保証人不要といった施策です。
これなら貸主は投下コストゼロですし、しかも、借り手の需要は多いので賃料を下げる必要もありません。
しかし、これらは本当にそんなメリットずくしの入居策でしょうか?
もちろんそんな訳はありません。
ペット飼育は室内がボロボロかつ異臭に満ち、鳴き声等で近隣から苦情が来るリスクを増大させ、
敷礼ゼロは入居者から滞納賃料や原状回復費用を取り損ねるリスクを増大させ、
保証人不要はそんな万が一の際に貸主が泣き寝入りするリスクを増大させます。
そういった条件を認めると必ずそうなる訳ではなく、ごく一部の入居者の問題ですが、一旦緩和した賃貸条件は現実的には不可逆的なので、不特定多数に反復継続して貸し出していく上では、少しのリスク上昇であってもいずれビジネスの根幹にかかわる問題になりかねません。
かくして、安易な入居策のしわ寄せは、通常では借り手がつかない物件をまんまと掴まされる入居者に一旦転嫁され、いずれは、恐れていた事態の到来として貸主を襲うことになります。
すべての敷礼ゼロが入居促進策でやっているのではない
原状回復ガイドライン等によって退去時に借主に請求できる原状回復費用が限定され、保証人という制度も昨今馴染まなくなってきたので、そういった世の中の潮流から敷礼ゼロ、保証人不要を採用する物件は増加しており、全ての敷礼ゼロ、保証人不要がケチさと妥協の産物ではありません。
むしろ、このご時世に居住用で敷金3ヶ月以上を掲げている物件の貸主はよっぽど保守的なので気を付けた方がいいです。
それなりの商品性を誇りそれなりの賃料が設定されている物件であれば、例え敷礼ゼロ、保証人不要にしたところでハイリスク入居者が来ることは少ないですし、保証人不要と謳いながらも保証会社等で別途担保措置を講じているのです。
また、最近はより充実したペット飼育環境を実現できるようにペット共生物件というものもあります。そんな物件を企画して運営するのですから貸主はペットについて並々ならぬこだわりがあり、もちろんペット好きなはずです。
ただし、充実したペット飼育環境なら賃料は高くても構わないという方がターゲットなので、安く住みたい人には不向きです。
企画運営者のペットが好きで詳しいという特性をマネタイズしようという取り組みなのです。
shiro-shita
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